水分過多以外で起こる頻尿<過活動膀胱>。対策には副作用のない薬剤やボトックス注射が…。最新の治療法を専門医が解説!
2025年2月14日(金)6時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が実施した「令和4年 国民生活基礎調査」で、頻尿の自覚症状がある人の割合(有訴者率)は、人口1000人あたり38.8人だったそう。年齢を重ねると、頻尿や尿もれといった尿トラブルに悩む方が増えてきますが、女性泌尿器科専門医の関口由紀先生によると「50代60代では頻尿や尿もれなどの悩みはあって当たり前」とのこと。そこで今回は、関口先生監修の書籍『「トイレが近い」人のお助けBOOK』から、一部を抜粋してご紹介します。
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水分過多でない場合の頻尿は、過活動膀胱などの可能性が
カフェインのない水や麦茶などで水分補給をしていて、1日の摂取量が平均1.5Lくらいでも、やはり頻尿がある、というような場合は、水分過多や飲み物の種類が原因ではなく、過活動膀胱が疑われます。
このほか、腹圧性尿失禁と過活動膀胱が合体して起こる「混合性尿失禁」のケースも少なくありません。
重症の尿失禁がみられるケースもあります。
軽い過活動膀胱の場合は、骨盤底筋トレーニングや膀胱トレーニングを続けると、かなり改善します。
市販薬、漢方薬も効果的
最近では、1日1回服用する副作用のないさまざまな薬剤が出ています。
市販薬を試してみるのもよいでしょう。
クリニックで処方してもらって、試しに飲んでみる、というのもありです。
毎日飲まなくても、外出するときに飲むだけでもOK。また、漢方薬なども効果的です。
「膀胱痛症候群」で頻尿になることも
このほか、過活動膀胱に関しては、2019年の4月から、膀胱のボトックス注射という治療法が登場。筋肉の動きを止める作用があり、膀胱に20カ所くらい注射すると、膀胱の反射が起きないので、膀胱の過剰反応を抑えられ、頻尿が改善します。
過活動膀胱と腹圧性尿失禁が重なっている混合性尿失禁の場合は、早めにクリニックに相談して治療を受けるとよいでしょう。
(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
このほか、「膀胱痛症候群」という病気で頻尿になることもあります。これは、昔は「間質性膀胱炎」といわれていた病気で、膀胱に尿がたまると不快感や痛みがあるため、早く排尿したくなり、頻尿になるのです。
過活動膀胱の場合は、もれそうでがまんできないのですが、膀胱痛症候群の人は、ためることもがまんすることもできるけれども不快で早く出したくなるのです。
過活動膀胱も膀胱痛症候群も、閉経後のGSM(皮膚や皮下組織の機能低下)や骨盤底障害(筋肉や靭帯の障害)によって悪化しますが、GSMが改善すると、どちらの症状もよくなります。
GSMは、ちつやその周辺の保湿とマッサージと骨盤底筋トレーニングで、かなり改善します。
※本稿は、『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
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