<トイレが近い><夜中に何度も>頻尿を解消するには?専門医「食事に含まれる水分以外に、1日2L以上の水やお茶を飲むのはとりすぎで…」
2025年2月13日(木)6時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が実施した「令和4年 国民生活基礎調査」で、頻尿の自覚症状がある人の割合(有訴者率)は、人口1000人あたり38.8人だったそう。年齢を重ねると、頻尿や尿もれといった尿トラブルに悩む方が増えてきますが、女性泌尿器科専門医の関口由紀先生によると「50代60代では頻尿や尿もれなどの悩みはあって当たり前」とのこと。そこで今回は、関口先生監修の書籍『「トイレが近い」人のお助けBOOK』から、一部を抜粋してご紹介します。
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トイレが近い人は水分をとりすぎているケースも
「トイレが近くなってきた」
「夜中に何度も行きたくなる」
尿もれまではいかないけれど、自分は頻尿じゃないかしら? と内心心配している方も多いようです。
1日に何回トイレに行ったら頻尿なのでしょうか。
日中は1日4〜8回、夜間は1回以下なら正常範囲です。また、回数がこれより多くても、困っていなければ、あまり気にする必要はありません。
頻尿の原因には、過活動膀胱のほかにもいろいろあります。
いちばん多いのが、水分のとりすぎによる「多飲多尿」です。最近は、脱水予防ということが盛んに言われるようになり、必要以上に水分補給をするためにトイレが近くなっているケースがしばしばみられます。
激しい運動をして汗をかく場合は別として、食事に含まれる水分以外に、1日2L以上の水やお茶類を飲むのは水分のとりすぎです。
夏場は2L前後、春や秋は1.5L前後、冬場は1L前後を目安に飲むようにしましょう。それ以上飲むとどうしても尿の量が多くなり、頻尿になってしまいます。
排尿記録のつけ方
どのくらい水分をとり、どのくらい尿が出ているのかわからない、という人は、排尿記録をつけることをおすすめします。
紙コップなどに目盛りを書いて、トイレに行くたびに尿の量をはかり、記録します。この記録を見ると、1日に何回トイレに行くのかがわかります。また、1回ごとの排尿量を合計すれば1日の排尿量がわかります。排尿量は日々変動するので、できれば2日間記録して、1日の平均を出します。
1日の排尿量が2L以上の人は、水分のとりすぎですから、少し減らすように調節します。反対に1L以下の人は、脱水ぎみと考えて、もう少し水分をとるようにします。
排尿量を1日1〜2Lの間にしておくのが、多飲による頻尿解消のポイントです。
排尿量をはかるのはちょっと面倒、という人は、食事以外にどのくらい水分をとっているか、水やお茶を飲んだらそのつどメモして、合計してみてください。水分をとりすぎている人は、減らすだけでトイレの回数が減ってくるはずです。
飲み物の種類によってトイレが近くなることも
水分をそれほど飲んでいないのにトイレが近い、という場合は、どんな飲み物を多くとっているか振り返ってみましょう。
コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーラなど、カフェインが多く含まれる飲み物をたくさん飲んでいると、どうしてもトイレが近くなります。
(写真提供:Photo AC)
また、果物(とくにかんきつ類)やジュース(グレープフルーツジュースやレモンジュース)、炭酸飲料などで水分補給をしている場合も、頻尿になりやすいといえます。このほか、アルコールも頻尿の原因になります。
カフェイン入りの飲み物は利尿作用があり、かんきつ系や炭酸飲料、アルコールは、膀胱を刺激する作用があるからです。
思い当たる方は、これらの飲み物を多量にとるのはやめて、1日にグラス1杯程にするなど、控えめにしてみましょう。
カフェイン入りや膀胱を刺激する作用のあるものは飲みすぎない
あるひとつの食品を多食すると頻尿に?
健康によいからと、大豆や黒酢、納豆など、決まった食品を毎食のようにとっている人も、じつは頻尿要注意です。
食べ物に注意を払うのはよいのですが、健康志向がこうじて、あるひとつの食品を多食している人に頻尿がみられることが少なくありません。その理由ははっきりしませんが、豆類や酸っぱいものの多食で頻尿になっている人がいます。
どんなに健康にプラスになる食品でも、そればかり食べすぎるのは考えものです。とくに、トイレが近い人は、いろいろな食品をバランスよく食べるようにしてください。
※本稿は、『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
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