世界初公開! パナソニックFire TVテレビやShiftall軽量グラスをCESで体験した

2024年1月25日(木)13時0分 マイナビニュース

2024年のCESで、パナソニックは北米で展開する製品群を一堂に展示しました。Amazon Fire TVを内蔵した有機ELテレビのプレミアムモデルや、Shiftall(シフトール)の超軽量VRヘッドセット「MeganeX superlight」を会場から体験レポートします。
パナソニックはCESのメイン会場のひとつであるラスベガス・コンベンションセンターに2024年も大規模なブースを構えました。地球環境問題を解決しながら、良質な暮らしとの両立を目指すためのパナソニックの技術と、北米で展開する商品などを一堂に集めた展示は見どころがありました。
パナソニックも地球に優しい新素材「kinari」を開発
パナソニックが開発を進めている新素材「kinari」(きなり)は、自然由来の植物資源から抽出した最大85%のセルロースファイバー(植物繊維)をふくむ植物ベースの高機能素材です。残りの素材には従来からの石油由来の“つなぎ樹脂”が使われています。
2015年に同社が研究を始めた素材で、2022年から量産販売を開始し、セルロースファイバーを55%含有するkinari。これまでに小学校の給食に食器として使われたり、アサヒビールと共同展開したキャンペーンでコップを販売した実績があるそうです。
kinariの原料にはバージン材ではなく、従来であれば捨てられてしまっていた間伐材や廃紙、コーヒーや植物の絞りかす、わらや農業残茎を応用できます。素材が白いことから自由な着色ができたり、含有する原材料の自然な色やカテキンによる抗菌作用などの効果を残すことも可能です。
ブースにはさまざまな原料を使ったkinariベースのコップや食器を展示していました。コップは見た目の通りに軽く、これにビールを注いだらさぞ美味かろう……と気になるほどにスムーズな質感を備えていました。
kinariは家電の本体、自動車の車載機構や内装部品、服飾衣類品などへの展開も見据えています。現在も開発が進められている素材ですが、部品にkinariを使ったパナソニックの家電が登場する日はそう遠くないタイミングで来るかもしれません。
2024年のフラグシップ有機ELテレビを発表
パナソニックは現在、北米市場に家庭用テレビを展開していません。ただ、CESは年初に開催される世界最大のエレクトロニクスショーであることから、グローバルモデルとしてパナソニックの最先端技術と“画づくり”のノウハウを詰め込んだフラグシップが、例年このイベントで発表されてきました。
2024年はフラグシップの有機ELテレビ「Z95A」「Z93A」のワールドプレミアを実施しました。Z95Aは65型と55型、Z93Aは77型の「Master OLED Ultimate」シリーズのパネルモジュールを搭載します。パネルは144Hz駆動対応で、ゲームなど動きの大きな映像もチラつきを抑えて高精細に表示します。
以前パナソニックの海外担当者に「欧米では映画などシアター系のコンテンツもさることながら、プレミアムクラスの大画面テレビにはゲームの映像を心地よく観られる性能が求められる」という説明を受けたことがあります。日本ではどちらかと言えばやはり、動画配信を含むシアター視聴やスポーツ観戦の画質を追い込むことが求められがちです。カルチャーの違いに触れると興味深く感じられます。
ふたつの新しいZシリーズは、視聴環境の明るさに応じてHDR映像の画質を最適化するDolby Vision IQや、テクニクスのエンジニアがチューニングした内蔵スピーカーにより立体音響再生を実現する「360 Soundscape Pro」を搭載しています。このほかにも、本機に関わる「AIを活用するパーソナルアシスタント」の重要な発表がありました。AmazonのAlexa、およびFire TV機能のビルトインです。
Amazon Fire TV機能を投入! 動画視聴が便利になる
パナソニックのプレスカンファレンスには、米Amazonからゲストスピーカーとして、Alexa&Fire TV部門のバイスプレジデントであるダニエル・ラウシュ氏がステージに登壇。Fire TV機能を搭載するパナソニックのテレビを祝福しました。
欧州向けに先行するパナソニックのFire TV搭載スマートテレビはもっとスタンダードな価格帯の液晶テレビですが、今回のグローバルモデルはパナソニックのフラグシップです。上質なシアター画質、アプリを活かしたさまざまなスマート体験を求める、意識の高いTVマニアにFire TVビルトインの魅力を伝えられることにラウシュ氏も喜びをあらわにしていました。
パナソニックのインターネットに接続して動画配信などのサービスが楽しめる、いわゆる“スマートテレビ”には独自開発のOSが搭載されています。新しいZシリーズにも引き続き独自OSが搭載されますが、その上にFire TV機能が乗るイメージです。
Alexaがテレビの本体にビルトインされることによって、Echoシリーズのスマートスピーカーのようにリモコンを使わず、内蔵するAlexaを音声で呼び出してテレビのオン/オフを切り替えたり、Alexa対応の宅内スマートホーム機器を操作できるようになります。
Alexa機能も充実。米国で始まった生成AIも対応だが……
Amazonが2023年に北米で発売したFire TV 4K Stickシリーズには、生成AIを活用した「アンビエント・エクスペリエンス」という機能が載っています。
どういうものかと言えば、たとえば配信動画コンテンツを自然な言い回し(例:スポーツアクション系の映画で、無料配信が見られるものを探して)でAlexaに頼んで検索してもらったり、Amazonのクラウドフォトストレージからの被写体別の写真検索や、見つけた写真に任意のフィルターをかける(風景写真の青空を夕焼け空にしたり)機能などが活用できます。残念ながら、日本で発売されているFire TV 4K Stickではこの機能がまだ使えません。
パナソニックがグローバルモデルとして発表したZ95AとZ93Aは、「いずれもアンビエント・エクスペリエンスに対応するテレビ」であると、ステージを降壇した後にラウシュ氏は筆者からの質問に対して答えています。ところが、パナソニックが発表したテレビが北米で販売されるというアナウンスはCESのイベント時点ではまだありません。あるいは、いよいよ北米にパナソニックの“4K OLED”が本格投入されるのでしょうか。
毎年CESのイベント開催後、春頃までの間にパナソニックが国内向けの有機ELフラグシップテレビを発表しています。そちらのモデルにAmazonのアンビエント・エクスペリエンスを含むFire TVの機能が搭載されるのかも気になります。日本では船井電機とAmazonの協業により開発されたFire TVスマートテレビが先行導入されています。「Fire TV Stickのスマート機能を取り込んだビエラ」が、日本にどのような形で上陸するのか動向を見守りたいと思います。
Shiftallの超軽量スマートグラスを体験した
パナソニックのグループ会社であるShiftall(シフトール)が、今回のCESではパナソニックのブースの中に新製品を展示していました。筆者も超軽量VRヘッドセット「MeganeX superlight」とワイヤレス防音マイク「mutalk 2」を体験してきました。
シフトールの「MeganeX」(メガーヌエックス)がどういう製品なのかは、2022年の記事になりますが筆者の体験レポートも合わせてご覧ください。高精細なマイクロ有機ELディスプレイを搭載した、5.2K高画質を特徴とするコンシューマ向けのスマートグラスです。そのMeganeXがまさしく“スーパーライト”になります。発売予定時期は2024年内を予定。価格もまだ決定していませんが、代表取締役CEOである岩佐琢磨氏は「従前モデルのMeganeXよりも安くすることは確定している」と話しています。
従来のMeganeXにはガラスと樹脂を組み合わせたパンケーキレンズが搭載されていました。本体の価格と、レンズ側にやや偏る質量の元になっていたレンズを樹脂製に変えたことで、MeganeX superlightは200g台に突入する軽さを実現しています。CESのブースに展示されていたヘッドセットは外観が試作中のプロトタイプです。商品化のときには、下記のようなスタイリッシュなデザインになります。
ヘッドセットの本体側に視度調節とIPD調整(レンズの間隔/映像の表示領域の調整)の機構を設けているので、筆者のように視力の弱いユーザーも裸眼で身に着けることができます。光学系を入れ替えたことに伴って、映像がシャープに見える範囲を調整でき、MeganeX superlightに合わせた最適化も図りました。
筆者もCESの会場で新しいMeganeX superlightを装着して試遊しましたが、従来のMeganeXと同じ5.2K OLEDを搭載しているので映像の切れ味はやはりバツグンに良いです。本体が軽くなっていることから視聴時のストレスもかなり軽減されると思います。
現時点での課題を指摘するとすれば本体の装着スタイルでしょうか。軽いことにはいっさい文句はないのですが、バンドによる固定がやや不安定に感じられました。MeganeX superlightは、Meta Quest 3などのヘッドセットと同様に、フェイシャルガスケット(樹脂製の固定器具のようなもの)をユーザーの目のまわりにベタっと着けて、額と頬骨で支える装着スタイルになります。バンドを頭の後側の高い位置に巻いて調整するスタイルが筆者には合わせづらく感じました。
頭部の上側にも固定するバンドを、必要なユーザーは任意に追加できる仕様だとありがたいです。完成品のデザインに近付いてきたときに、またシフトールの開発現場を取材したいと思っています。
装着感がアップしたワイヤレス防音マイク「mutalk 2」
BluetoothでスマホやPCに接続するワイヤレス防音マイク「mutalk」(ミュートーク)も第2世代に進化します。
初代のmutalkは、オフィスやカフェなど周囲に人がいる公共スペースで、声を出して秘密にしたい内容の会話を交わさなければならない場面で、「周囲に声をもれにくくする」というアイデア商品として脚光を浴びています。そのmutalkのキープコンセプトを変えずに、装着感やマイクの音質を向上させた製品が、2024年5月に発売予定の「mutalk 2」です。
複数の改善箇所の中で、筆者が特に注目した2つのポイントがあります。
ひとつは装着感がかなり楽になることです。シリコン製のノーズカバーマウスパッドで口と鼻の周りがゆったりと覆われるので口もとが動かしやすく、ストレスなく話せました。装着した時に鼻が押さえつけられるような状態にもなりにくいので、会話の声が“鼻声”になりません。
もうひとつが会話の音声が聴きやすくなったことです。48kHz/16bit対応のマイクが音質改善を果たしました。送信側機器との接続は引き続き汎用性の高いBluetoothが使えますが、さらに付属するUSBドングルによる2.4GHzデジタル無線で同時接続できるようになります。
mutalkをほかのBluetoothゲームパッドや、シフトールのワイヤレス・モーショントラッキングセンサーの「HaritoraX」(ハリトラックス)などと一緒にBluetoothで接続して使うと、音質が劣化してしまう課題がありました。第2世代では、デジタル無線接続のオプションが加わることによって解消されます。本体の下側にはUSB Audio対応のポートがあり、パソコンなどの機器と有線接続もできます。
岩佐氏によると、初代mutalkにはオンラインゲームのボイスチャットに本機を使うユーザーが多くいるそうです。装着感や音質が改善されるmutalk 2にはリモート会議など、ビジネスユースもできるワイヤレス防音マイクを待っていた人々に歓迎されると思います。
著者 : 山本敦 やまもとあつし ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。 この著者の記事一覧はこちら

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