【法律相談】破談で婚約指輪を売却したら罪に問われるか

2月18日(月)7時0分 NEWSポストセブン

婚約指輪を売っぱらってしまうのはOUT?

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 かつて「婚約指輪は給料3か月分」を謳うCMがあったが、額はさておき、婚約指輪は結婚相手に気持ちを伝える大事なもの。ところが、破談になった相手が高価な婚約指輪を売り払ってしまった場合、罪に問われるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。


【相談】

 息子のことで相談があります。息子は昨年末、取引先のOLと婚約。今春に結婚式を控えていたのですが、性格の不一致だとかで破談。問題は息子が贈った高価な婚約指輪を彼女が売り払ってしまったこと。大人しい息子は「仕方ない」と諦めていますが、婚約指輪を転売する行為は法律違反になりませんか。


【回答】

 婚約指輪は結婚を約束したときに、その証として男性が女性に贈るものです。以前は婚約の際に、結納と称し、お金を渡すことが普通でしたが、結納について最高裁は「結納は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼を厚くする目的で授受される一種の贈与」と判断しました。


 婚約指輪も同じ趣旨で贈与されるものです。贈与で女性が所有することになりますが、結婚しなかった場合には目的不達成となり、返還義務が生じます。したがって、息子さんの元婚約者は指輪を返さなくてはなりません。処分したり、失くしてしまえば、債務不履行を理由に損害賠償請求できます。



 しかし、婚約指輪にイニシャルなどの刻印がある場合、転売困難で交換価値は下がり、購入代金には及びません。それでも婚約解消が女性の一方的な原因によるもので、息子さんへの不法行為になる場合には、指輪の購入額を損害として請求することもできます。


 ただ、刑事問題にするのは難しいと思います。婚約解消になれば返すべきで、解消後の売却は一種の二重譲渡で横領になる、あるいは保管義務に違反して背任になるなどの理屈はありますが、婚約解消は届出が必要な離婚とは違い、はっきりした区切りはつけがたいのが普通だからです。


 加えて一旦は女性の所有になり、後記のように返還義務を負わない場合もあるので、指輪を売った際に、明確に返す義務が生じていたか不明で、こうした罪に問うのは困難です。


 なお、結納を渡した側に婚約解消の責任があった場合、相手は返す義務がないとされており、指輪も同様でしょう。指輪を売るのは非常識ですが、息子さんへの怒りも感じられます。息子さんに責任があるときには、当然のことながら、指輪を返せ、とはいえません。


【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。


※週刊ポスト2019年3月1日号

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