北海道・千歳は半導体でどう変わる? ラピダスによる「次世代半導体製造拠点の整備」について学ぶ
2025年2月25日(火)15時3分 マイナビニュース
2023年2月より、Rapidus(以下、ラピダス)が千歳市で次世代半導体の開発・製造を目指すプロジェクトを進め、その進捗は各方面で話題になっています。
そもそも半導体とは何か? 北海道にどのような影響がある? などを、道民向けセミナー「次世代半導体とほっかいどうの未来in札幌」でわかりやく解説してくれました。
北海道における半導体・デジタル関連の取り組み
最初に、北海道経済部産業振興局 次世代半導体戦略室長の青山大介氏は、ラピダス社が進める国家プロジェクトとしての次世代半導体製造拠点の整備を成功させることが重要であり、具体的には配水施設などインフラ整備、関連企業の誘致や取引拡大に向けた取り組みを実施していると言います。
また、経済産業省の金指壽氏は「日本の半導体政策は、いま転換期を迎えている」と述べる。
現在、半導体シェアは台湾が約65%占めており、台湾積体電路製造(TSMC)がトップを独占。2024年にTSMCが、九州・熊本半導体工場(JASM)の第1工場で量産を開始し、早くも経済効果は絶大とのこと。
半導体供給源の多様化を実現するためにもラピダスの存在は大きく、北海道内総生産の増加や消費の拡大、雇用の創出などにつながることが期待されており、今後10年ほどの経済波及効果は最大で18兆円を上回ると試算しているそうです。
ラピダスは2ナノ半導体の量産を目指す
そもそも半導体とは、電子部品の中で、コンピュータとして計算と制御を司っている部品。
冷蔵庫、ゲーム機器など身の回りの家電で使われており、スマートフォンには数百から数千個の半導体が組み込まれています。
半導体の最小加工寸法が10ナノメートル(nm)程度といわれていますが、ラピダスでは2ナノメートルの半導体を量産する技術開発に取り組んでいるそうです。
2ナノメートルは、花粉やウイルスよりも小さいサイズになります。
『次世代半導体を北海道から世界へ』と題した講演の中で「北海道農業のDX化やスマート農業の、生産性を上げる製造ロボットなどに欠かせない半導体。暮らしを便利にするだけではなく、人々を幸せにする半導体にしていきたい」と、ラピダスの小池社長は力強く語ってくれました。
2025年のパイロットライン稼働に向けての進捗状況をはじめ、千歳とその周辺エリアを半導体関連企業や研究機関、大学が集まる北海道バレー構想なども紹介します。
北海道発の半導体が暮らしを変える
北海道大学 量子集積エレクトロニクス研究センターの教授である、葛西誠也氏は「日本は、食料自給率よりも半導体自給率は低い。北海道で半導体を製造するということは、日本はもちろん世界に貢献することになる」と。
そして、「今後ラピダス社が製造する半導体は消費電力が低くなると期待されている。現在、スマートフォンは毎日充電する必要があるが、1回充電したら1〜3年使えるようになるので、ライフスタイルも変わる」と予測していました。
日本経済新聞で編集委員を務める太田泰彦氏は、産業の歴史を振り返りつつ、国際的視野で半導体マーケットの動向と展望について解説。
そして「ラピダス社の北海道進出は大きなチャンス。道民がそれを認識して大志を持って支えていくことが大切」と語っていました。
ラピダスの本格稼働により、北海道の未来、わたしたちの暮らしがどのように変わるのか楽しみになりました。
しだまゆみ しだまゆみ 学生時代に編集プロダクションでアルバイトをして、そのまま就職。かすかに版下と写植の存在を知っている。2000年よりフリーライター/エディター。地元企業の広報や採用にも携わる。最近はソーシャルビジネスに関心あり。 この著者の記事一覧はこちら