提出しないと年金が減る!? 扶養親族等申告書とは

2月15日(木)18時30分 All About

年金受給者の手元に、年金の支払いを担う日本年金機構や共済組合などから送られてくる通知や手紙がいくつかあります。その中に「扶養親族等申告書」というものがあるのですが、年金相談を受けていると、この書類の書き方についての質問が多く寄せられます。今回はその扶養親族等申告書について解説します。

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毎年届く「扶養親族等申告書」

年金の年額が、65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以上の人については、日本年金機構(または共済組合等)から封書が届きます。中には「扶養親族等申告書」という書類が入っています。この書類は、翌年1年間の源泉徴収税額を決めるために必要なものです。提出しないと源泉徴収税額が跳ね上がってしまいますので、必ず返送するようにしましょう。なお、書類が送られてくる時期は以前は毎年11月と決まっていましたが、近年は税制改正やマイナンバーに絡む取り扱い変更などで、送付時期が一定していません。直近の平成29年(平成30年分の申告書)は、8月に郵送されました。

平成30年分の扶養親族等申告書イメージ(日本年金機構HPより)

封書の中には、説明書きが同封されています。

送られてきたらどのように記入すればよい?

以前は前年から変更があるかどうかで記入方法が違っていましたが、直近のものは該当する箇所をすべて記入することになっていました。これについては次回以降は変更となる可能性があります。

■記入が必須の項目
・名前、フリガナ
・性別
・電話番号
・生年月日
・マイナンバー
・自身に障害があるかどうか

■該当する場合に記入する項目
・寡婦、特別寡婦または寡夫に該当するかどうか
・控除対象配偶者
・控除対象扶養親族
・普通障害者、特別障害者の人数
・摘要控除対象配偶者や、控除対象扶養親族欄は、以下の項目を記入します。
・氏名、フリガナ
・性別
・続柄
・生年月日
・マイナンバー
・障害があるかどうか
・老人かどうか
・同居かどうか
・年間所得見込み額

控除対象配偶者の欄は、上記に加え、配偶者控除を受ける区分の該当する数字に忘れずに〇をつけましょう。これを忘れて戻ってきてしまうケースが非常に多くみられました。配偶者控除の区分は3つに分かれています。

・本人の年間見込み所得が900万円未満で、配偶者の所得が38万円未満
・本人の年間見込み所得が900万円未満で、配偶者の所得が38万円以上85万円未満
・本人の年間見込み所得が900万円以上で、配偶者の所得が38万円未満

ちなみに、ここでいう本人や扶養親族の年間見込み所得とは、額面の収入ではなく、収入に見合った控除を差し引いた額です。パート収入であれば給与所得控除(最低65万円)、年金であれば公的年金等控除(年齢に応じて最低70万円または120万円)を差し引いた額を記入します。扶養親族の年間見込み所得が38万円以上(上記2.に該当する配偶者は85万円以上)の場合は扶養控除の対象になりませんから、記入は不要です。

普通障害者とは、一般に障害者手帳の等級が3級から6級の人、特別障害者とは1級、2級の人です。該当する場合は、摘要欄に障害者手帳の級と交付年月日を記入します。別居の人がある場合も、摘要欄に住所を記入します。また、もう70歳になっている人、翌年中に70歳になる人は老人に該当します。最後に、印鑑を忘れずに押しましょう。郵送するときには、必ず本人のマイナンバー確認書類を同封します。配偶者や親族の分はマイナンバーを記入はしますが、確認書類は必要ありません。マイナンバーの確認書類は以下のいずれかです。

・マイナンバーカード(コピー)
・マイナンバー通知カード(コピー)
・マイナンバーが記入された住民票(原本)

紛失等により、白紙の申告書に1から記入する場合は、それに加えて本人確認書類(運転免許証等)を同封します。マイナンバーカードなら両方を兼ねますので1つでOK。最初から住所、氏名等が印字してある用紙なら、マイナンバー確認書類のみでOKです。詳しくは、同封の説明書きをご覧ください。

提出しないと、こんなに税金が増える!

扶養親族等申告書を提出した場合と、しなかった場合では、税金の計算式が異なります。また、提出しないと、本来受けられるはずの各種所得控除を受けることができなくなりますので、年金から源泉徴収される所得税が大きく変わってしまいます。具体的に計算してみましょう。例えば、年金月額が16万円、社会保険料が月額2万円、控除対象配偶者あり、65歳未満という条件で試算してみます。計算はすべて月額です。

■提出した場合の計算式
源泉徴収税額=(年金支給額−社会保険料−各種控除額)×5.105%

設例の場合、各種控除額は配偶者控除3万2500円と基礎控除になります。基礎控除は(年金額×25%)+6万5000円で計算しますので、

(16万円×25%)+6万5000円=10万5000円

となります。これを税額の計算式に当てはめると、

{16万円−2万円−(3万2500円+10万5000円)}×5.105%=127円

■提出しなかった場合の計算式
{年金支給額−社会保険料−(年金支給額−社会保険料)×25%}×10.21%

設例の場合は、

{16万円−2万円−(16万円−2万円)×25%}×10.21%
=(14万円−3万5000円)×10.21%=1万720円

提出するとしないとでは、源泉徴収税額にこんなにも差が出てしまうのです!もちろん、最終的に確定申告を行えば、余分に源泉徴収された税金は戻ってきます。でも、源泉徴収される税金が多いと毎月の生活をそれだけ圧迫します。少ないに越したことはないですね。ちなみに、扶養親族等がいない人でも、基礎控除などの控除を受けるために必要なので、必ず返送してください。なお、年金からの各種所得控除については下図の通りです。

年金からの各種所得控除

提出を忘れてしまったら?

申告書の提出期限を過ぎてしまった場合でも、すぐに提出しましょう。提出した場合の金額で年金からの源泉徴収税額が計算し直され、その後に支払われる年金で調整が行われます。提出が遅くなってしまったりすると、調整が間に合わない場合もありますが、その場合は確定申告をして余分に源泉徴収された税金を取り戻すことになります。

提出すれば確定申告は必要ないの?

扶養親族等申告書はあくまで源泉徴収税額を決めるための書類に過ぎず、支払うべき税金は確定申告を経てはじめて確定されます。確定申告不要制度に該当する場合はしなくても大丈夫ですが、その場合でも源泉徴収時に考慮されない、寄付金控除や医療控除等を受けたい場合には確定申告をしないと還付を受けられませんので、注意が必要です。
(文:綱川 揚佐)

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