奈良公園で「シカに噛まれた!」 中国人観光客からの訴えが多い理由

2018年2月13日(火)6時0分 Jタウンネット

奈良市内の観光名所「奈良公園」でシカに噛まれてけがをしたという通報件数が、過去最多にまで達している。


特に、中国人観光客が被害を訴えるケースが多いというのだ。


けがをしたという通報が今年度160件超と過去最多に


奈良公園では、鹿せんべい以外の食べ物を与えないよう呼びかけている。ところが、その与え方によって、シカに噛まれたり突き飛ばされたりしてけがをするケースが多発している。


県などのまとめによると、公園を訪れた観光客が噛まれるなどしてけがをしたという通報は、2017年度は、18年1月末現在で164件に達した。これは、16年度より46件多く、過去最多になっている。


奈良を訪れる外国人観光客が年々増えており、164件の8割が外国人となっている。そのうち、8割を中国人が占めている。つまり、通報の過半数は中国人ということだ。


シカによるけがについては、県が立ち上げ、民間の鹿サポーターズクラブが運営する「奈良公園のシカ相談室」が問い合わせに応じたり、園内をパトロールしたりしている。室長の吉村明眞(あきまさ)さん(59)は2月8日、Jタウンネットの取材に対し、けがをするケースについてこう明かした。


「鹿せんべいをあげたときに、シカをじらすと噛まれますね。写真を撮ろうとしたり、小さな子供にあげさせたりするときなどです。さっさとあげて、怖いと思ったら、撒いてしまうのも手ですよ。中には、いつまでもシカにおじぎさせて、脇腹を噛まれたり、かわいいと思ったシカだけにあげて、横のシカに噛まれたりすることもありましたね」

シカに突き飛ばされるなどして病院へ行った結果、骨折につながったケースも中にはある。


「中国で狂犬病の死者が多いため、訴え出る人が多い」


しかし、シカ相談室の吉村さんによると、シカには牙がなく、上の前歯もないことから、指などを噛んでも血が出ることはまずない。けがは、シカに噛まれるケースがほとんどで、指をドアに少し挟んだような軽症が多いそうだ。


外国人観光客が被害に遭うのは、シカの知識があまりないこともあるが、中国人が多いのは、次のような理由ではないかと指摘した。


「中国の国内では、狂犬病で亡くなる人がまだかなり多いと聞いています。園内のシカは野生動物のため、狂犬病などの感染症が心配になるようですね。でも、園内では、過去にシカに噛まれて感染症になったことは一度もありません。けがをしたときは薬を持って行って説明するのですが、本当に大丈夫か心配になって病院へ行く人も多いんですよ。訴え出る人がかなりいるので、統計に出るのだと思います」

野生動物のシカについては、以前は、噛まれるなどしてけがをしても自己責任だとされた。しかし、2010年に平城遷都1300年を迎えたとき、韓国人観光客などもたくさん来るため、何か対策をしないといけないとして、県が奈良公園のシカ相談室を立ち上げた経緯がある。

Jタウンネット

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