ドラレコ、付けただけで安心はダメ 意外な盲点が結構ある

2月3日(月)16時0分 NEWSポストセブン

あおり運転で逮捕された夫容疑者が事故を起こした車両(時事通信フォト)

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「『これで安心だ』と思ったのも束の間でした」。70代後半の両親が使う車にドライブレコーダー(ドラレコ)を取り付けていた40代の男性は、そう言って頭を抱えた。両親は孫の顔を見るため、長野から都内へ月に一度のドライブ中だったという。


「万が一のことを考えて、昨年夏にドラレコを購入しました。この事故は運転していた父親のミスではなく、一般道で後ろから追突されたんです」


 連絡を受けた男性を待っていたのは驚きの事態だった。「そっちが急にブレーキをかけたせいで、ぶつかった」という相手方の主張を覆そうと、両親の車のドラレコを確認すると「映っていたのは、事故の後の映像だけ」(前出・40代男性)だったというのである。いったい、何が起きたのか。


 ドラレコの〈肝心な場面の上書きトラブル〉の多くは「SDカードに対する認識不足」と指摘するのは、日本交通事故鑑識研究所・代表取締役の大慈彌拓也氏だ。SDカードとは、ドラレコの中に入れる記録媒体である。


「多くの場合、はじめから付属しているカードの容量は、8GB程度です。設定によっては1時間程度しか録画できず、それが過ぎると、頭から上書きされてしまう。ですから、付属のものより容量の大きいカードを別途購入することをお勧めします」(大慈彌氏)


 冒頭のケースでは、8GBのSDカードが使われていたことに加え、エンジンを止めても録画を続けるバッテリー内蔵型のドラレコだったため、男性が現場に着くまでの約1時間でカードの容量がいっぱいになり、事故発生時の映像が上書きされてしまったのだった。


 SDカードをめぐる問題は、これだけに止まらない。毎週のように夫婦でキャンプへ出かけている30代男性は大容量のカードを使っていたが、山で衝突事故を起こしたとき、肝心のドラレコには何も記録されていなかったという。


「モニターにはいつも映っていたのに……ドラレコの故障かと修理に出したら、機械は壊れていませんでした」


 前出・大慈彌氏によれば、これもよくあるトラブルなのだという。


「ドラレコで使用するSDカードは、デジタルカメラなど他の電子機器と同じものです。でも車内は環境が違う。


 デジカメを真夏の車内に何日も置きっぱなしにする人はいないと思いますが、ドラレコのSDカードは挿しっぱなしなので、炎天下や極寒の状態で何日も放置されているのと同じです。その上、運転するたびに録画と上書きを繰り返すので、一枚のカードは半年くらいで寿命がくると思ってもらったほうが安全です」


 少し面倒でも、月に一度は録画データを確認し、SDカードの不具合をチェックする習慣をつけたい。


 2017年6月に世間を騒がせた東名高速道路のあおり運転事故以降、運転者の身を守るためのツールとして、ドラレコの売れ行きは急激に伸びた。


 ドライブレコーダー協議会の統計によれば、2017年度の第2四半期には約43万台だったドラレコの出荷数は、昨年の第2四半期には約132万台にまで膨れあがっている。だが、その一方、ドラレコを設置しただけで安心してしまい、事故が起きてから初めて、その“落とし穴”に戸惑う人々がいることも事実なのである。


※週刊ポスト2020年2月14日号

NEWSポストセブン

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