2017年は特撮にとってどんな年になる? ゾルダ復活&『スーパー大戦』に見るサブライダーの復権に注目!!

2月28日(火)21時0分 おたぽる

モノブライトのベース・出口博之(撮影:松沢雅彦)

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 こんにちは、モノブライトのベース、出口です。
 スーパー戦隊シリーズ第40作の記念作となった『動物戦隊ジュウオウジャー』が最終回を迎えました。一年間、その勇姿を追いかけ毎週応援してきたヒーローとのお別れは、毎度のことながら最終回を見終わると胸にポッカリ穴が空いたような寂しさを覚えます。“ジュウオウジャーロス”と言ったところでしょうか。

 しかし、文字通り彗星の如く現れた新ヒーロー『宇宙戦隊キュウレンジャー』のこれまで見られなかったタイプの勢いと革新的な格好良さを目の当たりにし、胸の隙間に入り込んだジュウオウジャーロスは緩和され「ジュウオウジャーには劇場版とか、また会えるしな」とひとりごちるのは、なんともゲンキンと言うか心変わりが早いと言うか、我ながら柔軟な距離感でヒーローを応援している次第であります(放送局はいずれもテレビ朝日系)。

 2016年は日本特撮の歴史を語る上でターニングポイントとなった年でした。前述のスーパー戦隊シリーズが第40作となったことをはじめ、『ウルトラマン』50周年、『シン・ゴジラ』公開、『仮面ライダー』45周年、などなど。日本特撮の始祖であり、現在も特撮の最前線とも言えるシリーズたちの記念周年が同じ年にこれだけ重なるなんて、記憶している限り今まで無かったと思う。偶然そうなった、と言ってしまえばそれまでですが、もっと大きな意味が2016年にはあります。その理由は、どの作品にもアニバーサリーイヤーにありがちな懐古主義ではなく、特撮の未来、特撮のこれからのために大きな楔のような句読点を打つ気概、気迫が感じられたからです。

 言い方を変えると“総決算”であり、以後の作品にとっては、ともすれば悪夢的に高い壁にもなりかねない句読点。そんな意味合いが込められた作品群が乱立した2016年は、特撮史においてある意味終点であり起点になり得る重要な年と言えるです。

 そこで気になるのは、2017年はどうなるんだ、ということ。

 大きなトピックスとしては、『ウルトラセブン』50周年、Vシネマ『スペーススクワッド』の6月公開(『宇宙刑事ギャバン』『特捜戦隊デカレンジャー』などが登場予定)がすでに発表されていて、今年も特撮ファンにはたまらない話題作が目白押しになりそうです。そんな中、現在個人的に今一番注目しているのは、3月公開になる映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦』です。スーパー戦隊シリーズと仮面ライダーシリーズが同一の世界に登場する、まさにヒーローの祭典と言っても過言ではない劇場版シリーズ。公開される度に「過去作品のヒーロー」が新たな形で登場し、もう一度あのヒーローに出会える驚きと喜びがある作品です。

 今作では総勢100名のヒーローが登場することと同時にメインビジュアルも公開されましたが、今回はなかなか興味深いキャスティングになっていて、直近の作品群のヒーローと共に今年10周年を迎える『仮面ライダー電王』(07〜08年)と、同じく今年15周年を迎える『仮面ライダー龍騎』(02〜03年)を差し置いて、中央に同作のサブライダーである仮面ライダーゾルダの姿が。

 たしかに龍騎本編ではほぼ主人公級のキャラクターではありますが、なぜこの立ち位置に龍騎ではなくゾルダなのか。それは、膨大なアーカイブを再構築することがひとつの方法論として確立した00年代中盤以降のスピンオフ作品(スーパーヒーロー大戦シリーズも含む)などでのいわゆるサブライダーは、本編とは少し離れた立ち位置で多元的な世界観をつなぐ役割を獲得したから。この事象は2017年以降の特撮史において、非常に重要なポイントになり得るのではないかと思うのです。

 ものすごく前置きが長くなりましたが、今回の【特撮自由帳】はゾルダ復活と『仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦』公開待ちきれない記念として、サブライダーについてを、極論に支配された思考ルーチンで考察したいと思います。いつにも増してあっちこっちにいきそうな考察になりそうですが、お付き合いくださいませ。

■パラレルワールドと正史の差

 まずはじめに、スーパー戦隊と仮面ライダーの両シリーズにおける作品ごとのつながりに対するスタンスを見ていきましょう。
 スーパー戦隊では『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11〜12年)で「スーパー戦隊は連綿と地球を守ってきた存在」として、すべてのシリーズがひとつの次元でつながっていることを提示しています。仮面ライダー(平成シリーズ)では、『仮面ライダーディケイド』(09年)において「仮面ライダーが存在する9つの並行世界」を提示し、各世界を違う次元の出来事にしています。あくまで広義での分類とご理解いただければ。

 ゴーカイジャー、ディケイド共に「他のヒーローに多段変身できる」ことは共通していますが、その扱い方には明確な差別化が図られており、この違いによりスーパー戦隊シリーズは他のヒーローがたくさん集まる系の作品では「本人」もしくは「ゴーカイジャーの大いなる力」なくしては登場できない制約が生まれています。それに対し、仮面ライダー自体の力、言い換えるとデータを用いて他のライダーを立体化させたディケイドの方法論は、フレキシブルに多くのライダー含め、他のヒーローを登場させることへの理由と説得力を獲得し、この制約を突破しているのです。

 ヒーローのデータを用いる点はゲームをモチーフにしている『仮面ライダーエグゼイド』でも受け継がれ、『超スーパーヒーロー大戦』において過去のヒーローが登場する理由を「ゲームの登場キャラクターにする」という部分に見られます。その上、ディケイドによって並行世界に対する理解力、読解力が私たちの中にもあるので、「あー、龍騎は周年だからファンサービスね」ということだけではなく、あくまで物語と世界観に準拠した形での再登場は、劇中で北岡先生が亡くなっていてもゾルダの登場に納得できるし、もしかすると北岡先生だけではなく並行世界にいるであろう由良吾郎も登場するんじゃないか、という期待も膨らむという訳です。

 もう少しゾルダへの期待という部分で掘り下げると、『仮面ライダー電王』との絡みも注目したいところ。電王でのサブライダー的立ち位置には仮面ライダーゼロノスがいます。ゼロノスとゾルダの共通点(緑色、モチーフなど)が多いので、何かしらの絡みがあるのではと予想。このようなメタ的なネタもサブライダーだからできるものではないでしょうか。


■世界観を広げる、もうひとつのストーリー

『仮面ライダー龍騎』勢で言えば、もうひとり忘れてはならないのが、仮面ライダー王蛇(おうじゃ)。こちらは劇場版ではなく、東映特撮ファンクラブ初のオリジナル映像作品『仮面ライダーブレイブ〜Surviveせよ!復活のビーストライダー・スクワッド〜』(17年)で登場しています。野獣タイプのライダーが集まった「ビーストライダー・スクワッド」というのも、新団体を旗揚げしたヒールレスラー集団にも近いものを感じ胸が熱くなります。時を超えて主役級の登場を果たした仮面ライダー王蛇はじめとする「ビーストライダー・スクワッド」は、もはや「サブ」という言葉がふさわしくないほどの存在感を持ち、もうひとりの仮面ライダーであることを声高に宣言しています。

 平成仮面ライダーシリーズでは複数のライダーを便宜上「1号と2号」や「メインとサブ」と呼称していますが、そもそも両者の関係性は「仮面ライダーと仮面ライダー」であって、おしなべて全員が主役です。

 しかし、本編ではどうしても中央の仮面ライダーがフォーカスされるので、もうひとり(もしくは二人目、三人目)の仮面ライダーは一歩引いた立ち位置になります。テレビでは必然のことであり、そこで描ききれない要素を特にVシネマで補完するのが定石とされていましたが、ここ数年でもうひとつのアウトプット「ネット配信」が生まれ、テレビ本編では描けない物語(高年齢層や一歩引いた立ち位置だったもうひとりの仮面ライダーについてなど)を紡ぐことが可能になったのです。Vシネマはいわゆる読み切り的な物語でしたが、テレビとほぼ同じ連続モノとして物語を追うことができます。直近の作品で言えば、テレビでは放送できない(後に修正した編集版が放送されるが)一歩踏み込んだ表現でより高い年齢層を狙った『仮面ライダーアマゾンズ』(16年)が当てはまります。

『仮面ライダーアマゾンズと仮面ライダーブレイブ〜Surviveせよ!復活のビーストライダー・スクワッド〜』は、ネット配信という形でこれまで読み切りの番外編にすぎなかったもうひとりの(もしくはそれに準ずる)仮面ライダーの物語などを、細部まで、深部まで描く可能性を示しています。ネット配信の登場によって豊富になったプラットフォームは、作品の世界観をより重層的な構造にするのです。これは仮面ライダーに限らず当てはまることですが、登場人物の多くが複雑な関係性になる仮面ライダーにとっては殊更相性が良く、今後のスタンダードになり得るものだと思います。

■もしも叶うなら、どのサブライダーの物語が見たいか

 仮面ライダーゾルダ、仮面ライダー王蛇が時間を超えて復活したことを考えると、他の作品のサブライダーにもスポットライトが当たるチャンスはあると言うことです。これまで登場したサブライダーは一体何人いるのかをカウントしてみました。

仮面ライダーアギト:3
仮面ライダー龍騎:12
仮面ライダー555:2
仮面ライダーブレイド:6
仮面ライダー響鬼:15
仮面ライダーカブト:7
仮面ライダー電王:2
仮面ライダーキバ:3
仮面ライダーディケイド:3
仮面ライダーW:3
仮面ライダーオーズ:3
仮面ライダーフォーゼ:2
仮面ライダーウィザード:4
仮面ライダー鎧武:11
仮面ライダードライブ:4
仮面ライダーゴースト:4
仮面ライダーエグゼイド:5

※主人公以外の変身者の数。劇場版含む。

 合計で89人。こうやって見ると、作品ごとで人数にかなりのばらつきがあります。特に注目したいのは大人数の印象が強い龍騎や鎧武を抑え、実は響鬼が最多人数であること。響鬼は魔化魍(まかもう)から人々を人知れず守り続けている猛士(たけし)という組織があるため、ここに所属する鬼(今作でのライダーの呼称)の人数と考えれば合点がいきますが、内訳を見ると劇中に名前しか出てこない鬼、オープニングのみに登場する鬼もカウントされています。

 これだ!今まで語られることのなかった鬼たちの活躍、見てみたいと思いませんか?
 深刻な人員不足により、疲れが癒えないまま魔化魍と戦い続けていることが言及されているので、過酷な現場環境で戦う鬼たちの師弟関係なんて、これがドラマチックにならなくてどうする!といったところでしょう。ネット配信であれば、テレビでは表現できなかった魔化魍の凶悪さや、鍛え抜かれた肉体で戦う鬼のバイオレンス感満載の格闘なんかも実現できると思います。きっと面白い物語になりそうなので、製作の方よろしくお願いします!

 いかがだったでしょうか?
 今回はサブライダー(もうひとりの仮面ライダー)について色々と想いを巡らせてみましたが、ゾルダや王蛇の再登場は、今後仮面ライダーに限らず周年記念を迎える作品のヒーローが活躍できる場所を大きく広げた結果になると思います。
 2017年以降の特撮は、これまで語られなかったサイドストーリーを拡充する時代が到来すると感じています。

■モノブライト公式サイト
http://www.monobright.jp/
・3月4日「見放題東京2017」 に出演
 会場:東京新宿歌舞伎町界隈9会場
 イベント公式サイト http://mihoudai.tokyo/

・3月11日「KOBE MUSIC STADIUM-対バン’17-」に出演
 会場:神戸 太陽と虎(http://taitora.com/)

・3月12日「HIROSHIMA MUSIC STADIUM -ハルバン’17 」に出演
 会場:広島 CAVE-BE(http://www.cave-be.net/hiroshima/top.html)

おたぽる

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