ロシア貴族向け士官学校の漫画のような世界とは? 入学年齢10歳、女子学生との頻繁な交流、舞踏会も開催… 亜留間次郎が解説

2023年2月14日(火)20時0分 tocana

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】


 近代史上、最年少の軍人セルゲイ・アンドレーエヴィッチ・アリョシュコフ君は第二次世界大戦のさなか家族をナチスに皆殺しにされ、彷徨っていたところをソビエト軍に助けられて6歳で兵隊になり、7歳でスターリングラードで戦い勲章を貰い、8歳で士官学校に入学しました。


 漫画みたいですけど実話です。


 そんな彼は2018年に伝記を元に映画が作られました。題名は『Солдатик』直訳すればおもちゃの兵隊です。ユーチューブにもあるので興味のある人は視聴できますがロシア語版のみです。


 そんなセルゲイ君が8歳の時に入学したトゥーラ・スヴォーロフ陸軍士官学校は第二次世界大戦中に作られた臨時学校の一つで1944年11月に開校、1960年9月に解散しました。


 16年間だけ存在していた陸軍士官学校です。セルゲイ君は学校が出来た初年度の入学生で入学時の年齢は満8歳です。おそらく、士官学校に入学した生徒としても歴史上最年少だと思われます。


 最初の入学生は83人だったのですが、全員がナチスとの戦いで家族を失った戦災孤児でした。最初から中学生ぐらいを対象とした幼年学校として始まっています。


 なお、セルゲイ君は健康上の理由で退学してしまい卒業していません、戦後に普通に高校から大学の法学部に進学して検事になっています。


 さて、廃止されていた学校はプーチン大統領の肝いりで2016年に復活して校舎は全て新しく建設され2016年9月1日に入学式が行われました、ロシアの学校は基本的に9月1日が入学式です。


 ロシアの初等・中等教育は6歳から4年、5年、2年の11年制です。


 この学校は初等の4年を終えた10歳の子供、5年生が入学できます。日本で言えば小学校5年生に相当します。世界的にも珍しい10歳から入学できる士官学校です。


 入学条件は「2014年7月21日付けのロシア連邦国防大臣令第515号」に明記されていますが、トゥーラ・スヴォーロフ陸軍士官学校だけの特別な注意書きがあり、他は15歳までOKなのに、ここだけ入学条件が5年生までと明記されているので11歳より上の子はダメみたいです。


入学希望者は、以下の基本的な要件を満たしている必要がある。
1.男性であること(女性は不可)。
2.未成年になること。
3.健康であること(2012年12月21日付のロシア連邦保健省命令№1346nに基づき実施された健康診断の結果、IまたはII健康グループに分類された者であること)。
4.教育レベルは応募者の年齢と一致していなければならない(トゥーラ・スヴォーロフ陸軍士官学校への入学は5年生まで)。


 入学条件の一番目に男性であること(女性は不可)と明記されている男子校です。それなのに、学校に定期的に女の子が訪問して学校で舞踏会が開かれています。


 えらい立派な建物なのですが、中に舞踏会を開催できるダンスホールがあるって、どこの漫画の世界の士官学校でしょうか?


 しかも、十代の子供を相手にです。


 


 他にもお嬢様学校の女子生徒が訪問したり、頻繁に若い同年代の女性と交流会が開かれています。


 これらの画像は外国からのアクセスが禁止されていますが、ロシア国内では普通に閲覧できる公開情報で流出とかではなくロシア国防省の公式情報です。


 つまり、この学校は現在のロシアにおける新貴族の子供と呼べる人達が通うための特別な学校ということになります。


 プーチン大統領は軍を支配する将校の貴族化を進めているのでは無いでしょうか?


 時期的にも少年兵セルゲイ君の映画はこの学校を正当化するための宣伝材料として作られた可能性が考えられます。



 2022年2月からウクライナ侵攻が始まったわけですが、2021年には最初の卒業生が出ています。


 将来は出世が約束されたエリートなので前線には行かないみたいで、安全な場所で行われた軍事記念パレードには全校生徒が参加していました。


 2022年に卒業した62人は41人が軍事大学、9人が治安維持機関の大学、残りが民間の大学に入学したと公表しています。


 しかも、この学校の卒業生はロシアの大学入試の特例である無試験入学 «без вступительных испытаний»(略称:БВИ)の対象になります。つまり、願書さえ出せば難関大学でも無条件に合格になる特権があります。


 3年後には最初の卒業生が軍大学を卒業してロシア軍の将校になります。


 彼らはウクライナ戦争が終われば大量に死んでしまった将校の補充要員になるのでしょうけど、上も下もごっそり人が居なくなっているので出世は早そうです。


 10歳から全寮制の学校で軍人教育を受けた人間が将来どうなるのか分かりませんが、プーチン大統領は自分に忠誠を誓う貴族将校による軍隊を望んでいるのでしょうか?


 ロシアはまだ18世紀のままなのかもしれません。


 ロシア国防省のサイトを見てみると写真が載っているし、学校の公式HPもあるけど、現在は国外からのアクセスを禁止しているので閲覧するためにはロシア内のIPを偽装する必要があります。


 入学条件などのHPも外国からのアクセス禁止みたいで、閲覧するためにはロシア内のIPを偽装する必要があります。


参考:「Wikipedia」「MYSLO」「ロシア大統領府」「ロシア連邦国防省」ほか

tocana

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