銃口向けられ、ギャングに突撃され…! 最悪のスラム街を10年間撮り続けた「クレイジージャーニー」写真家・伊藤大輔インタビュー

2月2日(土)7時0分 tocana

ROMÂNTICO(ホマンチコ)

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 ブラジル、リオデジャネイロのファベーラ(スラム街)に10年間暮らし、住人たちと日常を共にしながら撮影を続けた写真家・伊藤大輔。人気番組『クレイジージャーニー』(TBS系)に出演した回では、ギャングに銃口を向けられながらもシャッターを切るそのスタイルが大反響を巻き起こした。2016年に帰国し、活動拠点を日本に戻した伊藤がこのたび、リオ生活の集大成となる写真集『ROMÂNTICO(ホマンチコ)』(イースト・プレス)を上梓した。2月1日には、銀座蔦屋書店でのトークイベントも開催される。「この写真集は自分の生き様」と語る話題の写真家が、満を持してトカナに登場だ!


■撮影中にギャングに捕まって……!

——ギャングたちの銃撃戦が日常茶飯事というファベーラで、奥様とお子さんと一緒に暮らしながら写真を撮り続けたという点が何よりも衝撃的です。身の危険を感じたことはなかったのでしょうか?


伊藤大輔(以下、伊藤)  そりゃ、もちろんありました。家の中にいると、すぐ近くで銃撃戦の「パン、パン」って音が聞こえたりして。ファベーラの家は、どこもレンガ造りで壁が薄くて、家でシャワーを浴びている時に貫通してきた流れ弾に当たって死んだとか、そういう話はホントにあるんです。そんな時、窓からちょっとカメラを出して撮影したい気持ちも湧いてきたけど、実際はそれどころじゃなかったですね。

【その他の画像はコチラ→https://tocana.jp/2019/02/post_19555_entry.html】

——『クレイジージャーニー』で紹介された、銃口を向けてきたギャングを正面から捉えたショットですが、司会の松本人志さんも「引き金に指かかってるやん!」と驚愕していました。

伊藤  あれは、あらかじめ交渉して撮影したから、実は全然怖くなかったんです。それに彼らの生態はよくわかってるつもりだし、ちゃんと彼らのルールさえ守っていれば意外と信頼できる人たちなので。ほかにも、あの時に一緒に撮ったギャングたちが並んでる写真とか「ちょっとポージングさせすぎたな」と思って、本当はこの写真集に入れるのをやめようか悩んだんです。自分のスタイルは、大体ドキュメンタリーと演出が7対3くらいだけど、あの写真にはちょっと演出が多いような気がして。でも、出版社の人が入れて下さいって言うから、結局入れることになりましたね。


——では、撮影するときは被写体に対して何も言わず、いきなりシャッターを切ることが多いのですか?

伊藤  そうですね。だって「写真撮ってもいいですか?」なんて聞いたら、相手はどうしてもその時点で身構えちゃう。それ以前に、(ギャングたちには)普通に「ダメだ」って言われちゃうから。だから最初は何も言わないで、空気のように撮る。それでもし嫌がられた時にどうするかはケースによるけど、「とりあえず撮る」っていうのが今まで何回もファーストコンタクトを乗り越えてきて、一番いいって結論ですね。


——撮影中にトラブルになったことも?

伊藤  もちろんあるけど、ちゃんと説明すれば大丈夫。たとえば、昼間のファベーラで、日本から届いた新しいフラッシュをパンパンって焚いて試してた時、ギャングたちがすごい勢いで突撃してきたことがあって。あの時はさすがに足が震えたけど、「おい、お前、何やってんだ!」って腕をつかまれてギャングのたまり場に連れて行かれたら、ボスに「カメラを出せ」って命令されて、デジカメだったから撮った写真を見せたんです。


——絶体絶命じゃないですか!

伊藤  もう、下っ端の少年とか目が充血してたり、ホントに怖かった。でも、ボスはわりと落ち着いてる感じで。ポルトガル語で「ちゃんとここで暮らしていて、友達もいるんだ」ってことを説明して撮った写真も消したら、それで解放されたし、ちゃんとカメラも返してくれた。でも、もしあそこで恐怖のあまり逃げ出しちゃったりしてたら、後ろから撃たれたかもしれない。(こちらも冷静さを失わず)正直に話せば、向こうも安心するんじゃないかな? それに彼らと同じ言葉で状況を説明できたことも、(英語などで話すより)相手の理解を得やすい面はあると思う。

 でもファベーラで生活して、「今はカメラを出せないけど、オレの目にシャッターがついてて、瞬きで写真が撮れたらすげー写真家になれんのにな」っていう瞬間はいっぱい見ました。いろいろ悩んで写真を撮らなくなった時期もあったし、10年暮らして写真集は(『ROMÂNTICO』の)1冊だから。スラム街を撮るのって、実はすごいコスパ悪いですよ。


■この写真集は伊藤大輔の“生き様”だ!

——最初はクラウドファンディングで60部限定の写真集を作り、それが出版社の目に止まって今回の写真集出版につながったということですが、完成したものを見てどのような思いがありますか?

伊藤  これはもう生き様ですね。時間をかけて、自分がやってきたことの集大成という意味で。大学を出てから1年間サラリーマンをやって、辞めて、スペインの写真学校に入って……と、そこから15年の全部が入っている。

(取材・文=里中高志)

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