<60歳を過ぎたから>と白内障の手術を受ける人が増加しているが…眼科医「手術前は裸眼で手元が見えていたのに、術後は老眼鏡を使わないと見えないというケースも」
2025年2月24日(月)6時30分 婦人公論.jp
(写真:stock.adobe.com)
私達は日常生活で得られる情報の8割を<視覚>から得ているそう。しかし、さまざまなデジタル機器を駆使しなければならない昨今、目にまつわるトラブルは増加傾向に…。「人生100年時代と言われる今、ずっと目が見える生活を送っていくなら、早めの検査、早めの生活改善、早めの治療が大事」だと主張するのが真鍋眼科の真鍋佑介先生です。今回は先生の著書『一生目が見える人のすごい習慣』の一部引用、再編集してお届けします。
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年齢を理由に白内障の手術を受ける人が増えているが…
60歳を過ぎると白内障手術を受ける方が増えていきます。
現在、白内障手術は短時間で安全に手術が行えますし、高機能タイプのレンズが登場しているので早めに手術を受けられる方も多くなっています。
ですが、中にはまだ白内障の視覚的な症状がないにもかかわらず、60歳という年齢を理由に「手術をしたほうがいいか」とおっしゃる人もいます。それはちょっと待ってください。
確かに白内障手術を早めに受けて見えやすくなる人もいますが、症状が出ていないのであれば、できるだけ自分の水晶体を長く大事に使っていただきたいです。
慎重な決断を勧めるワケ
白内障がまだ進行していない段階での手術は、一般的には推奨されていません。
手術である以上、感染症などのリスクも伴いますし、ピントを合わせる調節力が十分ある段階で天然の水晶体から人工レンズに置き換えると、この調節力が失われてしまいます。手術前は裸眼で手元が見えていたのに、術後は老眼鏡を使わないと見えないなど、不満に繋がるケースもあります。
白内障の症状がほとんどない段階での手術は、メリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重に決断する必要があります。
水晶体が一度白内障になって濁ってしまうと、元に戻せません。よく卵にたとえられますが、生卵の状態から目玉焼きやゆで卵に変わると、生卵の状態に戻ることはできませんよね。
水晶体は一度傷がつくと再生できない
水晶体もタンパク質でできているので、傷ついて混濁すると元の透明性の高い状態には戻りません。水晶体はデリケートなので、一度傷がつくと再生できないのです。
水晶体にダメージを与える代表的なものが紫外線です。
世界保健機関(WHO)は「白内障の原因の20%は紫外線である」と報告しています。長年にわたって紫外線を浴び続けると、酸化ストレスによって水晶体内のタンパク質が変性し、白内障の発症リスクが高まります。
特に、屋外で長時間過ごすことが多い方は、注意が必要です。
外出する際は、帽子やサングラスを着用し、目を紫外線から守るようにしましょう。また、白内障予防には、UVカット機能のついた眼鏡やコンタクトレンズの使用も効果的です。
知っておきたい重要な栄養素
酸化を防ぐための栄養素も重要です。
ビタミンCやビタミンE、ルテイン、ゼアキサンチンなどの抗酸化物質は、水晶体の健康を保つために重要な役割を果たしています。
この他にも強度近視や糖尿病、アトピーの人がステロイド薬を使うことでも白内障リスクが高まります。
すでに糖尿病やアトピーの治療をしている人は、眼科にも相談し、疾患の予防をしていきましょう。
※本稿は、『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
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