舞浜駅が「ディズニーランド駅」にならなかった理由は? JRやオリエンタルランドも合意していたが……

2025年2月15日(土)20時55分 All About

東京ディズニーリゾートの最寄り駅が「東京ディズニーリゾート駅」ではなく「舞浜駅」となった理由について、「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。

テーマパークの最寄り駅は、パーク名が駅名に使われることが多い。しかし、東京ディズニーリゾートの最寄り駅は「舞浜駅」である。東京ディズニーリゾート駅ではなく舞浜駅となった理由について、「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。
(今回の質問)
舞浜駅が「東京ディズニーリゾート駅」じゃない理由は?
(回答)
関係者が協議して「ディズニーランド駅」に決定していた。ところが、アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニー(当時はウォルト・ディズニー・プロダクション)が難色を示し、了承を得られなかったので、この案は葬られたのである。

「ディズニーランド駅」になる予定だったが……

テーマパークの最寄り駅は、そのものずばりの分かりやすい駅名が多い。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の最寄り駅は「ユニバーサルシティ駅」、富士急ハイランドの最寄り駅は「富士急ハイランド駅」、ハウステンボスの最寄り駅は「ハウステンボス駅」などである。ところが、東京ディズニーリゾートの最寄り駅は「舞浜駅」だ。なぜだろう?
実は、1988年の駅開設時に、地元の千葉県、浦安市、JR東日本、テーマパークの事業主体であるオリエンタルランドが協議して「ディズニーランド駅」に決定していた。ところが、アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーが難色を示し、了承を得られなかったので、この案は葬られたのである。
小川裕夫氏の著書『鉄道「裏歴史」読本 誰も書けなかった「あの車両」「あの路線」の謎』(イースト・プレス)によると、以下の理由で反対されたそう。
「ディズニーランド駅が開業してしまうと、近隣にオープンする店の名前は『◯◯ディズニーランド駅前店』となる。安易にディズニーランドの名前が氾濫するのはブランドイメージとしてマイナスになりかねないと主張したのだ」

世界のディズニーリゾート、パリや香港、上海の最寄り駅は?

ディズニーリゾートは世界各地にある。1992年にパリ(フランス)郊外にオープンしたユーロ・ディズニーリゾート(後にディズニーランド・パリと名称変更)は郊外電車RER(イル=ド=フランス地域圏急行鉄道網)でアクセスできる。最寄り駅はマルヌ=ラ=ヴァレ・シェシー駅(路線の終点)で、やはりディズニーランド駅とはなっていない。
ただし、駅名標にはParc Disneyland(Parcはフランス語でparkのこと)とも記されている。その後できた香港と上海のディズニーランドの最寄り駅は、どちらも迪士尼駅(ディズニー駅)となった。時代と共にアメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーの対応が柔軟になってきたのかもしれない。

テーマパークや遊園地が閉園すると最寄り駅はどうなる?

せっかくテーマパークや遊園地の駅としてにぎわってきたのに、時代の流れで閉園となってしまうこともある。京成電鉄の谷津遊園駅は、谷津遊園の閉園(1982年)に伴い、谷津駅に駅名が変更された(1984年)。
ところが、小田急線の向ヶ丘遊園駅は、肝心の向ヶ丘遊園が2002年に閉園となって20年以上が経過するのに駅名を変更する気がないようだ。駅周辺には、向ヶ丘遊園の名を冠したマンションやお店が数多く、もはや地名と化しており、駅名を変更すると混乱を招くからかもしれない。
JR外房線の行川(なめがわ)アイランド駅も、駅前にあったレジャー施設・行川アイランドが2001年に閉園となった後も、そのままの駅名で存続している。ほかには、JR鹿児島本線のスぺ—スワールド駅(福岡県北九州市)もスペースワールドが2018年に閉園となった後も変更していない。
新しいところでは、西武線の豊島園駅がそうだ。「としまえん」は2020年に閉園し、その跡地の一部に2003年、ワーナー ブラザース スタジオツアー東京–メイキング・オブ・ハリー・ポッターをオープンした。駅もそれにあわせてハリーポッターをイメージしたものにリニューアルされたものの、豊島園という駅名は存続している。
駅名を変更すると、当駅だけではなく隣の駅、走行路線や当該鉄道会社の路線図、きっぷの券売機などの修正で莫大な費用が発生することも影響していると思われる。
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
(文:野田 隆)

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