現役小児科医が「ぜひ知ってほしい」子供に処方薬を使う時に保護者が気をつけるべきこと

2023年2月20日(月)10時2分 マイナビ子育て

子供に薬を使うときは、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。安全を守るために気をつけたいことを、小児科医の森戸先生にくわしく聞きました。

用法用量を守ること︎は一番大切なルール

(※画像はイメージです/PhotoAC)

薬を使うときにもっとも大切なルールは、どの年齢でも、どの種類の薬でも、用法と用量をきちんと守って使用することです。処方薬なら医師と薬剤師の指示通り、市販薬は説明書通りの量と回数で使うようにしてくださいね。

お子さんは、小児科受診時に体重を聞かれることが多いと思います。それは子供の薬のほとんどが体重(kg)あたりの1日量(g、ml)を計算して処方されるからです。こうして割り出した1日量を、内服薬の場合は1日2〜3回に分けて飲みます。

保育施設に通っている場合、1日3回の投薬が可能かどうかわかりませんね。「投薬指示書」を渡すと昼の分を飲ませてくれる施設もありますが、最初から投薬しないと決めている施設もあるので確認しましょう。保育施設で投薬してもらえない場合は、医師が1日2回にすることも可能なので処方箋を書く前に教えてください。

いずれにしても、診察の際には医師に薬の剤型(液体、粉、OD錠、貼り薬など)、使う回数とタイミングを確認しましょう。もしも診察時に医師に疑問を聞き損ねたり、要望を伝え損ねてしまったりしたら、薬剤師に相談してみてください。必要に応じて説明してくれたり、医師に問い合わせたりしてくれると思います。

それから薬を使用して、万が一じんましんやかゆみ、吐き気などの何らかの異常が起こった場合は、薬を出した医療機関を受診してください。夜間や休日の場合は、症状の程度によって様子を見るか、救急相談ダイヤルに電話して相談するか、当番医や救急病院にかかるようにしましょう。

子供の薬が余ったらどうしたらいい?

子供の処方薬は大人と違って、いっぺんに長期間分を処方することはあまりないのですが、余ることもあるだろうと思います。そのため、たまに「家にある前回の処方薬を飲ませてもいいですか?」と問い合わせがくることがあります。 でも子供の処方薬は原則として、処方された時だけに使うものです。前回と同じように見えても今回は違う病気かもしれませんし、体重が変わっているかもしれません。また前回といっても、かなり前なら薬の使用期限が過ぎているかもしれません。ですから、薬が必要なほどお子さんの調子が悪い時はなるべく受診してください。 ただし、持病などの症状が出た時のために処方されている薬は躊躇なく使いましょう。例えば、アレルギーが起こった場合の薬、喘息発作の時の吸入薬、アナフィキラシーショックを起こした場合のエピペンなどです。また、発熱時の解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン、湿布などは数カ月以内のものであればいいと思います。 そして処方薬は、処方されたお子さんだけに飲ませてください。例えば「きょうだいに飲ませてもいいですか?」と聞かれることがありますが、似た症状であっても原因が違うこともありますし、体重が違うと薬の量が多すぎたり少なすぎたりするからです。同じ理由で、保護者の方が使うのもいけません。医師が診察しないで治療をすることは、保険診療上できないからです。 最後に、ごくまれに「こういう症状が出たときのために〇〇の薬をください」「保育園で薬をもらうように言われたので出してください」などと言われることがありますが、薬が必要かどうかの判断は医師が行う決まりですし、保険診療ですから適応外だと出すことができません。このことも、ぜひ知っておいていただけるといいなと思います。 参照)森戸やすみ『子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)

お話をお聞きしたドクター 小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長森戸やすみ 先生 一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。どうかん山こどもクリニックTwitter

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この記事の執筆者 大西まお 編集者・ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な担当書に、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。■Twitter

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