岐阜市の250世帯が「同じ住所」、70年越しに解消へ そこには複雑な経緯が...

2018年2月19日(月)8時0分 Jタウンネット

岐阜市の鷺山地区で、約250世帯が70年にもわたって同じ住所表示を続ける——こんな異常事態が、ようやく解消に向かう見込みになった。


長年、郵便配達などで混乱があったというが、なぜこんな事態が続いたのだろうか。


郵便配達で誤配したのに再配達でまた同じ家


同住所になっているのは、「鷺山1769−2」。Jタウンネットが18年2月16日、市の市民課に聞いたところなどによると、もともと川の河川敷だったが、川が塞がれたことを受けて、戦後混乱期の1947年に市が戦災による住宅難を解消しようと国から土地を買い、一戸建ての市営住宅を建てた。そして、どれも同じ住所にしたまま、市が個人に土地を貸し出し、建物だけを売った。


250世帯が同住所の状態はその後も続き、これまでに様々な不便が生じているという。


郵便配達で誤配したのに再配達でまた同じ家に届いたり、高齢化が進む地区で救急車が家を見つけられず行ったり来たりする。また、友人を招いても家に来られなかったりもした。


地元の自治会では2003年、市長の「まちづくりトーク」で住所表示の改善を要望し、市が検討を続けてきた。


ところが、住所の割り振りについて、大きなネックがあった。それは、市が貸し出している土地と周辺の個人が持っている土地などと境界がはっきりしないことだ。土地の権利関係が複雑で、市が土地を分筆して登記を変えるのが困難な状況になっている。


そんな中で、市は、登記変更を待たず、先行して建物単位で住所を割り振ることにし、地元と協議した結果、理解を得たと判断した。18年2月15日には、市の審議会も割り振りは妥当だと答申し、市では、19年2月から「鷺山南○‐○」と新しい住所を世帯ごとに表示することにしている。


岐阜市「以前のことなので分からない」


鷺山地区では、ほかに「鷺山1768-5」と同住所になっている約50世帯についても、岐阜市が同様な措置を取ることになった。住居表示は、川や道路といった明確なところで区切るため、2つの同住所の周辺に住む世帯を含めて、計約380世帯で住所が変わることになっている。


市が住所表示の解消に動いたことがニュースに流れると、ツイッター上などでは、「よく今まで我慢してたな...」などとの驚きの声が上がった。同時に、「なんで今までほっとかれたのか」「市営住宅を建てたときの役人の怠慢だな」といった意見も出ている。


250世帯では、「鷺山若水町」などと8つの通称による住所も使っており、地元紙の報道によると、住所が変えられると困ると訴える住民もいるという。一方、市の市民課は、これまでなぜ住所表示を変えなかったかについて、「土地を分筆するのには労力がかかりますが、なぜ事務処理されていなかったのかについては、以前のことなので分からないです」と取材に答えた。市が事務処理を怠っていたかについても、「何とも言えません」と話した。


これだけ多くの世帯が同住所になっていることについて、市では、全国的に見ても聞いたことがないとしている。

Jタウンネット

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