バイクのクイズ 第36回 鈴菌感染者なら絶対知ってる? スポーツバイクで初めてリトラを採用モデルは?
2025年1月29日(水)8時0分 マイナビニュース
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スズキマニア(鈴菌感染者)はもちろん、中高年ライダーには簡単すぎる問題かもしれませんが、スポーツバイクでリトラクタブルヘッドライトを初採用したバイクの名前はなんでしょうか?
ヒント:スズキの超有名なペットネームを持っています
スズキの空冷4発として超有名なペットネームを持っていますが、〇型まで答えることができたら完璧です。
——正解は次のページで!
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○問題をおさらい!
正解はこちら!
○【答え】スズキ「GSX750S3(カタナ)」
正解はスズキ「GSX750S3(カタナ)」でした!
スズキの超有名な空冷4気筒車と言えば「カタナ」ですが、このバイクは1984年に登場した「GSX750S3」、いわゆる「3型カタナ」と言われるモデルです。スポーツバイクとして初採用したリトラクタブルヘッドライトが話題となりましたが、デビュー当時は『こんなのカタナじゃない!』と言われ、1990年代の大型空冷4発ブームでも人気が出なかった不遇のモデルです。
「カタナ(KATANA)」の名称を世界に轟かせたモデルは1980年のケルンショーで衝撃的なデビューを飾った「GSX1100S」でした。斬新なデザインで世界的な大ヒットを記録しますが、当時の日本国内では市販できる車両が750㏄以下に規制されていたため、排気量をダウンした「GSX750S(1型)」が1982年に登場。しかし、運輸省からスクリーンや低いハンドルの認可が下りず、「カタナ(KATANA)」という名称を使うことも許されませんでした。
翌年には認可の下りたスクリーンを装備し、フロントに流行の16インチホイールを履かせた「GSX750S(2型)」に改良されますが、やはりハンドルと名称の使用許可は下りなかったそうです。また、技術革新が急激に進んでいたため、1100と共通の車体は迫力こそあれど、基本設計の古さは否めませんでした。
そこで、最新の「GSX750E4」をベースに開発されたのが今回の「GSX750S3(カタナ)」です。ようやく名称にも「カタナ(KATANA)」の使用許可が出ましたが、要となるデザインは1100を継承しつつも、それ以上のインパクトを持たせる必要がありました。1100はハンス・ムート氏の率いるドイツのターゲットデザイン社が手掛けましたが、この3型はスズキ社内でエアロダイナミクスをテーマにデザインされたものです。
驚きのリトラクタブルヘッドライトを備え、“完全新設計のカタナ”として生まれた「3型カタナ」はカラーリングも一新し、パールホワイトのボディとゴールドの角断面フレーム、そしてブラックアウトされたエンジンによるカラーコンビネーションはハイソカーのような印象を抱かせるものでした。見た目だけでなく、エンジンには後の「油冷」の礎となるオイルジェット・ピストン・クーリングを備え、足廻りもフルフローター式モノショックや油圧式アンチノーズダイブ機構などが奢られています。
国内フラッグシップモデルにふさわしいデザインと装備を与えられた「3型カタナ」ですが、“裸身の日本刀”のような初代のイメージがあまりにも強すぎたことや、直後に同門の「GSX-R750」が登場してレーサーレプリカ時代に突入したためセールスに苦戦し、翌年に初代イメージのシルバー色を加えて登場した通称「4型」を最後に生産が終了します。
実は筆者が最初に買ったビッグバイクがこの「3型カタナ」でした。当時は中古の大型車としては格安で、リトラクタブルライトが面白いと思ったからですが、友人達へのお披露目ではモーターが心配になるほど開閉されました(笑)。当時は『不人気車』や『パカタナ』と冷やかされても、『日本人のデザイナーが研いだ3型こそ真の日本刀だ!』なんて強がっていましたが、たくさんの思い出がある1台でしたので、現在も大切に乗られている姿を見ると嬉しかったりします。
それでは、次回をお楽しみに!
津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら