2600年前のエジプト殺人事件、謎の死を遂げた女性のミイラ分析で真相が明らかに

1月30日(木)22時30分 カラパイア

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Notafly / wikimedia commons

 2600年の時を経て、ついにエジプト学者たちが答えを見つけ出したようだ。1835年に初めてその包帯が解かれて185年がたった今年、これまで謎に包まれていた20代の女性のミイラ「タカブチ(Takabuti)」が、どうして早すぎる死を迎えたのか、その謎がついにわかったのだ。

 イギリス、マンチェスター大学の発表によると、彼女はナイフで襲撃されて命を落としたという。つまりこれは、古代エジプト殺人事件なのである。

 最新のDNA鑑定やCTスキャンを行った結果、他にも、タカブチの身体的特徴などが次々と明らかになった。彼女はエジプト人というより、ヨーロッパ人に近いという。
・古代エジプトのミイラ「タカブチ」とは

 「タカブチ」は、古代テーベ(現在のルクソール)で出土したミイラで、ナポレオン戦争後の激しいエジプトミイラ取引騒動に巻き込まれた。

 トーマス・グレッグという裕福なアイルランド人が、1834年に「タカブチ」を獲得、エジプトからベルファストへ持ち帰った。「タカブチ」は、アイルランドに初めて渡ったエジプトミイラになった。

 当時、エジプト学者のエドワード・ヒンクスが、棺に刻まれたヒエログリフを解読し、このミイラが「タカブチ」という名前の既婚女性で、亡くなったとき20代だったことがわかった。

 テーベにあった大邸宅の女主人だったようだ。「タカブチ」の父親は、太陽神アムンに仕えた神官だったこともわかった。

 1835年、ベルファストで最初に「タカブチ」の分析が始まって以来、多くのことが調べられてきた。レントゲンやCTスキャン、毛髪分析、放射性炭素年代測定が行われ、彼女は紀元前660年頃、古代エジプト第25王朝末期に生きていたことがわかった。

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2600年前にエジプトで殺されたと言われている女性「タカブチ」のミイラ
image credit:Ulster Museum

・タカブチは刺殺されていた

 北アイルランド国立博物館、マンチェスター大学、クイーンズ大学ベルファスト校、キングスブリッジ私立病院の研究者らによる研究チームは、最新のDNA鑑定やCTスキャンを行い、様々な事実を明らかにしていった。

 背中の上部、左肩近くの傷から、彼女は鋭利な刃物で刺されて死に至ったことが明らかになった。この大きな傷が致命傷になって、ほぼ即死状態だったようだ。

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University of Manchester and R.D.Loynes

 つまりタカブチは何者かによって殺害されたということになる。

 「彼女は棺の中でとても穏やかに眠っているように見えますが、他者の手にかかって凄惨な最期を迎えたのです」クイーンズ大学ベルファスト校の生物考古学者、アイリーン・マーフィーは言う。


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 他にもタカブチの秘密が次々と明らかになった。

 彼女の歯は通常の32本より多い33本あり、椎骨の数も多いという珍しい特徴があるという。

 また、CTスキャンでは、これまではっきりわからなかった彼女の心臓が、手つかずで完全に保存されていることもわかった。

 古代エジプトでは、ミイラを作る時、腐敗が進まぬよう内臓は取り除かれるが、心臓だけは残される。

 心臓は死後の世界で取り除かれることになっていて、その重さによって、その人が良い人生を送ったかどうかが判断されると考えられていたからだ。

 心臓が重いと、冥界の悪魔アメミットによって食べられてしまい、二度と転生することはできないといわれていた。

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University of Manchester

・遺伝的にはヨーロッパ人に近い

 DNA鑑定で判明したのは、「タカブチ」は遺伝的に現代のエジプト人より、ヨーロッパ人に近いということだ。

 こうした新たな分析で、第25王朝の生活が明らかになってきた。この研究で、「タカブチ」だけでなく、彼女が生きた時代の歴史的状況について、わたしたちの理解が進むだろう。

 彼女がヨーロッパの遺伝子を受け継いでいるという驚きの発見は、エジプトの歴史の重要な転換点に光を当てることになる。

 「タカブチ」のミイラは、現在、北アイルランドにあるアルスター博物館、古代エジプトギャラリーで無料で見学することができる。

References:manchester/ belfastlive/ written by konohazuku / edited by parumo

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