60歳からの間違えないクルマ選び アラ還評論家が対談

1月31日(水)16時0分 NEWSポストセブン

フリーライターの清水草一氏

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 シニアはどんな「終のクルマ」を選ぶべきか。レースドライバーとして活躍し、幅広い見識を持つ国際自動車ジャーナリストの清水和夫氏(63)と、これまでに40台以上のクルマを購入し「自動車を明るく楽しく論じる」のがモットーのフリーライター・清水草一氏(56)が、間違いのないクルマ選びを指南する。


草一:昨年、若い頃あこがれていたフェラーリ328を買ったんですが、ゆっくり走っても満足できるクルマっていいなあ、としみじみ感じていますね。


和夫:私は懐古趣味ではないけど、1999年式のメルセデス・ベンツE55 AMGを昨年、衝動買いした。トローッとした乗り味が20年ほど前のクルマとは思えないほど心地いい。最近の高性能なクルマはアドレナリンを一気に噴き出させて瞬間的に終わる感じだけど、このクルマはじわ〜っと絶妙に出てくる。


草一:いずれも発売当時はバカッ速いクルマだったのに、時の流れが自然とそういう気持ちにさせるというか、今この年で乗ればスローライフを楽しめるクルマです。


和夫:私が18歳で免許を取って初めて乗ったのが“ハコスカ”と呼ばれた日産スカイライン(3代目)で、若葉マークなのにラリー仕様にガンガン改造した思い出が……あの出会いが人生を変えた。


草一:僕が学生の頃憧れたのもスカイラインでしたね。6代目のR30といって、今見るとやたら角ばっていてダサいんですが、それが“昭和の心”というか。今のクルマとは違い、古いクルマは街の人が温かい目で見てくれますよね。


和夫:今時のイケイケ女より、八千草薫とか吉永小百合が持つような魅力ですよ(笑い)。街中で乗っていてもそれくらいみんなの眼差しが温かい。


草一:古い車への眼差しとは対照的にシニアの運転に対する目線は冷たい。今は多少の運転ミスをカバーしてくれるような安全装備がすごい勢いで進歩している。僕はそれがシニアドライバーにとって追い風だと思っていますが、現状は高齢者というだけで風当たりが強い。


和夫:自動ブレーキなどの運転支援システムがヒューマンエラーをカバーしてくれる時代がやってきているから、何も高齢者だからといって免許を返さなくてもいいでしょう。


 たとえば北米市場をメインに開発されているトヨタカムリは自動ブレーキやペダル踏み間違いを制御する先進安全技術が満載であるうえ、デザインも艶っぽく仕上がっており、クルマとしての完成度が高い。


 同じセダンではBMW5シリーズも土砂降りの高速道路でも車間距離を調整してくれるシステムなど運転支援技術が充実しており、視力や判断力が衰えがちな世代にとってはありがたい。


草一:衝突被害を軽減するアイサイトを搭載したスバルXVも、ちょっと車高が高くて見晴らしがよく、スタイリッシュなのが魅力といえます。ところで、電気自動車(EV)をはじめ次世代カーが台頭していますが、私はまだEVに焦って飛びつく必要はなく、「待ち」の時期だと考えています。


和夫:一般に広く普及するには今よりも電池の高性能化が必須だし、EVはまだ特殊なクルマだと認識しておいた方がいいでしょう。クルマはしょせん道具なので、まず自分が老後に目指すライフスタイルに合わせて選ぶべき。


◆コスパも考えたい


草一:さすがにそこまできっちりと設計図が思い描ける人は“エリート”ですよ(笑い)。私がこの年になって思うのは、小さいクルマに乗り換えることで自由が広がると思えたことです。駐車をはじめ取り回しが格段に楽になるし、自由度が増す。


 特に最近気になっているのが、スズキのスイフトスポーツ。マイカーとして買い替えようかなと思えるほど、小さくてちゃんとしたクルマなんです。


和夫:あれはいいよね。小さいといえば、最近売れているホンダの軽自動車N-BOXもいい。車間距離を保ったり、車線保持する運転支援システムを搭載しているうえに、スライドドアでお年寄りが乗り降りしやすい。あれだけの使い勝手は他の小型車ではなかなかないから、売れている理由も頷ける。


 軽自動車は「日本のガラパゴス化」といわれていますが、そういったものが海外に出て行くことで「ガラパゴスの逆襲」になることも期待したい。


草一:トランプ大統領にも乗せたい1台ですよね(笑い)。軽でも運転しやすい視点の高さや後席の乗降性まで考えると、オススメはスライドドアのトールワゴンタイプ。スズキスペーシアは昨年12月に新型になったばかりで120万円台〜とかなり安く、軽自動車初の視認性の高いヘッドアップディスプレイも装備。安全装備に加えて個性的なデザインを求めるなら、ダイハツムーヴキャンパス、スズキハスラーあたりも注目でしょう。


和夫:軽ではないけど、メルセデス生まれの超コンパクトカー、スマートフォーツー(2人乗り)もいい。小回りの利くキビキビした走りで、近所の買い物向きかと思ったら、意外に長距離も行ける。八ヶ岳までスキーに行ったけど、リアエンジンで坂道も苦にせず、アウトドアでも使える意外性も持っています。また月々1万円以下のローンプランもあり、買いやすい。


草一:コスパで考えると、日本は世界的に軽油が安いから、クリーンディーゼルが売りのマツダCX-3などもオススメですね。あるいはシニアにこそ、今ひそかにブームのマニュアル車ということで、ホンダのシビックタイプRなども挙げておきたい。


和夫:クルマは自由な移動手段ですが、それを最大限に活かすためには、まず安全最優先(セーフティ・ファースト)。それも自分中心ではなく、周囲の安全を考えれば、最後は自分に返ってきます。


 社会がもっと活性化するためにも、60代以上の方にぜひクルマに乗って自由に移動してほしいですね。


●清水草一(しみず・そういち):1962年生まれ。慶応大学卒。編集者を経てフリーライターに。無類のフェラーリ好きとして知られ、通算11台のフェラーリを乗り継いできた。著書も多数。


●清水和夫(しみず・かずお):1954年生まれ。武蔵工業大学卒。1981年からプロレースドライバーとして活躍し、1988年にジャーナリスト活動開始。内閣府自動走行システム推進委員ほか政府の委員も多く務める。


※週刊ポスト2018年2月9日号

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