江原啓之「夫が保存していた昔の恋人の手紙を発見。問い詰める?見なかったことにする?〈幸せぐせ〉はどちらか」

2024年2月20日(火)12時0分 婦人公論.jp


(イラスト◎大野舞)

スピリチュアリストとして、さまざまな角度から読者のお悩みに答え、生きる指針を示してくれる江原啓之さん。現在は熱海に在住し、ていねいな暮らしをしながら日々「生きる上で大切なこと」を発信し続けています。『婦人公論』のリニューアルにあたって始まった新連載「〈幸せぐせ〉を身に着けよう」。第26回は「夫が結婚前の恋人からの手紙を大事にしまっていた」です。

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Q 夫が結婚前の恋人からの手紙を大事にしまっていた

A)なぜ保管しているのか夫に尋ねる

B)見なかったものとして黙っているにしまっていた

現在進行形の恋愛ではない


今回のテーマのような経験はないという方も、想像力を膨らませてお考えください。あなたと夫は長年連れ添った夫婦。ある日、あなたはたまたま夫宛ての古い手紙を発見しました。差出人の名前は夫が結婚前に付き合っていた女性だったというシチュエーションです。さて、幸せぐせの選択はどちらでしょうか?

答えはBです。焼けぼっくいに火がついた現在進行形の恋愛ではなく、ただ古い手紙をとってあるだけのこと。夫の人生は夫のもの、残しておきたい思い出のひとつくらいあるでしょう。妻だからといって、その思い出(しかも結婚前のもの)にまで口出しはできません。見なかったものとして、黙ってそのまま元の場所に戻しておくのが幸せぐせです。

人生の酸いも甘いもかみ分けた読者のみなさんなら、良い意味で互いを空気のような存在ととらえる夫婦関係や、互いの人生を尊重する悟りにも似た境地を、なんとなくおわかりいただけるのではないでしょうか。結婚前に付き合っていた女性のことなど、今さらあれこれ問いただしたりせず、波風立てないのが賢い選択です。

そうはいっても気になる、という方もいらっしゃるかもしれません。手紙を書いた女性はどういう人で、今はどこで何をしているのか。夫がどういうつもりで手紙をとっておいたのか、などなど。長年連れ添った夫の過去に嫉妬するなんて、愛がある証拠。ほほえましいとも思いますが、愛情と干渉は別ものです。真の愛情があるなら、夫の人生を尊重し受け入れ、思い出には干渉せずそっとしておいてあげられるはずです。

ひとまず問題から距離を置く


もし感情のままAのような行動に出たらどうなるか。問いただしたときの夫の返答を、理性的に想像してみましょう。「なんだっけ? その手紙」と、忘れていたふうに対応されれば、妻は夫が本心を隠しているのではないかと疑いたくなりませんか? 逆に、「良い思い出だからとっておきたいんだ」とか、「忘れられない女性からの手紙だから大事にしまっている」とハッキリ言われたら、よけい頭に血が上るでしょう。つまり理由を聞いたら聞いたで、次のもやもやが生まれるということ。

きっとどんな答えが返ってきても腹が立つのです。そこから犬も食わない夫婦げんかに発展するのは想像に難くなく、険悪なムードになることは間違いないでしょう。


(イラスト◎大野舞)

そんな結末が待っていても追及せずにはいられないという方には、次のことをおすすめします。ひとまず、意識的にこの問題から距離を置きましょう。仕事でも趣味でも、ボランティアでもいいので、予定を入れて忙しく過ごしてみてください。新しい人間関係を構築し、今まで以上に世界を広げるよう心がけるのです。その中で自分のやりたいことが見つかれば、夫の過去の女性どころか、夫のことも気にならなくなるはず。良い意味で、夫が“空気のような存在”になるでしょう。

人生の時間は有限ですし、時間はお金では買えない宝物です。悶々と悩んだり、夫婦げんかをしたりすることほど、時間のムダ遣いはありません。自分のためにも、彩り豊かな毎日を送ることに時間を費やしましょう。

思い出はただのメモ


そもそも夫がしまっていた手紙は、言ってみればメモです。あなたがメモするときを思い出してみて。例えば買い物するべきものを書いたメモ。買わなければいけないものだけれど、忘れてしまいそうだから、わざわざメモとして残しておくのではないでしょうか。夫がとっておいた過去の手紙は、いわば“買い物のメモ”と同じ。もしもこれが現在進行形で大事に思う女性なら、手紙なんてとっておきません。なぜならその女性にまつわるものがなくても、いつだって心の引き出しから鮮明に女性との思い出を取り出せるからです。

裏を返せば、手紙を残しておかないと忘れてしまう程度の女性であり、すでに過去の思い出だということ。だとしたらこれまでの夫婦の歩みや、今の夫婦関係に影響を及ぼすものでないことは一目瞭然です。「あらまぁ、思い出を残しちゃって」と笑い飛ばすぐらい、妻の余裕でドンと構えていましょう。

過去の思い出うんぬんで言うなら、女性が恋人からもらったアクセサリーやバッグを、別れた後も使い続けるという場合はありませんか。それも同じ。物=相手への愛情ではなく、たんに物としてしかとらえていないのです。ですから気に入っている物なら、私はそのまま使っていいと思います。恋人との思い出がたとえ良いものでなかったとしても、もらった品をそのまま使える人は、何ごとも恨まないポジティブな人とも言えるでしょう。過去をネガティブにとらえず、上手に切り替えて生きていける証拠であり、それもまた幸せぐせではないでしょうか。

前回「愛犬を亡くしペットロスに。立ち直るために新しい犬を迎えるのは正しい?自らの今後も考え冷静な判断を」はこちら

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