映画「シティーハンター」は絶対に新宿で見るべき! 鑑賞後、徒歩0分で「聖地巡礼」

2019年2月23日(土)17時0分 Jタウンネット

新宿に帰ってきた「もっこり男」が絶好調だ。


2019年2月8日公開の「劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>」は、公開初週の2日間で18万人弱を動員し、アニメ映画ジャンルの動員トップを記録している。


そんな劇場版のシティーハンターについて、続々出てきている感想は、


「新宿で観ると、終わった後に違う街に見える」

というもの。確かにシティーハンターといえば新宿だが、いったいどういうことなのか。身をもって体験してみることにした。


30年で「舞台」はどう変わった


シティーハンターといえばコミックの連載は1985〜91年、アニメは87年から91年にかけて断続的に放映された作品で、その後もTVスペシャルが何度か放映されていた


ほぼ30年の時を経て新作公開となった本作は、キャラクターも演じる声優陣もそのままに、2019年の新宿で冴羽獠や槇村香が活躍する物語だ。ゲストヒロインの美人モデル進藤亜衣に、香の幼馴染だという若き実業家・御国真司らオリジナルキャラクターが登場して、原作同様のコメディ・アクション・お色気ごちゃまぜの軽快なペースで物語は進む。


となれば、原作でおなじみの新宿駅の伝言板はどうなっているのか?新宿の街はどう描かれているのか?が気になるところ。かつての原作世界からどれほど変わったのか、鑑賞後に「聖地」新宿をめぐってみた。


【注意】ここから先、少しネタバレ要素があります


記者が観たのは新宿歌舞伎町のTOHOシネマズ新宿。このシネコンからして、冒頭でカーチェイスを繰り広げてゴジラが「炎上」するかのような描写まであるから、劇中のキャラクターが実在するパラレルな新宿に引きずりこまれるような感覚に陥る。


ガジェット面では新宿駅の伝言板はスマホの画面にARで現れ、そこに「XYZ」を書き込むスタイルに進化し、ドローンが「もっこり」と「戦闘アクション」の両面で活躍する。


さらにアキラ100%とにかく明るい安村の裸芸を仕込むなど、劇中のメインキャラクターたちは年を取らずに30年間生き続けてきたかのようにトレンドを押さえて現代に溶け込んでいる。


「新宿プライベート・アイズ」のタイトルからわかるように、新宿の街自体もストーリーの展開に重要な役目を果たす。


ネタバレは控えるが、獠や香と、敵対する人物が新宿に向ける感情の差もクライマックスの場に新宿が選ばれた伏線になっているのだ。その分?たちやスタッフが新宿に込めた愛の深さも伝わってくる。


あっという間に95分が過ぎて、エンドロールの「Get Wild」(TM NETWORK)の余韻に浸って劇場を出ると、確かに新宿の夜景がいつもと違うのだ。ついさっきまで獠に香に海坊主、「キャッツ・アイ」の三姉妹までも闊歩していた街が目の前にあるので、テンションが上がってその足で新宿を放浪したくなる。


聖地には獠が大立ち回りをやってのけた新宿ゴールデン街、ナンパや「もっこり」未遂を働く花園神社など歌舞伎町から東口にかけてもたくさんあるが、記者としては「Get Wild」を口ずさみながら、さらに西口や南口まで足を伸ばさずにいられなかった。30年前とはまるで別世界のこのエリアもしっかり描かれていたからだ。


激変した西口・南口も舞台に


原作・アニメがヒットしていたのは1980年代後半〜90年代初頭。そこから新宿は様変わりした。現在YouTubeで一部配信中のアニメ版と比較すると、描画の進歩を差し置いても80年代末期の西口には思った以上に超高層ビルは少ない。目立つのは裾が広がったような損保ジャパン本社ビルくらいである。


1991年に東京都庁が完成し、それ以後も00年にNTTドコモビル、06年にモード学園コクーンタワーが完成するなど個性的な超高層ビルが増えていった。それらの建物群も劇中でしっかりと描かれ、獠たちの新宿への思い入れを代弁しているかのよう。


新宿駅の南口には原作当時影も形もなかったバスタ新宿やサザンテラスが整備されている。我々には当たり前の光景だがどちらも劇中でばっちりと登場。バスタ新宿に至っては終盤でゴジラに破壊されるがごとき災難に遭うが、これも実在のターミナルを知っていると何倍も面白く観ることができる。


また新宿の平和を賭けた最終決戦の舞台は新宿御苑がモデルだ。大都会新宿にこんな戦争でもできそうな広大な場所が......とびっくりする上に、新宿でのもう一つの上映館・新宿バルト9の目と鼻の先なので、すぐに聖地巡礼できてしまう仕掛けが心にくい。


とにかく、せっかく新宿で観たのならそのまま帰るのは勿体ないくらい忠実に再現された現代の新宿で、シティーハンターらしいエッセンスが随所にちりばめられた小粋な作品だった。新宿の街中に身を置くだけで余韻に浸っていられる。


それでいて音楽面ではエンディングに流れる「Get Wild」を筆頭に、シティポップ感満載の「City Hunter〜愛よ消えないで〜」(小比類巻かほる)や若干ファンクさも漂うロック曲「ゴーゴーヘブン」(大沢誉志幸)など、アニメのOP曲や挿入歌がふんだんに使われているので、80年代と現代を行き来するかのような錯覚にも陥ったし、原作のややバブリーでイケイケな時代感覚が蘇る。


劇場を後にする観客は若い人も多く、ルミネやバスタ新宿のような馴染みの場所が映画の舞台になっていたのを楽しんでいる会話もちらほら聞こえてきた。3月1日から4D版の上映開始も決定していて、さらに臨場感あふれる映画を楽しめる。


ちょうど昭和と平成の変わり目の新宿を舞台にしたシティーハンター・冴羽獠が、平成最後の年の新宿でいきいきと活躍している。確かに新宿で観て獠たちの息吹と街の進化を体感することの意義は大きく、エモい体験だった。

Jタウンネット

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