缶詰博士の珍缶・美味缶・納得缶 第92回 パインアメの真実

1月31日(金)12時3分 マイナビニュース

缶詰博士によると、この世には缶詰に関わるトリビアがたくさんあるそうです。中には一見、缶詰と何の関係もなさそうなユニークなものがあるとか。

「例えば昔からあるパインアメ。あれ、実は缶詰と深〜い関係があるんです。あっ、関係という字は缶係と表記してくださいね。缶詰だけに」
えっと、そんなダジャレはおいといて。パインアメと缶詰との間に、一体どんなつながりがあるのでしょうか?

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○目指したのはパイン缶

甘酸っぱさがたまらないパインアメ。思い出すと無性に食べたく、いやなめたくなるもんです。

パイナップル味を味わいたいからパインアメが造られた、とみなさんはお思いでしょう。しかし、違うんであります。

結論から申し上げると、パインアメはパイナップル缶詰の味を目指して造られたのであります。

○フチに優しさあり

さあ皆さん、本日もご唱和ください。開缶!
パインアメ誕生の秘密の前に、まずこの缶詰自体を紹介したい。

これは個別包装のパインアメを詰め込んだ缶詰。未開缶で5年の長期保存が可能であります。
とはいえ、厳密にいえばこれは缶詰じゃない。缶詰の定義は、中身を詰めて真空密封し、缶ごと加熱殺菌してあること。このパインアメ缶は真空じゃないし、加熱殺菌もしていないから、まあ何というか、缶入り食品ということになる。

そんな面倒な話よりも、注目すべきは缶のフチ部分。切り口で手を怪我しないように加工してあるのだ(上図参照)。フタを取ったあとは缶に切り口が一周残って危ないのだが、その直下の缶胴にくぼみ(内面から見れば出っ張り)を施すことで、切り口が手に触れにくいようにしてあるのだ。何という優しさか。

○憧れはパイン缶

さて、パインアメ誕生のお話しだ。パインアメが世の中に登場したのは1951年(昭和26年)のこと。太平洋戦争の敗戦からまだ6年、パイナップルなんぞは庶民にとって高嶺の花だった。いや、それどころか缶詰パインでさえ高級品だった。そこで、
「あの憧れのパイン缶をアメで再現して手軽に味わってもらおう」
と開発されたのがパインアメなのであります。

生鮮果実ではなく缶詰を目指したという、世界でも類を見ない開発コンセプト。それがこのアメちゃん最大の特徴だ。

ゆえに、中央に空いてる穴もパイン缶を忠実に再現した証し。生鮮のパインには穴なんて空いてないのだ。

○どこまでもパイン

パインアメのこだわりはまだある。原料にちゃんとパイナップル果汁を使ってるんであります。僕は何となく香料と着色料だけでパイン味にしてるのだと思っていたけど、そうではなかった。

ちなみに、この原材料名という表示は配合比率が多い順番に書いてある。パインアメの場合は砂糖、水飴ときて3番目がパイナップル果汁だ。

何という良心。何という真心。おまけに会社の名前は「パイン株式会社」。参りました。

缶詰情報
パイン/パインアメ(保存缶)90g 税込432円
一部の食品店や同社公式ショッピングサイトで購入可

○筆者プロフィール: 黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。

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