札幌を舞台に大熱狂の5日間! 『Apex』世界大会「ALGS Year 4 Championship」現地レポート

2025年2月7日(金)16時37分 マイナビニュース


●初日から盛り上がる会場。来場者が楽しめるコンテンツも豊富
2025年1月29日から2月2日にかけて、北海道札幌市にてElectronic Arts(以下、EA)が主催するバトルロイヤルシューティングゲーム『Apex Legends』(以下、Apex)の世界大会「Apex Legends Global Series(以下、ALGS)Year 4 Championship」が開催されました。
本大会は、大和ハウス プレミストドーム(札幌ドーム)にて行われ、ALGSとしてはアジアで初めての開催、かつ過去最大規模での実施になりました。5日間を通して多くのファンがつめかけ、大きな盛り上がりを見せた会場の模様をお届けします。
また、記事の最後には、EAでALGSシニアブランドマーケティングマネージャーを務める、Jasmine Chiangさんへのインタビューを掲載。札幌での開催が決まった経緯や、日本の『Apex』人気の高さなどについて聞いています。
空港も最寄り駅もALGSムード! 札幌市の協力により開催へ
「ALGS Year 4 Championship」は、Year 4の年間王者を決める世界大会で、世界から全40チームが札幌に集結しました。札幌では、新千歳空港や会場の最寄駅である福住駅、札幌駅前通地下歩行空間、すすきの交差点など、さまざまな場所でALGSの広告を掲示。街をあげて大会を盛り上げます。
日本は世界的に見ても『Apex』の人気が高く、EAにとって日本開催は念願だったとのこと。開催地として日本のあらゆる都市を検討するなか、札幌ドームの会場としての適性と札幌市のサポートが決定打となり、札幌での開催が決定。チケットはトータル3万枚以上が販売され、最終日は12,500枚がソールドアウトしました。昨年ロサンゼルスで開催された大会もソールドアウトを記録しましたが、今回はその2〜3倍の規模にあたるといいます。
本大会では、チケット代がリーズナブルな価格に抑えられていたことも特徴的でした。レギュラー1日券の場合、水曜と木曜のDay1〜2は1,900円、金曜のDay3は2,200円、土曜のDay4は4,000円、日曜のDay5は4,500円。最終3日間のレギュラー通し券は9,200円です。
地方開催のため、もちろん遠方からの参加には交通費や宿泊費がかかります。しかし、チケット代そのものが抑えられていることで、地元の人にとっては「一度行ってみようかな」と思えたり、友人を誘いやすかったりします。実際に今回、会場にいて「初めてゲームの大会に来た」といった声も聞こえてきました。チケット代のハードルの低さが、オフライン観戦の魅力を体感してもらう入り口になっていたように感じます。
開幕から日本チーム「Fnatic」の勝利に沸き立つ会場
Day1〜2には、グループステージが行われます。日本を含むAPAC North地域のチームとしては、日本の「Fnatic」、「Meteor」、「GHS Professional」、「REIGNITE」、韓国の「Crazy Raccoon」、「ENTER FORCE.36」の計6チームが出場しました。
初日は、開幕1マッチ目から最終盤が「Fnatic」と「Meteor」の日本チーム対決となり、「Fnatic」がチャンピオンを獲得。記念すべき日本開催の初戦で、日本チームのこれ以上ない絶好のすべり出しに、会場は大歓声に包まれました。
グループステージは、グループを組み換えながら1日に計18試合を行うため、スタートは朝9時。平日のかなり早い時間にもかかわらず、すでに多くのファンが応援に駆けつけていました。この1マッチ目を見れただけでも、初日から見に来たかいがあったと思える展開でしたが、「Fnatic」はこの後も大活躍。2日間のグループステージを通して4回ものチャンピオンを獲得し、総合2位につけました。
ステージには、20チーム分の選手席が2階建てで設置され、その上に7つのモニターが並んでいました。ドーム内を暗幕で区切る札幌ドームの「新モード」を活用し、ドームでありながら選手席が遠くなりすぎず、客席から選手の姿が見やすくなっています。選手席からも客席がよく見えていて、試合間には選手がファンに手を振って声援に応える場面も多く見られました。
7つ並ぶモニターには、メイン画面、マップ画面、スコア画面の3種類を常時表示。両サイドのスコア画面には、マッチ内ポイントと総合ポイントが交互に映され、順位をリアルタイムに把握しながら観戦できます。
各選手席にはチーム名が示されており、ゲーム内で全滅すると「ELIMINATED/部隊全滅」と表示されます。全滅後は選手席が赤く照らされ、チーム名が暗転。生き残っているチームが一目見てわかるようになっていました。さらに、リング縮小時などのゲームと連動した演出もあり、オフライン観戦ならではの臨場感をより高めていました。
開幕1ゲーム目からFnaticチャンピオン!!!🇯🇵🔥日本開催でいきなり最終盤が日本チーム対決になるのアツすぎた#ALGS #ApexLegends pic.twitter.com/1r0ObqjgXp— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) January 29, 2025
部隊全滅とリング縮小の会場演出👀#ALGS #ApexLegends pic.twitter.com/aTRpVzmcyf— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) January 29, 2025
ステージの裏側には、コンテンツ盛りだくさんのファンゾーン
暗幕で区切られたステージの裏側には、広い空間を使ったファンゾーンがありました。ファンゾーンには、オフィシャル物販ブースやチームブース、スポンサーブース、さまざまな展示のほか、ミート&グリートのためのエリアなどが設けられていました。
なかでも印象的だったコンテンツは、会場内にいる5体のネッシーを探し出す「ネッシーハント」。ネッシーを見つけたら証拠として自撮りをして、5体全部を見つけたらブースのスタッフに提示します。ネッシーの位置は毎日変化し、日ごとに先着50名まで金ネッシーのぬいぐるみがもらえました。簡単には見つからず、ネッシーを探すうちにほかの来場者との交流が生まれるなど、とてもおもしろい仕掛けでした。
●大会はいよいよ後半戦へ。Day3からは緊張感マックス!
ついに敗退チームが決まり始めたDay3
Day3のLOSERS ROUND 1には、グループステージ下位20チームが出場。8試合を行い、総合ランキングで11位以下になったチームは、敗退が確定します。日本チームは、3〜4マッチ目から大きく盛り返した「GHS Professional」が、総合3位で突破。しかし、残念ながら「Meteor」と「REIGNITE」は上位10チームに入れず、ここで敗退となりました。
会場で観戦していておもしろかったのは、最終8マッチ目での「Team Burger」の活躍です。会場ではスコア画面が常時表示されているため、敗退圏内にいた「Team Burger」が最終マッチで終盤まで生き残り、どんどんランキングを駆け上がっていくのが見えます。ついには10位にいた「NRG」を追い越し、「Team Burger」が突破を決めるという展開で、会場を沸かせました。
Day3になると、ますます観客が増え、客席の上方まで埋まり始めていました。また、この日から札幌ドーム展望台を「ミラージュボヤージュ」として公開。会場内を一望しながら長いエスカレーターを上り、展望台につくと札幌の街並みを楽しむことができました。
ミラージュボヤージュ(展望台)行ってきた!行く途中で会場も一望できる👀✨️#ALGSsapporo #ApexLegends pic.twitter.com/5snM2rcFbU— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) February 1, 2025
SiMが大会テーマソングを熱唱、決勝進出をかけたDay4
土曜のDay4になると、さらに観客が増えます。開場の10時半ごろには、札幌ドームから徒歩5分はかかる最寄りのコンビニまで入場待機列が伸びるほどになっていました。会場内の座席は自由席になっており、プレミアムチケット購入者は30分早く入場できます。それでも、応援するチームの目の前に座りたい熱量の高いファンは、かなり朝早くから並んでいたようです。
Day4のオープニングでは、レゲエパンクバンドSiMが大会テーマソング「CHAMPiONS」を披露しました。ボーカルのMAHさんは、歴4〜5年の『Apex』プレイヤー。当初はEAからSiMの既存曲の演奏オファーをもらったものの、より特別なものにするため楽曲を書き下ろしたといいます。
Day4の前半は、グループステージ上位20チームが戦うWINNERS ROUND1。ここで「ENTER FORCE.36」は、今大会最多の21キルチャンピオンを獲得し、FINAL ROUND進出を決めます。「Fnatic」は上位10チームに入れず、続けてLOSERS ROUND 2を戦うことになりました。
後半のLOSERS ROUND 2では、上位10チームのFINAL ROUND進出、下位10チームの敗退が決まります。ここで上位10チームに日本チームが入らなければ、最終日のFINAL ROUNDに日本チームが不在になってしまうという、非常にプレッシャーのかかる状況でした。
LOSERS ROUND 2は、初戦から「GHS Professional」がチャンピオンを獲得します。振るわないマッチが続いた「Fnatic」も、4マッチ目に起死回生のチャンピオンを獲得し、会場では地鳴りのような大歓声が響き渡りました。ここで最下位から一気にランキングを巻き返した「Fnatic」は、最終的に総合8位でFINAL ROUNDに進出。しかし、「GHS Professional」はあとわずか3ポイントが足りず、惜しくも敗退となりました。
なお、「Fnatic」はこの日だけで計16試合を戦っています。観戦しているだけでも相当な疲労感があるのに、これだけの試合数を戦い抜くとなると、選手にはいったいどれほどの体力や集中力が求められるのだろうと考えさせられます。
手に汗握るマッチポイントルールで大白熱の最終日Day5
いよいよ迎えた最終日Day5には、マッチポイントルールでのFINAL ROUNDが行われます。マッチポイントルールでは、50ポイントに到達したチームが次の試合から“マッチポイント点灯”状態になり、その状態でチャンピオンを獲得すると優勝が決定します。何試合で決着がつくか読めないものの、シンプルでわかりやすく、かつ観戦体験として非常におもしろいルールです。
会場では、さまざまなチームのフラッグがはためき、応援コールが鳴り響きます。「Fnatic」へのコールはもちろんのこと、初日から「Let's Go EXO!!」のコールを送り続けていた「EXO Clan」の応援団など、海外チームのファンもそれぞれ集まって存在感をアピールしていました。中国チームが出場する大会配信のコメント欄でよく見かける、中国語の「加油(ジャーヨウ/がんばれ)!」という声援も聞こえてきます。
自由席のため、あくまで各チームのファンは「だいたいこのあたり」という集まり方をしています。ただ、他チームのファンが隣り合っていてもバチバチした雰囲気ではなく、むしろお互いの応援コールにも参加し合うような、平和で温かい盛り上がり方をしていました。
試合はマッチ5終了時点で、「Team Falcons」と「Alliance」がマッチポイント点灯。マッチを重ねるごとにマッチポイント点灯チームが増え、ヒリヒリとした緊張感が増していきます。そうしたなか、「Fnatic」はマッチ7で50ポイントに到達。マッチポイント点灯し、次の試合から優勝のチャンスが生まれます。
しかし、このマッチ7の最終盤は、すでにマッチポイント点灯している「Team Falcons」と「Alliance」の2チームと、点灯していない「GoNext」の三つ巴に。ついに優勝が決まってしまうかと思われたところ、点灯チームのチャンピオンを「GoNext」が阻止。まだ試合が続くことが確定し、満席の客席が大歓声で沸き立ちました。
マッチ8を終えた時点では、すでに9チームがマッチポイント点灯。観客は、一つひとつのファイトを、手に汗握る思いで見守ります。そして、9マッチ目で再びチャンピオンを獲得したのは「GoNext」。命運を分けたマッチ7で他チームの優勝を阻止し、そのうえにもぎ取ったドラマチックな勝利で「GoNext」が見事優勝に輝きました。
残念ながら「Fnatic」の優勝は叶わず、総合10位という結果になりました。ただ、最終日のFINAL ROUNDで日本チームを応援できたことも、最後のマッチまで日本チームの優勝を祈りながら観戦できたことも、「Fnatic」の活躍あってこそ。自国開催という大きなプレッシャーを背負いながらも、すばらしい活躍を見せてくれました。
今回の札幌開催における盛り上がりは想像以上のもので、来場者はもちろんのこと、海外チームやさまざまな関係者などのSNSからも、かなりの好評を得ていることがうかがえました。近い将来、また日本が開催地に選ばれること、そして日本チームの優勝が見られることを願っています。
1ゲーム目Fnatic惜しかった〜!!最終日はALGSとして過去最大の1万2500席がソールドアウトしていて上までびっしり満席です👀🔥#ALGSSapporo #ApexLegends pic.twitter.com/eN3RyvG3dv— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) February 2, 2025
Let's go Fnatic!!!!!!!🇯🇵🔥🔥🔥#FNCWIN #FNCWIN #FNCWIN #ALGSSapporo #ApexLegends pic.twitter.com/QZfXvlLJkc— 綾本ゆかり / Yukari Ayamoto (@ayayuka99) February 2, 2025
●ALGS関係者インタビュー
「また日本に戻ってきたい」——。大会担当者が実感した日本の『Apex』人気
大会中のDay2に、EAでALGSシニアブランドマーケティングマネージャーを務める、Jasmine Chiangさんにインタビューを実施しました。札幌での開催が決まった経緯や、日本における『Apex』人気の高さなどについて聞いています。
——最初に、ALGSのアジア初となる開催地に日本が選ばれた理由を教えてください。
Jasmine Chiangさん(以下、Chiang):長年、日本で開催したいと思っていました。なにより日本にはたくさんのファンがいます。日本での開催をずっと目指してきたので、ついに実現できてうれしく思っています。
——日本のなかでも、なぜ札幌が選ばれたのでしょうか?
Chiang:会場に関しては、いろいろなところをチェックしていました。会場を選ぶ際に考慮することは、本当にたくさんあります。会場のエリアやアクセスが適切か、十分な観客を収容できるキャパシティがあるか。それから、ALGSでは非常に大きなステージを設けるので、それが可能かどうか。そういったことを考慮して会場を探していたなか、最初に札幌ドームに来たとき「完璧だ」という感覚がありました。
さらに、札幌市の皆さんも我々のことをすごく歓迎してくださり、ご協力のもと一緒に開催することができました。そうしたパートナーとしての札幌市のサポートも、とても大きかったです。
——検討段階で、東京近郊やその他の都市での開催も候補にありましたか?
Chiang:最初は本当にいろいろなところを検討していて、東京近郊に限らず、日本全国の都市を見ていました。そのなかで、やはり会場の適性や市の協力といった部分などから、最終的に札幌に決まりました。
また、札幌ではちょうど雪まつりが行われる、とてもエキサイティングなタイミングでもあります。ファンの皆さんを呼ぶ時期としても適切な戦略だと思い、総合的に判断しました。
——開催の発表後、チケットの売れ行きなどを含めた反響に対して、どのような印象を持たれましたか?
Chiang:とてもアメイジングで、今でも信じられないくらいです。3万枚以上のチケットが売れ、最終日である日曜のチケットは12,500枚がすべて売り切れています。私自身の今までの長いキャリアのなかでも最大のイベントですし、EAにとっても最大のイベントなので、我々にとって非常に特別な時間になっています。
——ここまで2日間、日本のファンの盛り上がりをどのようにご覧になりましたか?
Chiang:非常にすばらしいと思っています。というのも、日本のファンに限らず世界中から集まっているファンが、それぞれの国ごとのファンというより、1つのコミュニティになっている印象だからです。それこそが、『Apex』のコミュニティだなと思います。
初日の1マッチ目に「Fnatic」がチャンピオンを獲得したときも、本当に熱狂的な盛り上がりでした。ファンの皆さんのそういったサポートに、とても感謝しています。
——世界のさまざまな国や地域のなかで、特にコミュニティの熱量の高い地域やユニークな地域があれば教えてください。
Chiang:やはり日本のコミュニティがすごく特別だと思います。日本では、例えば自分が『Apex』に携わる仕事をしていると言うだけで、すぐに仲良くなれます。タクシーの運転手さんにもレストランで知り合った人にも、そういった話をしたら、すごく歓迎されてすぐ打ち解けました。こういった体験は非常にユニークですし、日本の『Apex』への愛がすごいなと感じます。
——日本は『Apex』の認知度が特に高いということなのでしょうか?
Chiang:そうだと思います。日本ではショッピングに行ったときにも、『Apex』のグッズが売っていたりしますよね。我々としても今回、札幌全体でたくさん広告を出しましたし、渋谷にも広告を出しました。そうしたもので、認知度が上がっている面もあると思います。同時に、オンライン上でもSNSで多くの投稿がされていて、そういったことを踏まえても、やはり日本という市場の大きさを感じます。
——日本以外に、『Apex』の人気が高い国を挙げるとしたらどこですか?
Chiang:アメリカが挙げられると思います。昨年、ロサンゼルスで大会を開催したときもチケットがソールドアウトする大きな反響を呼びました。そのとき、チケットのセールスは記録的な枚数だったので、それを踏まえてもアメリカでの人気が高いといえます。でも今回、日本ではその2〜3倍を記録するほどのチケットの販売数になりました。それくらい日本は特別だと思います。
——ALGSという大会ならではの、オリジナリティとして意識されているポイントがあれば教えてください。
Chiang:ALGSの特徴的なところは、『Apex』というゲームへの愛でつながったコミュニティの存在だと思っています。会場では、どの国やどの地域の人であっても、誰でもすぐに友達として話せます。これはすごくユニークな点だと感じています。
——今回の札幌開催において、チャレンジした取り組みはありますか?
Chiang:2つ挙げられます。まず1つは、音楽アーティストSiMとのコラボレーション。大会オリジナルソングを制作したのは、今回独特の取り組みです。そこで学んだこともたくさんありますし、とてもオリジナリティを出せた例だと思っています。
もう1つは、内部の話なのですが、時差がチャレンジングな点でした。アメリカと日本で連携を取るには、早朝と深夜くらいしかお互いに働いている時間がないので、すごく大変でした。でも、それを乗り越えて、ファンの皆さんにすばらしい演出を届けたいと思っています。
——最後に、日本の『Apex』ファンに向けてメッセージをお願いします。
Chiang:やはり皆さんには、感謝の気持ちを伝えたいです。皆さんのサポートがあったからこそ、このようなイベントを実現することができました。そして、また日本に戻ってきたいと思っていますので、ぜひご期待ください。
——ありがとうございました!

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