旨い店はタクシー運転手に訊け! 私が都内最高峰だと思う家系ラーメン、江古田『五十三家』の魅力とは?

2020年1月26日(日)12時0分 食楽web


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「旅先で旨いものが食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこでB級グルメに精通する現役運転手・荒川治さんにイチオシのお店へ案内してもらいます。

 いよいよ2020年、東京オリ・パラの年ですね。外国人客がたくさん訪れ、タクシー運転手は大忙しになると思いますが、東京の美味しい店をご案内する機会が増えそうでワクワクします。

 とくに外国人が食べたがる食べものといえば、今や日本食とも言われているラーメンです。東京では様々なタイプのラーメンが食べられますが、好みによってかなり評価が左右されるので「ここが1番美味しい」とは一概には言えないのですが、今回、私が自信を持ってご紹介したいのが、江古田にある横浜家系ラーメンの『五十三家(いそみや)』です。私はかれこれ5年通っております。

五十三家の家系ラーメンが美味しい理由とは?


『五十三家』の「のり玉チャーシューらーめん」1100円

 “横浜家系”といえば、ご存知、1974年創業の横浜市の『吉村家』の豚骨醤油ラーメンを源流とするラーメン店。今や横浜にとどまらず、全国に広がり、日本のラーメンレベルを底上げした味といっても過言ではありません。

 濃厚な豚骨醤油のスープに中太麺。そこにほうれん草に海苔、チャーシューという基本トッピング。麺の硬さ、味の濃さ、油の量をオーダー時に調節できるスタイルで、何と言っても白米との相性が抜群。トッピングの海苔でご飯を巻いて、スープにつけて食べるスタイルが確立されているなど、まさにニッポンらしいラーメンなのです。


麺の硬さ、味の濃さ、油の多さをお好みでオーダーするシステム

 数えきれないほど存在する家系の中でも、私があえてこの『五十三家』をオススメする理由。それは、ズバリ美味しいから。加えて、誰もが食べやすいからです。お店に行くとわかると思いますが、女性の一人客が多く、ライスとラーメンを注文して、残さずきれいに食べていくんです。しかもスープまで飲み干す人が多い!

 その理由は、『五十三家』の家系ラーメンは、こってりしているのに、くどくないからです。臭みはなく、非常に優しくて、甘みとまろやかなコクがあり、ギトギトしているどころか、上品ですっきりしているんですよ。


麺は「酒井製麺」の中太麺を使用

 ご主人・五十嵐恵三さんによれば、もともとは『武蔵家』(新中野を中心に東京で数店舗を構える家系の名店)で長年ラーメン作りをし、独立したんだそうです。毎朝、8時からスープを炊き、醤油ダレを作り、麺以外は、すべてお店で手作りしています。


2種類のスープを配合して作る

 それにしても、家系なのに、なぜ、こんなにもさっぱり感が生まれるのでしょうか。もう少し詳しく聞いてみました。「鶏油(チーユ)にこだわりがあって、作り方をちょっと工夫しています。私の場合、鶏脂を水で煮出さずに、水を一切使わずに鶏脂を煮出しながら香りづけをしているんです。こうすると臭みが少なく、すっきりしたタイプの鶏油が取れるわけです」(五十嵐さん)


黄金色の鶏油は、その日の分だけ作る。水で煮出す鶏油より手間暇がかかる

 ちなみに無料のライスもガス釜で炊いており、スープに合うよう水加減にも気を使っているそうです。聞けば聞くほど丁寧に作っている。やっぱり、味は正直に出るものなんだなと思いました。ぜひ、皆さんも食べに行って欲しいのですが、外国人のお友達が東京に来たときに案内してあげると、間違いなく喜ばれるラーメン店だと思いますよ。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO

店名:横浜家系らーめん五十三家

住:東京都練馬区栄町4-7 西村ビル1F
TEL:03-5946-9918
営:平日・祝日11:00〜15:00、18:00〜23:30
土日11:00〜23:30
休:無休(年末年始、夏季休業あり)

●著者プロフィール

荒川治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。写真検索で美味しそうなモノを選び、食べに行って気に入ればとことん通い倒す。でもじつは、自分で料理を作ることも好きで、かなりの腕と評判。

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