水族館スタッフも間違えた「オニカマス」と「ヤシャカマス」 どれくらい似ているの?見分け方を聞いた

2022年2月10日(木)20時35分 Jタウンネット

読者の皆様はオニカマスという魚をご存じだろうか。

英語で言うと「バラクーダ」。暖かい海に住むカマス科の魚だ。

カマスの中でも特に大きな口と鋭い歯を持ち、全長180センチほどにまで成長するという。

そんなオニカマスの展示を始めたと2022年1月23日、福島県いわき市にある水族館「アクアマリンふくしま」が公式ツイッターで告知した。

時に魚釣りの対象となり、決して珍しくないオニカマスだが、このアクアマリンふくしまの投稿に思わぬ反応がツイッターで寄せられた。

「オニカマスにしては上顎長や模様に違和感があるし、もしかしなくてもヤシャカマスなのでは...!?」
「オニカマスにしては違和感があるなぁ...ヤシャカマスぽいけど気のせい?」
「オニじゃない気がする」

「魚類の検索図鑑等には載っていなかった」

ツイッターに寄せられた別の種類の魚ではないか、との指摘。そして1月24日、アクアマリンふくしまは衝撃的なツイートを投稿したのだった。

展示されていたのはオニカマスではなく、一部からの指摘の通り「ヤシャカマス」だったというのだ。

残念ながら、ヤシャカマスの展示は現在すでに終了してしまっているが、ツイッター上での特定劇は一連のやり取りをまとめて発信したユーザーの存在もあり、大いに注目された。

1月27日、Jタウンネット記者は事の顛末を聞くため、アクアマリンふくしまを運営管理する公益財団法人ふくしま海洋科学館を取材。改めて、オニカマスがヤシャカマスだったと判明した経緯から教えてもらった。

「はじめは当館の問い合わせフォームにヤシャカマスではないかとの指摘がきました。
魚類の検索図鑑等には載っていなかったので、過去の論文を探したところ2020年にヤシャカマスの記載がありました。その中にオニカマスとの違いも記載されていたので改めて写真を撮って詳細を調べなおしました」(ふくしま海洋科学館・職員)

「ヤシャカマスを知っていることがすごい」

今回、展示がされていたヤシャカマスは体型がオニカマスそっくり。

元々インド南西部岸のアラビア海にのみ生息するとされていたが、鹿児島大学大学院の森下悟至さんらの研究によって日本にも生息していることが判明し、2020年にヤシャカマスという和名がつけられたばかりの魚だ。

「ヤシャカマスの存在を知っていれば、写真からオニカマスとの違いを判別できます。指摘してくださった方が2020年に和名がついたヤシャカマスを知っていることがすごいと思います。恥ずかしながら当館のスタッフはオニカマスだと思い込んでいました」

とふくしま海洋科学館の職員は語る。展示されていたヤシャカマスを初めて見た時、「眼が少し小さいかな?」という違和感を覚えたものの、「個体差」だと考えていたそうだ。

そこへ指摘があり、「日本初記録や新種など、まだまだ知られていない生物もたくさんいると思うので、指摘があったことはちゃんと調べたいと思っていました」。

見分け方にはコツがある!

ちなみにオニカマスとヤシャカマスの見分け方には、コツがあるという。

「眼の位置や模様の長さなど写真から判別は可能です。形態的に似ているオニカマスとは
1・上顎後端が眼の前縁に達しない
2・体側の暗色横帯は側線より下方に達し、腹部に届かない
3・体側に黒色班がないこと
などから判別できます」

「ヤシャカマス」のことをよく知っていなければ、オニカマスと判別を付けるのは難しそうだ。

日本に分布している、ということがわかったのも最近のこと。もしかしたらヤシャカマスをオニカマスと間違えたまま展示している水族館もあるのではないか。

「どうでしょう? あるかもしれませんね」
「見た目がほとんど同じなので展示している(していた)個体が実はヤシャカマスであったということもあるのでは? と思っています」

ふくしま海洋科学館は、そう語った。

Jタウンネット

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