「開けんかい!コラァ!」 前の車にクラクションを鳴らしたら、『お仲間』の後続車に囲まれて...

2024年2月1日(木)11時50分 Jタウンネット

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Nさん(兵庫県・50代女性)

29年前の冬、Nさんは乳児の息子を車に乗せて海へ向かっていた。

信号で他の車とぶつかりそうになり、Nさんがクラクションを鳴らすと......。

<Nさんの体験談>

妊娠中、夫が結婚直後から浮気していたことが分かり、途中修羅場となりながらも出産しました。

可愛い笑顔に癒されるも、夫婦仲は最悪。度重なる色々なことに心壊れた私は、夜中にふと乳児の息子を連れ、無意識に海へと車を走らせていました。

生きることを終わらせようとしていたのです。

「開けんかい!コラァ!!!」

海へ向かう道の最後の信号、ちょうど海へ続く坂のところで、車とぶつかりそうになりました。

心が壊れていた私は大きくクラクションを鳴らしてしまいました。その瞬間、その車と、その車に続くたくさんの車が、私の車の前や後ろに......。ぶつかりそうになったのは、暴走族の人たちだったのです。

前後を車に挟まれ、降りてきた人に囲まれました。そして、その中の1人がわめきながら窓を叩いてきます。

「開けんかい!コラァ!!!」

もうどうでもいいと思っていたので、窓を開けました。その人は怒鳴りながら、私の襟ぐりを掴もうとしました。

しかし掴みかけた瞬間、仲間の方に振り向いて「やめろ!!!」。そして私に言いました。

「こんな時間に赤ちゃん連れてどうしたねん!?赤ちゃんないてもてるやんか!はよ帰り」

「今日はここ通られへんで!」

もう気持ちは海へ向かっていたので、私は涙を流しながら「どいてください。海へ行きます」と言ったと思います。

すると、その人は仲間たちに「おい!みんな!ここ通れんようにして」と合図して、私には

「なんかしんどかったんか?変なこと考えんとな。可愛い子供大事にしたりんか。今日はここ通られへんで!わかったか?な、だからな、家帰り」

と言ったのです。

優しさに触れました。心が少し溶けました。

その後、みんなが誘導してくれて、私はUターンし、帰路につきました。

みんなが「頑張れー!」と言ってくれていました。

あの時赤ちゃんだった息子は今、29歳。私も息子も元気に暮らせています。

あの時、あの人に、あの人達に出逢えてなかったら......。

いつか、何かのタイミングで命を救っていただいたお礼を言いたいと思っていたところ、このコーナーに出会いました。

29年前の冬、姫路の飾磨港のそばで出逢った皆様に、時を越え心からの感謝を。

命を救っていただき、本当にありがとうございました。

あわせて、その方達に繋がる情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひお知らせいただきたく思います。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度〜)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)

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