国内18年ぶりとなる世界陸上が9月に東京で開幕!スペシャルアンバサダーに就任した織田裕二さんの注目の選手は?
2025年2月13日(木)6時0分 JBpress
(スポーツライター:酒井 政人)
世陸に織田裕二が帰ってくる!
今年は9月に東京で陸上競技の世界選手権(以下、世陸)が行われる。世陸の国内開催は2007年の大阪大会以来18年ぶり。東京での開催は実に34年ぶりとなる。
そしてTBS系列で放映する世陸に熱い男が3年ぶりに“復活”する。1997年のアテネ大会から「キャスター」を務めてきた織田裕二さんだ。今回は「スペシャルアンバサダー」を担うことになり、都内で記者会見が行われた。
「これまでとはちょっと変わりますが、今回はアンバサダーというかたちで世陸に関わらせていただきます。僕にとっては二度と観られないであろう東京大会をぜひ満喫したいと思います!」
日本人にとって世陸のアイコンともいえる存在の織田さん。海外からのライブ中継は苦労の連続だったという。なかでも2015年の北京大会は途中で高熱が出て、大会終盤は「ヘロヘロ状態」に。「9日間、体力が持たない」と厳しい現実に直面した。それだけにキャスターを“卒業”したときは、「寂しいと同時にホッとしました」と織田さんは振り返る。
「今後はビールを飲みながら世陸を観たい」と思っていた織田さんの陸上熱は少しも衰えていない。これまで数々の歴史的瞬間を目撃してきただけに、世陸の魅力をこう語った。
「2009年のベルリン大会でウサイン・ボルトが男子100mで9秒58の世界記録を樹立しましたが、一瞬で世界が変わったんです。静寂から空気が破裂したようでした。その逆もあるんですよ。期待していた選手が失敗してしまう……。本当に一瞬。たった1秒で天国と地獄が決まるんです」
注目の日本人選手は?
国内開催となる世陸。織田さんが注目している日本人選手は誰なのか。
「北口、サニブラウン、橋岡、田中希実……。女子の100mハードルにも期待したい選手がたくさんいます。東京で地元の風が吹いたら、もしかして一番いい色のメダルが見えてくるかもしれない。夢がどんどん膨らんじゃいますね」
女子やり投げで世界大会“3連覇”を狙う北口榛花(JAL)、男子100mで2大会連続ファイナリストのサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)、男子走り幅跳びで世界大会入賞経験のある橋岡優輝(富士通)、前回は女子5000mで8位入賞を果たした田中希実(New Balance)らの名前を一気に並べて、織田さんは目を輝かせた。
「サニー(サニブラウン)は若い頃からずっと観ているわけですよ。ボルト(のU20世界選手権200m大会記録)を越えた選手がいると聞いていたんですけど、会ってみたらすごくチャーミングで、『世界一を取りたいんです』と言った笑顔を無条件で応援したいと思いましたね。ナイーブになりがちな選手が多いなかで明るい。北口選手もそうですよ。パリ五輪は最後の最後に逆転して、本当に純粋な笑顔を見せたじゃないですか。世界大会では女子のフィールド種目で日本人初の金メダル。時代が変わりましたよ」
他にも楽しみな日本人選手がたくさんいる。男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)と村竹ラシッド(JAL)、男子3000m障害の三浦龍司(SUBARU)、男子走り高跳びの赤松諒一(SEIBU PRINCE)、男子4×100mリレー、男子4×400mリレー、男女のマラソン、男子20km競歩、男子35km競歩などにメダルや入賞の期待が高い。
東京に集う“超人”にも注目
「100mや北口さんはニュースで何度もやると思うんですけど、それ以外の種目も面白いですよ。僕はマクラフリンがすごく気になりますし、ハッサンは32歳ですけど、引退した後のことも知りたい選手ですね。そしてデュプランティスがどこまで世界記録を伸ばすのか。それから女子走り高跳びのマリア・ラシツケネ(ロシア)を東京で観たいですね」
シドニー・マクラフリン・レヴロン(米国)はパリ五輪の女子400mハードルで5度目の世界記録更新となる50秒37をマーク。このタイムは女子400mの日本記録(51秒75)より1秒以上も速い凄まじいものだ。シファン・ハッサン(オランダ)はパリ五輪で3種目に挑戦。5000mと10000mで銅メダルを獲得した後、マラソンで強烈なスパートを発揮して金メダルに輝いた。アルマンド・デュプランティス(スウェーデン)はパリ五輪の男子棒高跳びで自身の世界記録を1cm更新する6m26をクリアして五輪連覇を果たしている。
2021年の東京五輪はコロナ禍の影響で陸上競技は無観客開催となっただけに、今年は“超人”たちのパフォーマンスを間近に観られる絶好の機会だ。
「どれくらい速いとかって、テレビではなかなか伝わらない。一回生で見たら『はやっ!』て、わかると思います。100mで10秒切るってこういう感じなんだとか、跳ぶのも凄いです。(男子走り幅跳びは)8m以上跳びますから。本当にビックリします。近くで観られることはなかなかない。いろいろな種目があるので観てほしいですね」
東京世界陸上は9月13〜21日に国立競技場で行われる。現在、チケットを発売中だ。総販売枚数約70万枚のうち約7割は10,000円以下で、2月5日時点で28万枚が売れているという。
世界の凄さと、日本勢の快挙を目撃できるビッグチャンス。ぜひ国立競技場で観戦していただきたい。
筆者:酒井 政人