【医師監修】おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)ってどんな病気?ムンプス難聴って?ほおの腫れが引けば登園していい?

2月28日(木)17時30分 マイナビウーマン子育て

子どものほおが腫れる病気としてご存知の方も多い「おたふくかぜ」。通常1、2週間で治まることが多いのですが、時に難聴などの後遺症を残したり、合併症として髄膜炎を引き起こすこともあり、けして侮ってはいけない感染症です。

この記事の監修ドクター なごみクリニック院長 武井智昭先生 慶応義塾大学医学部卒業後、平塚共済病院小児科医長を経てなごみクリニック院長。日本小児科学会専門医、指導医。臨床研修医指導医。インフェクションコントロールドクター(日本小児感染症学会)。現在、0歳から100歳までの「1世紀」を診療する医師として、家庭医として地域医療に従事しながら、メディア等での執筆・監修を多方面で行っている。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)ってどんな病気?

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おたふくかぜは「かぜ」? ムンプスって?

おたふくかぜはムンプスウイルスによる感染症です。医学的には流行性耳下腺炎といいます。病名に「流行性」と入っているくらいですから、いわゆる「はやりやまい」の一種で、特に幼児や学童の間で流行しますが成人でも発症することはあります。

耳の下のあたりにあって唾液を作る「耳下腺」に炎症が起きる病気で、顎の下にあって耳下腺同様、唾液を分泌する「顎下腺」が腫れることもあります。

耳下腺が炎症で腫れることでほおが腫れあがって、まるで「おたふく(おかめ)」のように見えることから、おたふくかぜと呼ばれています。

なお、「かぜ」とは、さまざまなウイルスや細菌によって鼻やのどに炎症が起こる感染症の総称です。その病原体は200種類以上あると言われています[*1]。流行性耳下腺炎、おたふくかぜもその一つです。 おたふくかぜはワクチンで予防できますが、任意接種(希望者のみに行われ、費用も自己負担の予防接種)であるため接種率が30〜40%と低く[*2]、いまだに流行を繰り返している病気です。

おたふくかぜの主な感染経路は「唾液」

おたふくかぜは、幼稚園や学校で流行りやすい病気です。これは、おたふくかぜが唾液を介した飛沫感染と接触感染で人にうつるからです。

飛沫感染とは、咳やくしゃみ、会話などによって口から飛ぶ病原体(ウイルス)が含まれた水分、つまり唾液の細かい粒を吸い込むことで感染する経路のことです。飛沫が飛ぶ距離より離れていれば(おおむね2メートル)感染する可能性は低くなります。似ている感染経路として空気感染がありますが、空気感染の場合、同じ空間(部屋や教室など)にいると距離が離れていても感染する可能性があります(結核、麻疹、水ぼうそうなど)。

おたふくかぜはこれらほどではありませんが、感染力は強いと言われています。

一方、接触感染もやはり唾液が関係しています。ウイルスを含む唾液の付着した手や物を触ることでうつるからです。これが、子どもの間で流行りやすい理由の一つです。

なお、おたふくかぜではウイルスに感染しても症状が現れない「不顕性感染」が30%ほどあるとされます[*3]。症状はなくても唾液の中にはウイルスが存在するので、人にうつります。おたふくかぜは一度感染するとほとんどの場合、終生免疫が得られると言われていますが、再感染したという報告も存在します。

おたふくかぜはいつ流行る?潜伏期間はどのくらい?

おたふくかぜは全国の小児科医療機関の中の約3,000カ所から患者数が報告されることになっている感染症です。その調査によると3〜5年周期で流行していることがわかります。季節的には春〜夏にやや多い傾向がありますが、一年を通してみられます。 子供の患者数から推計した全国の 患者数は、多い年で年間百数十万人、少ない年は数十万人と考えられています。 なお、ムンプスウイルスに感染してから症状が現れるまで、 16〜18日ほど間があります[*4]。

これっておたふくかぜ? 合併症にもご注意を

子どもが感染した場合の症状と合併症

ムンプスウイルスに感染すると、おたふくかぜに特徴的なほおの腫れが現れ、それとともに発熱することが多いです。ほおの腫れは痛みを伴い、固いものを食べたり、飲んだりする時に痛みがより強くなります。発症から2〜3日目あたりがほおの腫れのピークで、この腫れは1週間ほど、遅くても10日で引いていきます[*4]。

以上はおたふくかぜの一般的な経過ですが、実はムンプスウイルスに感染した際に、おたふくかぜ以外の病気、いわゆる「合併症」が起こることもあります。

子供で最も頻度が高い合併症は、無菌性髄膜炎という病気です。脳と脊髄を包んでいる膜状の組織「髄膜」にウイルスが侵入して起きる炎症のことで、頭痛や吐き気・嘔吐、発熱などが現れます。

おたふくかぜによる無菌性髄膜炎はほとんど後遺症なく治りますが、頻度は低いながら、痙攣や意識障害などの症状が 現れる脳炎になることもあり、この場合は後遺症が残ったり命にかかわることもあります。

また、頻度としては低いのですが、永続的な難聴になることがあります。この難聴は通常、左右どちらかの耳に起こります。子どもの場合、片方の耳が聞こえなくなったことに気づかず、長期間見過ごされてしまうことがあります。なお、中には両耳の難聴が生じることもあります。 その他、思春期以降に多い合併症として男児の精巣炎、女児の卵巣炎が挙げられます。

おたふくかぜと間違えやすい別の感染症

おたふくかぜの典型的な症状は耳下腺炎によるほおの腫れですが、耳下腺炎はムンプスウイルス以外のウイルス(コクサッキーウイルス、A型インフルエンザウイルスなど)の感染でも起こることがあります。

おたふくかぜに感染したら?

おたふくかぜの治療方法は? 特効薬はあるの?

ムンプスウイルスを減らす抗ウイルス薬はありません。

そのためおたふくかぜにかかったら、原因療法(病気の原因を直接的に治そうとする治療)ではなく、現れた症状ごとに治療を進める「対症療法」が行われます。

例えば、発熱に対して解熱薬などを使うといったことです。

ほっぺの腫れはいつまで続く? いつから幼稚園・学校に行ってもOK?

ほおの腫れは発症してから2〜3日目あたりがピークで、1週間〜10日ほどで引いていきます。ほおの腫れが現れてから5日が経ち、かつ全身状態が良く体調に問題がなくなったら、登園・登校できます[*4]。

おたふくかぜ予防のためにできること

予防接種はいつ受けるの?

おたふくかぜはワクチンで予防できるのですが、おたふくかぜの予防接種は現在、定期接種ではなく任意接種とされています。これはかつて、おたふくかぜの予防接種により無菌性髄膜炎が起きたことが問題視されたからです。

しかし日本小児科学会は、子供へのおたふくかぜワクチン接種を推奨しています。なぜなら、予防接種によって重症化する無菌性髄膜炎や脳炎、難聴などが起こる可能性は非常にまれで、その頻度は、予防接種を受けずにおたふくかぜにかかりそれらを発症する頻度より低いからです。

海外では多くの国で、麻疹・風疹ワクチンとともにおたふくかぜワクチンも定期接種として2回接種することになっています。日本小児科学会でも、初回は1歳以上、2回目は5歳以上7歳未満で小学校の入学前にMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)と同時期で接種することを推奨しています[*5]。

日常生活でできるおたふくかぜの予防

おたふくかぜが流行すると、国立感染症研究所や自治体のホームページに、その状況が掲載されますので、確認するようにしましょう。また、感染症予防の一般的な注意として、飛沫感染や接触感染を防ぐために、マスクの着用しやこまめな手洗いを行うようにしましょう。

まとめ

一般に「おたふくかぜ」として知られている流行性耳下腺炎は、通常、自然に軽快する病気とされていますが、時に髄膜炎や脳炎などの合併症を起こすことがあります。また、難聴などの後遺症が残ることもあり、軽視はできません。

おたふくかぜは予防接種で防ぐことができる病気ですから、小学校に上がる前までに2回目の接種を終わらせておくようにしましょう。

(文:久保秀実、監修:武井智昭先生)

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