ニセ医療は「NGワード」で見抜け! 使われていたら警戒すべき“5つの宣伝文句”

2月19日(水)7時0分 文春オンライン

 昨年10月、「血液クレンジング(血液オゾン療法)」がネット上で大きな批判を浴びた。概して、腕などの静脈から血液を採取し、その血液にオゾンを混ぜ、点滴のように再び静脈から体内へ戻すことでがんや白血病、肝炎、糖尿病を改善し、さらにアンチエイジングや美容にも効果があるとする「治療」だが、科学的根拠(エビデンス)の確かなものではない。国からも保険適用の認められていない自費による自由診療だ。



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ニセ医療情報をどう見分ければいいのか?


 このような「治療」が一部のクリニックでは1回数万円で提供され、芸能人やタレントがその宣伝活動を行っていた現実がある。すなわち、「医療機関が提供しているから」「著名人が宣伝しているから」といっても、必ずしも効果があることを保証しないことが、あらためて浮き彫りになったと言えるだろう。


 医療についての情報は命にかかわるものだ。一方で、インターネットが普及しきったこの時代、情報の量は爆発的に増えている。私たちはその中から、どのように「正しい」医療情報とそうでないものを見分けていけばいいのだろうか。ネットと医療情報の問題を追い続ける記者として、ニセ医療情報のスクリーニング方法を紹介する。


 最初に言えることは、自分の体のことは一義的に、かかりつけの医師に相談するべきであるということ。ネットの医療情報はあくまでも一般論であり、「あなた」に当てはまるかどうかは、実際に診察をする医師でなければわからない。その意味で、ネットの医療情報はあくまでも補助的なものであり、それだけで完結するとは思わないでほしい。



「すぐに」「ラクに」「簡単に」「副作用がない」はNGワード


 その上で、医療情報の信頼性を見極める簡易的なスクリーニング方法が「NGワード」だ。


 例えば「すぐに」「ラクに」「簡単に」といった心理的ハードルを下げる言葉。人間の体は複雑であり、変化には少なからず苦労が伴う。それゆえに、このような言葉は本来は医療になじまないもの。使用されていたら、それだけで疑ってかかる必要があるだろう。


 まさに問題になった血液クレンジングについて、あるクリニックでは「とても簡単です」「所要時間は約30分」などと説明していた。それでいて、がんやパーキンソン病の予防と治療、認知症改善にも効果があるとする。これほど都合のいい「治療」があるだろうか。この「治療」が科学的根拠に乏しいとされるゆえんである。



 加えて、一部のクリニックは血液クレンジングを「副作用の心配はございません」などと説明している。しかし、医療は少なからず人の体を傷つける(侵襲的な)行為だ。手術がわかりやすいが、体にメスを入れるという大がかりな行為により、病変を取り除けるというリターンがある。まったく副作用がないなら、そもそも何の効果もないとも考えられる。


「最先端」との宣伝文句にも要注意!


 他にも警戒するべき言葉がある。例えば「最先端」だ。医学において「進んでいること」「新しいこと」は必ずしも「最善」とは限らない。これらのフレーズは「十分に検証されていない」とも言い換えられる。「最先端の酸化療法(血液クレンジング)を提供」などという宣伝も、血液クレンジングを提供するクリニックのウェブサイトで確認できる。



 ただし、厚生労働省が指定する「先進医療」という概念もあり、この場合は有効性に期待のかかる治療だ。「進んでいる」や「新しい」と表現しているのが誰なのか、ということも、あわせて確認する必要がある。多くの医師が身を削り、患者のために働く一方、約30万人のうちごく一部の医師に、職責にもとる行為があるのも事実だからだ。


 このように、複数のフィルターを並行して活用し、できるだけ確からしい情報を入手すること——これが今、私たちに求められている、なかなかに難しい要求である。血液クレンジング一つを取っても、騙されかねないポイントは複数ある。もし、自分や大事な人が命の危機を迎え、判断力の低下した状態なら……。騙された人を笑うことはできないだろう。



 必要なのは、医療情報の信頼性を判断する基準をいくつか持っておくこと。「文藝春秋」3月号と「文藝春秋digital」に掲載されている拙稿「 血液クレンジングだけじゃない ネットの医療情報にご用心 」では、血液クレンジングを題材に、より包括的にネットの医療情報を見分けられる「5W2H」などの方法を紹介しながら、ネットと医療情報の問題を掘り下げている。


※「文藝春秋」編集部は、ツイッターで記事の配信・情報発信を行っています。 @gekkan_bunshun のフォローをお願いします。



(朽木 誠一郎/文藝春秋 2020年3月号)

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