【世界初】ヒツジとヒトのハイブリッド胚が誕生! “羊人間”から人間への「異種間臓器移植」が現実化へ

2月21日(水)7時30分 tocana

※イメージ画像は、「Thinkstock」より

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 移植用臓器の不足は世界中で深刻だが、臓器の供給源として期待されているのがブタやヒツジといった動物たちである。ブタとヒトの細胞を合体させたキメラ胚については2017年に成功が伝えられているが、今回はヒツジとヒトのキメラ胚が作成されたという。今月19日付けでサイエンスメディア「Science Alert」が報じた。

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■ヒトとヒツジのキメラ胚

 このたびヒトとヒツジのキメラ胚を世界で初めて作成したと報じられているのは、米国スタンフォード大学の医師で細胞生物学者の中内啓光教授らのチームだ。中内氏はこの分野では第一人者と目されており、昨年も膵臓欠陥ラットの胚にマウスの多能性幹細胞を注入し、マウス由来の膵臓を持つラットを作り出すことに成功している。彼らの目標はブタやヒツジの体内にヒト由来の臓器を作り出すことにある。

 今回中内氏らのチームが作り出したのはヒツジの細胞1万個につきヒトの細胞が1個程度含まれるキメラ胚である。キメラ胚とは、異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっている胚のことをいう。

 発表は今週米国テキサス州で行われた米国科学振興協会の年次総会で行われた。中内氏は本研究について「ヒトの細胞の寄与は非常に少なく、ヒトの脳や顔を持つようなものではありません」とメディアに語っている。このキメラ胚は発生から28日後に破壊されたが、今回の発表はこの分野に大きなインパクトを与えた。

 ブタは一度にたくさんの子供を産む上、成長も早いので移植用臓器の供給元として注目されてきた。だが、ヒツジを使うメリットは一回で移植する胚が少なくてすむ点だという。ブタだと一度に50個の胚を移植しなければならないが、ヒツジだと4個で済み、実験に必要な胚の数が少なくて済むというのだ。

 移植を行うには胚の細胞の少なくとも1%がヒトのものである必要があるといい、今回のキメラ胚はそのレベルには遠く及ばない。だが、いずれは移植可能な臓器を作れるようになると、中内氏を筆頭に多くの科学者が考えている。

■危険性はないのか?

 しかしその一方、この試みには多くの懸念がある。一つはもちろん倫理的な問題だ。ヒトの細胞を持つ動物を人為的に作り出し、その臓器を移植に用いるということに嫌悪や忌避の感情を抱く者は少なくないだろう。また、そうやって作られた動物たちの脳にヒトの細胞が含まれていたら? 想像するとぞっとする事態であろう。

 さらに潜在的な危険性として挙げられるのは、ブタやヒツジのウイルスがヒトに感染する可能性だ。生物のゲノムには内在性ウイルスのDNA配列が保存されているのだが、これはブタにもヒツジにも、そしてもちろんヒトのゲノムにも確認されている。臓器の製造元であるブタやヒツジのウイルスが、臓器移植によってヒトに感染してしまう可能性は大いにありうる。ゲノム編集技術を使って内在性ウイルスをブタやヒツジのゲノムから排除する方法も考えられているが、それが可能かは今のところ不明だ。

 中内氏は「5年かかるか10年かかるかは分からないが、やがて可能になるだろう」と語っている。ブタやヒツジがヒトの臓器を作る時代は、もうそこまで迫っているかもしれない。
(編集部)
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