50年前の日産チェリーが今でも現役? 仲良し夫婦の愛車は状態良好!

2024年2月23日(金)11時30分 マイナビニュース

日産自動車で初のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)モデルとして1970年にデビューしたのが「チェリー」だ。「Nostalgic 2days」(ノスタルジック2デイズ、2024年2月17日〜2月18日にパシフィコ横浜で開催)の会場で発見したのは、懐かしい「日産チェリー取次店」の看板とともに展示してあったシンプルなチェリーの2ドアセダン。どんなクルマなのかオーナーに話を聞いてみた。
日産チェリーとはどんなクルマ?
チェリーの中で最も人気があったのは、特徴的なプレーンバックのリアハッチバックスタイルとオーバーフェンダーを備えた2ドアクーペの「X-1R」だ。しかし、今回の会場内で筆者の目に止まったのは、シンプルな「X-1・2ドアセダン」だった。
チェリー2ドアセダンのボディサイズは全長3,610mm、全幅1,470mm、全高1,310mm。現代のクルマと比べると超コンパクトだ。当時の日産の主力車種「サニー」の車格がアップしたことにより、同社のエントリーカーとして登場したのがチェリーだった。同じクラスのライバルだったトヨタ自動車「パブリカ」に対抗するために開発されたモデルでもある。
「X-1」グレードはチェリーの高性能版。わずか655kgの軽量ボディにSUツインキャブを装着した1.2L直列4気筒のA12型エンジン(最高出力90PS、最大トルク9.8kgm)を搭載し、4速MTを介して最高速度160km/h、0-400m加速(0-100km/hではない)17.3秒を実現した俊足モデルである。
50年前にチェリーを入手? オーナーに聞く
オーナーである竹口自動車の竹口英三さんに話を聞くと、「このクルマの販売のため、日産が新たに立ち上げた『日産チェリー店』の広島販売で働いていた18歳の時、昭和46年(1971年)式で3年落ちの下取り車として入ってきたこのクルマを手に入れて、それからずっと乗っているんです。今年で68歳なので、もう50年も乗ってます」と広島弁混じりで楽しそうに語ってくれた。
「子供が生まれた時、やっぱりクーラー付きのクルマが欲しくなって、ブタケツのローレル(C130型、ケンメリスカイラインの姉妹車)に乗るため一度抹消したんですが、平成5年(1993年)に再登録し、そこからかなり手を入れてきました」とのことだ。
レストアの内容を聞いてみると、まずはペイントを総剥離し、元のカラーである「トロピカルオレンジ」に全塗装。ボンネットをカーボン製に、フロントフェンダーをFRP製にすることで軽量化を図った。さらにエンジンはA14型に換装してボアアップするとともに、ケイヒンの強制開閉式FCRキャブを装着してパワーアップ(現在はノーマルのSUツインキャブに戻している)。マフラーや足回りを特注品や自作のものに取り替えるとともに、高性能化に伴ってラジエターなどの熱対策も完璧に行なってきたのだという。スピードメーターは200km/hまで、タコメーターは10,000回転(!)まで目盛られている。
運転席にダットサンのバケットシート
時間と費用をかけながらコツコツと仕上げられたチェリーがサーキットやロングドライブなどさまざまなシーンで活躍したのはいうまでもない。運転席にはコンパクトなダットサンのバケットシートを入れ、ドライバーズシートを助手席側に移植している。レバーが右側にあるので、運転席側からリクライニングが簡単にできるというメリットがあるのだとか。
その助手席に座る奥様に「さぞや乗り心地は悪いんでしょうね?」と話を振ると、「いいえ、オトーサンは運転が上手なので、全然そんなことないんですよ」と全否定。こんなご夫婦に長く愛され続けるチェリー。なかなか素敵だ。
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら

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