48歳子ども4人。カードや教育ローンで毎月25万円の返済をやり繰りしています

2024年2月17日(土)22時20分 All About

今まで生活費の補填で借りたカードローンや、子ども4人の教育費のローン、住宅ローンなどで自転車操業となってしまっているという48歳の主婦の方に、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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生活費の補填、子ども4人の学費の支払いなどのための借金返済で苦しいです

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。
今回の相談者は、今まで生活費の補填で借りたカードローンや、子ども4人の教育費のローン、住宅ローンなどで自転車操業となってしまっているという48歳の主婦の方です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

Yさん(仮名)
女性/パート・アルバイト/48歳
関西/持ち家(一戸建て)

家族構成

夫(57歳)、子ども4人(20代後半〜19歳)

相談内容

住宅ローンは、主人が80歳まであります。教育費に入力した金額は、奨学金返済額です。かなりの年数残っております。
生活費の補填、学費の支払いなどのために借りたカードローンの返済もあり、まったく貯蓄に回す余裕がありません。毎月自転車操業で、必死にやり繰りしております。
老後の資金も、私が少しの個人年金保険に入っているだけです。子どもたちは、みんな自宅に住んでおります。1番下の子が近く卒業して働きますので、やっと学費の心配はしなくてよくなり一安心です。
子どもたちが結婚する時には、少しは出してやりたいと思っていますが、今のままではまた、借金しか考えられません。この先どうしていけばいいか、アドバイスよろしくお願いします。

家計収支データ

Yさんの家計収支データは図表のとおりです。

家計収支データ補足

(1)借金返済について
●カードローン借入額について
・毎月返済額:2万3000円
・半年に1回:2万6000円
⇒借入金合計:178万円
<詳細>
A信用金庫
・夫:50万円(半年1回、2万6000円利息のみ)
・本人:29万7000円(月3000円利息のみ)
B信用金庫
・本人:29万3000円(月5000円)
C金融機関
・本人:27万5480円(月5000円)
消費者金融、リボ払い
・本人:41万円(月1万円)
●リフォームローン
オール電化
・借入額:99万円
・返済期間:120回払い
・金利:1.75%
・毎月返済額:9000円
外壁塗装
・借入額:178万円
・返済期間:180回払い
・金利:1.31%
・毎月返済額:1万1000円
(2)住居費について
・購入時の物件の状況:中古
・物件価格:3980万円
・ローン残高:(i)2921万円+(ii)331万円※借入先は2つ
・借入期間:28年
・(i)の借入:固定金利2.03%(以前は1.73%)
・(ii)の借入:固定金利2.305%(以前は2.475%)
・毎月の返済額:(i)13万9000円、(ii)1万6000円、合計:15万5000円
・ボーナスの返済額:なし
・固定資産税:11万4000円
(3)車両費について(相談者コメント)
所有台数は1台。主人の母の介護のため、介護用の椅子が付いた車を購入しましたが、母が他界したので、他の車に乗り換えようと考えています。
下の子の借りている奨学金が1月まで入ってきます。1月の入金を待って、40万円は通帳に残る予定です。
これで購入できる車を探して購入した方がいいのか、置いておいた方がいいのか、リボ払いのカードローンを一括返済するか悩んでいます。今現在の車の下取り金額も少しはあると思います。
<車のローン詳細>
・借入額:144万円
・返済期間:93回払い
・金利:1.875%
・毎月返済額:1万6648円
(4)教育費について
<教育ローンについて>
・借入額:1016万円
・利子の有無:あり
・残高:864万円
相談者コメント「奨学金ではなく、日本政策金融公庫で借りた教育ローンです。全部で9件あります。1つ、消費者金融で借りた教育ローンもあります。
上記の借入額は10件の合計金額です。この中に、次の4月から返済が始まるものがあるため、毎月の支払額が2万円ほど増えます。最終支払日は13年後。年数もバラバラなので、8年後から毎年、支払が終了していきます。
子どもたちは、自分たちの奨学金は自分で返済しています。上記の分は、日本政策金融公庫などで借りた教育ローンで私たちが返済予定です」
※第4子の教育費については全額支払い済。
(5)加入保険について
●夫
・死亡保険=毎月の保険料995円
・収入保障保険=毎月の保険料4245円
・医療保険=毎月の保険料5716円
・葬儀屋30万円コース(200回払い)=毎月1500円
●本人
・収入保障保険=毎月の保険料1470円
・医療保険=毎月の保険料3591円
・会社の団体保険=毎月の保険料750円
・積立年金=毎月5000円(年金額18万7200円)
●子ども
・共済=毎月保険料1140円
※末っ子が社会人になったら、本人に払わせます。
(6)ボーナスの主な使い道について
固定資産税11万4000円、団信10万3000円、自動車保険10万円、自動車税4万円、お中元・お歳暮3万5000円、カードローン5万円、教会への献金12万円、お墓の管理費1万円、車検代10万円など
(7)家族の小遣いの内訳について
夫5万円:営業のため、出張費や接待費に使用(立て替えのため戻ってきます)。昼食代、ビール代、クリーニング代、散髪代含む。
(8)お勤め先について
相談者コメント「(夫の)退職金は800万円くらいでしょうか? 65歳まで再雇用可能。元気な間は働いてほしいと思っておりますが、働かないと言ってみたり、飲食店を開業したいと言ってみたり、よくわかりません。私も再雇用で65歳まで可能。それ以降も、身体が元気な間は働く予定です」
(9)年金について
・夫:65歳から受給開始、180万円/年
・本人:65歳から受給開始、55万円/年
・本人:個人年金保険78歳から10年間、年額18万7000円
(10)相談補足
第3子に、家を、投資用物件として譲ることは可能でしょうか?私の実家は、借地で築50年以上の狭い木造一軒屋です。こちらも、投資用物件として、子どもに建て替えてもらい、老後、賃貸で住むことも考えています。もちろん、素人の考えで全く可能かどうかは、わかりません。
それから、私の親名義で別荘地があります。宅地のみです。管理費と固定資産税が毎年3万円かかります。私は一人っ子なので、いずれ相続すると思います。父が、この別荘地を何度か売ることを試みたのですが、需要がなく売れませんでした。何か良い活用方法、もしくは売却する方法はないでしょうか?
今回、改めて家計を洗い出してみて、我が家のローンの多さにびっくりいたしました。今まで、めんどうくさくてほったらかしていたこと、反省いたしました。
アバウトにお金を使っていたので、応募した時の家計収支と、違うことがよくわかりました。主人は、お金には無頓着で、毎月の家計がいくら必要なのか、把握しておりません。
家電が故障したり、急な出費が出たりすると、貯蓄がないためカード払いやキャッシングになってしまい、いっこうにカードローンが減りません。
また、子どもの奨学金を生活費に入れていたため、やってこられたのだと思います。しかし、これからは、ないので真剣に生活費を見直さないと生活できません。
転職も考え、何十社も応募いたしましたが、どこも受かりませんでした。今の職場の、正社員試験もこの先受けていくつもりではあります。正社員になれれば、ボーナスは年4カ月分でるようです。退職金制度もあります。女性の場合、50代で合格されている方もたくさん見ています。
こんな、お恥ずかしい家計管理ですが、良いアドバイスを何卒よろしくお願いいたします。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:心を入れ替え、正社員に絶対なること、夫も働き続ける覚悟を
アドバイス2:毎月3万円の貯蓄は死守、退職金で可能な限り一括返済
アドバイス3:住宅ローン、不動産処分は、借金返済が終わってから

アドバイス1:心を入れ替え、正社員に絶対なること、夫も働き続ける覚悟を

今回、借金の額を書き出して、ようやく現実がわかったようですが、厳しい言い方をすれば、債務整理、自己破産一歩手前の状況で、かなり難しいということを、あらためて認識してください。
月収に占める借金返済額の割合は50%を超えています。親御さんがご健在であれば、夫婦そろって頭を下げ、借金の肩代わりをお願いしてほしいぐらいです。心を入れ替え、以下の3つは、約束してください。
(1)Yさんは、なんとしてでも正社員登用試験に合格すること
(2)ご主人は、現在の家計状況、借金の実態を認識し、できる限り働き続けると覚悟し、家計の見直しに協力すること
(3)新たな借金は絶対しないこと
お子さん4人の教育費ローンがあるとはいえ、あまりにも気軽に借金を重ね、借金が当たり前になってしまっています。
奨学金を生活費に充てたり、車の購入費に充てようとするのは、言語同断です。収入の範囲で生活をする、貯蓄してから買い物をする、家の修繕をする、当たり前のことです。
お金がなければ借りればいい、という考えは捨ててください。ローンは「打ち出の小槌」ではありませんよ。お子さんたちも、借金での結婚祝いを喜んでくれるのでしょうか?
もう一度言います。心を入れ替えて、借金と真正面から向き合ってください。

アドバイス2:毎月3万円の貯蓄は死守、退職金で可能な限り一括返済

借金を重ねる人のパターンは、同じです。現預金がない、貯金がないから借りる。まず、この負のサイクルを断ち切る必要があります。そのためには、毎月決まった額を貯蓄するしかありません。
Yさんの毎月の家計収支をみると、この時点でも赤字です。赤字を解消すると当時に貯蓄に回すお金を捻出します。
通信費、趣味娯楽費、ご主人の小遣いで11万円の支出ですが、これを見直して4万円の削減を。
ご主人が仕事上使うものは立て替えで、会社から戻ってくるのですよね? 戻ってきたお金はどうされているのですか? 結局5万円全部、ご主人のお小遣いではありませんか?
生命保険も多すぎです。ご主人の保険で残すのは、医療保険のみです。ほかは解約。葬儀社への積み立ては、ここまででストップしてください。解約条件を確認してください。
ご本人の保険で残すのは医療保険と積立年金。ほかは解約です。会社で加入している共済は解約できるか確認を。これらの解約で約9000円が浮きます。
家計から4万円、保険解約で9000円。あと少し家計から頑張って、毎月5万円の貯蓄ができるようにしてください。
ただ、4月から教育ローンの返済が2万円増額になりますから、実際は毎月3万円。できればボーナスの使い道も考え直して、10万円でも貯蓄に回してほしいところです。
毎月3万円、年間で36万円。ご主人が60歳までの3年間で貯められるのは108万円。今ある30万円と合わせて138万円。これが、Yさんの生命線となります。これは死守してください。
その上で、1月に奨学金として40万円受け取ったら、車の購入ではなく、カードローンの返済に充ててください。
さらに、60歳時に退職金800万円から、カードローン、リフォームローン、車のローンを清算します。退職金の残りは200万円程度。それまでの貯蓄138万円。合計338万円が60歳時点での預貯金となります。
その後は、ローンの精算が済んだ分、6万円程度(カードローン、リフォームローン、車のローン)がなくなりますが、60歳以降、ご夫婦の収入が減ることを考えると、貯蓄には回せないかもしれません。収入の範囲で赤字を出さないよう、生活コストを抑えていくしかありません。
この時点でも、教育ローン、住宅ローンの返済は残ります。こうしたことを考えると、今、Yさんが正社員になることは絶対条件ということがわかるはずです。

アドバイス3:住宅ローン、不動産処分は、借金返済が終わってから

住宅ローンに関しては、あまりにも金利が高い。本来であれば、金利変更の交渉、借り換えで返済負担を減らせますが、借金があるうちは、難しいでしょう。
65歳からの年金額は、二人で月額約20万円。そこから15万円の住宅ローン、7万円の教育ローンを返済していかなければなりません。できるだけ長く働くといっても限界もあるでしょう。それでもローンがあるうちは、働く以外に今のところ妙案はありません。
お子さんに自宅を譲るとはどういうことを意図しているのかわかりませんし、ご実家をお子さんに建て替えさせるというのも、わかりません。
親御さんの別荘地の売却についてもですが、お子さんにはお子さんの考えがあるでしょうし、親名義の別荘地の売却は、親御さんに任せればいいことです。
不動産の売却で、ご自分たちの借金を何とかできると思われているとしたら、甘いです。まずは、ご夫婦が作ってきた借金を返済することに注力してほしいと思います。
ご主人が60歳時点で、どれだけ借金が返済できているかですが、もう一度、相談してください。ここまで厳しいことを書きましたが、現時点でアドバイスできるのは、ここまでです。3年後、必ず連絡してくださいね。

相談者「Y」さんから寄せられた感想

このたびは、アドバイス、誠にありがとうございます。大変厳しいお言葉を賜りまして、身が引き締まりました。心を入れ替えて、頑張っていく所存でございます。
こんな、お恥ずかしい家計管理を叱ってくださる方もなく、今まで、有り金を全部使っていたこと、反省いたしました。
月5万円の貯蓄、できるように、見直してみます。固定費を削減、年間の支出を計算して、減らせるものは、できる限り減らしていきます。今まで、ローンを返すことに一生懸命でしたが、貯蓄という目標ができたので、頑張れそうです。
正社員試験はエントリーに向けて、頑張ります。主人の両親は、2人とも他界しております。私の父には、家を買う時に援助してもらっているので、お金を借りるのは言い出しにくい状況です。主人の退職金で、残りのローンを返済するようにいたします。
60歳の時点で、先生のご提示いただきました貯蓄額が達成できますよう、主人と協力してまいります。3年後にまた連絡をくださいと温かいお言葉を賜りまして、本当に感謝しております。先生の言葉を励みに、頑張っていけそうです。このたびは、誠にありがとうございました。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
取材・文:伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

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