お腹がたぷたぷしている猫は「太り気味」?猫の肥満度は「あの箇所が触れるか」で分かる?獣医師「自己判断での極端なダイエットは絶対にやめて」

2024年2月29日(木)12時30分 婦人公論.jp


意外とわかりづらい猫の太り気味のサイン(写真提供:Photo AC)

誰よりもかわいい「うちの子」を世界一幸せな猫にしたい。猫の飼い主(と書いてげぼくと読む)全員の願いではないでしょうか。いったいうちの子は何を望んでいて、どんなことを考えているのかーー。SNSを中心に、猫の気持ちを知りたい飼い主たちに圧倒的な支持を受けるのが、獣医学博士の資格を持ち、現在は難治性疾患の基礎研究に従事する獣医にゃんとす先生です。自身も愛猫家である氏が、愛猫の健康管理についてお答えします。

* * * * * * *

猫の太り気味のサインはどっち?


人間と同じく、肥満は猫の健康にも悪影響を及ぼします。愛猫が太っているかどうかをきちんと見極めて、肥満気味の場合は食事量や運動量を調節する必要があります。ではねこの太り気味のサインとは、一般的に…

A 体重が5キログラム以上
B 上から見てウエストにくびれがない 
のどちらでしょうか?

あらためて、猫の太り気味のサインとは、Bの「上から見てウエストにくびれがない」です。

猫の肥満度はくびれと肋骨が触れるかでチェック


猫が太っているかどうかは、主に「ボディコンディションスコア」と呼ばれる手法で判断します。

猫の理想的な体型は、次の1〜3が評価基準とされています。
1:上から見た時に肋骨の後ろにくびれがある
2:薄い脂肪の上から肋骨が触れる(人間の手の甲の骨を触る感覚を参考にしてみるとわかりやすいです)
3:腹部にあまり脂肪がついていない

ウエストが異常に細かったり、肋骨が目で見える場合は痩せ過ぎ、逆にくびれが判別つかなかったり、肋骨が脂肪で触れることができない場合は太り過ぎと評価します。

お腹がたぷたぷでも太っていない猫もいる


ただし、注意が必要なのは腹部の脂肪についてです。愛猫がお腹をたぷたぷさせながら歩いていると、「太っているのかな…?」と心配になるかもしれませんが、猫にはもともと下腹部にたるみがあります。
これは「プライモーディアルポーチ(原始的な袋)」もしくは「ルーズスキン」と呼び、脂肪ではなく、余った皮膚です。このたるみはライオンやトラなどの他のネコ科動物にも見られます。
太るとルーズスキンも目立つようになりますが、太っていない猫でも目立つ場合もあります。そのため、太っているかどうかをお腹のたるみだけで判断するのは難しく、くびれがあるか、肋骨が触れるかどうかで判断しましょう。自分で見極めるのが難しい場合は、一度動物病院できちんと評価してもらうと安心です。
また、自己判断での極端なダイエットは肝臓にダメージを与えることもあります。
必ずかかりつけの獣医師と話し合いながら、無理のないダイエットを計画するようにしましょう。

猫のストレスサインとして誤っているのはどれ?


ストレス社会に生きる私たち人間とは異なり、猫は自由でストレスフリーに生きている…と思うのはまちがい! じつは猫も様々なストレスに日々さらされています。

「猫のストレスサイン」として誤解されがちなのは、この中のどれでしょうか?
A おもちゃでよく遊ぶようになる
B トイレ以外でおしっこやうんちをするようになる
C 飼い主や他の猫への愛着行動が減る

あらためて、猫のストレスサインとして誤解されがちなのは、Aの「おもちゃでよく遊ぶようになる」です。

活動量の低下はストレスサイン


猫が強くストレスを感じている時は、活動性が低下します。

多くの場合、隠れている時間が増加したり、遊び行動が減ったり、飼い主さんや他の猫への愛着行動(グルーミングし合ったり、スリスリ顔周りをこすりつける行動)が減ります。食欲も低下することが多いですが、場合によっては食欲が逆に増加することもあります。
このように正常な行動が減少する一方で、ストレスによって普段見られないような異常行動が見られるようになることもあります。
例えば次のような行動は、猫がストレスを感じているサインでしょう。

・過剰なグルーミングによる脱毛
・ 異食症(布やゴム・プラスチックなど食べ物以外を食べる)
・ 不適切な場所での排尿
・ 過剰に鳴いて歩き回るようになる
こうしたストレスサインを発見した場合、まずは何がストレスの原因になっているかを考えてみる必要があります。

猫は繊細でストレスに弱い。飼い主にできることとは


猫の主なストレスの原因は、環境の変化(例:引っ越しや家族が増えた)、他の猫や飼い主との関係の悪化、室内環境が猫の飼育に適していない(例:爪研ぎがない、トイレが汚い)などが多くを占めます。
原因がわかったら可能な限りその原因を取り除くことが重要です。しかし、引っ越しや多頭飼育でなかなかそうもいかないケースでは、快適な環境下で徐々にストレスとなる刺激に触れさせ、だんだんと慣れてもらうような工夫が必要になります。
また、猫の本能を満たすような室内環境を作ることも非常に大切です。

部屋全体を見渡せるような高台(キャットタワーや棚など)、身を隠すことのできる隠れ家、お気に入りの爪研ぎやトイレを与えてあげましょう。
ストレスは猫の幸福度をさげるばかりか、感染症の発症や特発性膀胱炎、下痢や嘔吐、皮膚疾患など、様々な病気のリスクにもなります。猫は非常に繊細な動物です。
よく行動を観察して、愛猫にとってストレスフリーな暮らしを目指しましょう!
※本稿は『どっちが正しい? 幸せになるねこ暮らし』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

「猫」をもっと詳しく

「猫」のニュース

「猫」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ