年金「満額」をめぐる2つの勘違いを検証

2月6日(火)18時30分 All About

20~60歳までの40年間、国民年金を納付すると老齢基礎年金が満額支給されます。金額は78万100円(平成27年度)。この「満額」、よく勘違いをされています。思わぬ損にもつながる典型的な2つの勘違いについて、正しく理解しておきましょう。

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年金満額の誤解その1「40年以上加入しても仕方がない!?」

ある日、Yさん(男性・58歳)からこんな質問がありました。

「国民年金って、40年で満額なんだそうですね。私は18歳から厚生年金に加入して、今年で加入期間は40年になりました。これ以上納めても意味がないので、今後は納めないでおこうと思うのですが……」

Yさんは高校卒業後、会社員として30年間勤務し、その後脱サラし自営業を営んでいます。脱サラ後は国民年金に加入し、保険料は欠かさず納めているそうです。Yさんは18歳から年金制度に加入したので、58歳まで確かに40年間加入していることになります。しかし、国民年金に60歳まで加入し続けなければなりません。Yさんにしてみれば、40年加入しているのだから、これ以上加入しても意味がなく、保険料がもったいないと思われるようです。これって、一見もっともなことのように思えますが、実際はどうなのでしょうか?

「20歳まで」と「60歳以降」は、国民年金の年金額に反映されない

確かに国民年金は40年間(480月)加入で満額となります。そして40年以上加入しても年金は増えません。それは事実です。しかし、注意をしなければならないのは、「国民年金の加入期間」の考え方です。国民年金の40年間(要は年金額に反映される期間)とは、「20歳から60歳まで」の40年間を指します。ですから、Yさんのように、18歳から会社員として年金(厚生年金)に加入した場合、厚生年金は18歳から年金に反映されますが、国民年金として反映される期間はあくまでも20歳からとなります。

Yさんは現在58歳ですから、年金制度には40年加入しているけれど、国民年金の年金に反映される期間としては、まだ38年でしかないわけです。今から国民年金を払わなかったとすると、満額の国民年金は受け取れないことになります。

ちょっとした誤解をしていたわけですね。Yさんはこのことを理解して、「60歳まで払い続けます」とおっしゃっていました。このように、年金の加入期間が40年以上あったとしても、「20歳まで」と「60歳以降」の年金加入期間は、国民年金の年金額には反映されないことをしっかり理解しておきたいものです。

年金満額の誤解その2「厚生年金にも満額(上限)はある!?」

国民年金を40年全て納付した場合に受け取れる老齢基礎年金額(満額)は、78万100円(平成28年度)です。では、厚生年金に「満額」というものはあるのでしょうか? 答えは、「特に決まっていない」です。

厚生年金の額は「加入期間」と「加入期間の平均給料」によって決まります。加入期間には事実上の上限(70歳まで)がありますし、平均給料も上限(標準報酬月額62万円)が設定されていますので、青天井とはいきません。しかし、基本的には加入期間が長ければ長いほど、平均給料が高ければ高いほど年金額が増える仕組みとなっています。

60歳以降は厚生年金に加入しても国民年金は増えない!

国民年金の加入期間は20歳から60歳までの40年間で、全て保険料を納付していたら「満額」受け取れることになりますので、この40年間のうち、保険料の滞納もしくは免除期間があれば、その期間に応じて受け取れる年金額は減額されます。

そこで、60歳以降も年金制度に加入し続けて増やす仕組みがあります。それが「任意加入」と言われるものです。このケースでも誤解が見受けられます。それが「60歳以降も会社員として厚生年金に加入しているから、任意加入は必要ない」というものです。

厚生年金に加入していることで、国民年金の保険料を納めたことになるのは「60歳まで」です。60歳以降厚生年金に加入し続けたとしても、国民年金(老齢基礎年金)の額は「増えない」のです。したがって、60歳以降に厚生年金へ加入している人が、老齢基礎年金額を増やすには「別途、国民年金に任意加入しなければならない」ことになりますが、残念ながら厚生年金と任意加入の同時加入はできません。

ただ、厚生年金加入中でも、過去の国民年金の滞納期間や免除期間の納付は可能です。過去の国民年金の滞納や免除期間がある方は、納付することで増額が可能となります。さて、「任意加入」できるのは、老齢基礎年金額の満額までです。満額を超えて更に増やすことはできません。これも注意が必要ですね。これら様々な誤解を生んでしまう原因は、現在の年金制度が複雑すぎるため。この複雑さの改善に是非取り組んでほしいと思います。
(文:和田 雅彦)

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