『K-1』人気復活はあるのか? 今年からヘビー級が主役に! 12月には東京で「グランプリ決勝大会」を開催─。

2024年2月20日(火)7時30分 マイナビニュース

1990年代から2000年代前半にかけて『K-1』は絶大なる人気を誇る格闘技イベントだった。 現在も新生『K-1』が存続、軽中量級を中心に熱い闘いを繰り広げているが、スケール縮小の観は否めない。
だが今年、『K-1』は路線を大きく変更する。以前のようにヘビー級(無差別級)ファイトをメインとし、12月に東京で『K-1グランプリ決勝大会』を14年ぶりに開くというのだ。果たして『K-1』人気は復活するのか?
○■懐かしく忘れ難き『K-1』全盛期
『K-1グランプリ』第1回大会が開かれたのは約31年前、1993年4月30日だった。場所は東京・国立代々木競技場第一体育館。
いま57歳の筆者は当時26歳。もうそんなに時が過ぎたのかと驚いてしまう。フジテレビがゴールデンウィークに催していたイベント『LIVE UFO』内で行われ、主役は正道会館のエースだった空手家の佐竹雅昭。しかし、世界から強豪キックボクサーが集うトーナメントを制したのはクロアチアのブランコ・シカティック(故人、当時38歳)だった。
この大会を皮切りに『K-1グランプリ』は、毎年開催されるようになる。その中で数多くのスターファイターが生まれ人気が上昇、世界規模の格闘技イベントへと成長していった。
歴代の『K-1グランプリ』王者を記してみよう。
ブランコ・シカティック(クロアチア/93年優勝)
ピーター・アーツ(オランダ/94、95、98年優勝)
アンディ・フグ(スイス/96年優勝)
アーネスト・ホースト(オランダ/97、99、2000、02年優勝)
マーク・ハント(ニュージーランド/01年優勝)
レミー・ボンヤスキー(オランダ/03、04、08年優勝)
セーム・シュルト(オランダ/05〜07、09年優勝)
アリスター・オーフレイム(オランダ/10年優勝)
また準優勝者には、佐竹雅昭、ジェロム・レ・バンナ(フランス)、マイク・ベルナルド(南アフリカ)、ミルコ・クロコップ(クロアチア)、レイ・セフォー(ニュージーランド)、フランシスコ・フィリョ(ブラジル)、武蔵(正道会館/当時)、クラウべ・フェイトーザ(ブラジル)、バダ・ハリ(モロッコ)が名を連ねる。思い出深いファイターたちばかりだ。
ド迫力のヘビー級キックボクシングファイトで観る者を唸らせたK-1。一時はテレビ地上波3局(フジ、TBS、日テレ)で放映され高視聴率をマークし全盛を誇る。だが、その人気も永遠ではなかった。
K-1創始でイベントの指揮していた石井和義氏が、2012年12月に脱税(法人税法違反)で摘発され、その後に収監される。以降に団体は経営危機を迎え倒産。その後も日本国内で『K-1』の名称で大会(2012年10月・両国国技館)が開かれたこともあったが、演出を含めたクオリティが低くファンから注目を集めることもなかった。
○■『K-1』人気復活のカギは…
一度、『K-1』は終わった。
そして、2014年に新生『K-1』がスタートする。だがそれは、ヘビー級路線を継承するものではなく、軽中量級を軸としたレギュレーション。武尊をはじめ数多くの好ファイターを輩出し格闘技界に貢献するも、長く『K-1』を観続けてきた者は何処かに物足らなさを感じていた。ヘビー級のド迫力ファイトの興奮が忘れられないからである。
そんなファンのニーズに応えるべく、『K-1』は昨年に体制を一新した。カルロス菊田氏がプロヂューサーに就任し原点回帰を宣言、つまりはヘビー級路線の復活を表明したのだ。
今月には、その具体的プランもリリースされた。
体重無差別を前提に「立ち技格闘技世界最強」を決めるための『K-1グランプリ決勝大会』(正式名称は『K-1 WORLD GP 2024 FINAL』)を12月14日、東京・国立代々木競技場第一体育館に設定。そこに至る大陸ラウンド(予選トーナメント)は、以下の日程で行われる。
▶5月19日、米国ニューヨーク・MSG(マジソン・スクエア・ガーデン)サブアリーナ ※北米ラウンド
▶6月29日、ボスニア・ヘルツェゴビナ/サラエボ ※東欧ラウンド
▶7月27日、イタリア・シチリア島 ※西欧ラウンド
▶8月3日、ブラジル・クリチーバ ※南米ラウンド
▶10月5日、大阪 ※アジアラウンド
世界規模での闘い─。
また、12・14東京への勝ち上がり方式も発表された。
まず、ニューヨーク、サラエボ、シチリア、クリチーバでのトーナメント優勝者。大阪でのワンマッチから3選手を選出、そこに昨年9月『K-1 30周年記念トーナメント』で優勝したリュー・ツァー(中国)が加わる。決勝トーナメントは8選手により行われることになる。
各大会(各大陸ラウンド)への出場ファイターは未定だが、世界の強豪が顔を揃える模様で大いに楽しみ。
だが、ひとつ気になることがある。
それは日本のファンにとって、馴染みのない選手名が並ぶこと。93年『K-1グランプリ』には国内で知名度のある佐竹雅昭がいたが、今回は軸に据える選手がいない。実力者が揃っても、最初からファンが感情移入をしてリングを見られる状態にないのだ。いかにファイターたちが魅力ある闘いをするか、また配信方法も含めて、いかに団体がファイターの個性をファンに伝え切れるかが重要なポイントとなろう。
先日、K-1アドバイザーに就任した石井和義氏の腕の見せどころか。
ヘビー級トーナメントを開催したからと言って、すぐに『K-1』がかつてのような盛り上がりを見せるとは思わない。それでも3、4年後にファイターたちの名前が知れ渡り、リング上で観る者を惹きつけるファイトが繰り広げられたなら『K-1』人気復活はあり得よう。
期待を抱きつつ、長い目で見守りたい。
文/近藤隆夫
近藤隆夫 こんどうたかお 1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等でコメンテイターとしても活躍中。『プロレスが死んだ日。〜ヒクソン・グレイシーvs.高田延彦20年目の真実〜』(集英社インターナショナル)『グレイシー一族の真実 〜すべては敬愛するエリオのために〜』(文藝春秋)『情熱のサイドスロー 〜小林繁物語〜』(竹書房)『ジャッキー・ロビンソン 〜人種差別をのりこえたメジャーリーガー〜』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(ともに汐文社)ほか著書多数。
『伝説のオリンピックランナー〝いだてん〟金栗四三』(汐文社)
『プロレスが死んだ日 ヒクソン・グレイシーVS髙田延彦 20年目の真実』(集英社インターナショナル) この著者の記事一覧はこちら

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