「プロ野球選手の打ったボールが、私の顔に一直線。動揺して体が動かず『もうダメだ』と観念したとき...」(東京都・60代男性)

2022年3月2日(水)11時0分 Jタウンネット

もうダメだ、と観念しました——。

東京都在住のJタウンネット読者・Yさん(60代男性)から小学生のときに後楽園球場で体験した忘れられない思い出が編集部に寄せられた。

その日、大好きな読売ジャイアンツの試合を見るために父親と球場を訪れたYさん。

するとグラウンドでは選手たちが試合前の練習をしていた。

目の前で憧れの選手たちが練習をしているという夢のような光景。彼は上段の座席を離れ、フェンスの上に顔を出してその様子を眺めていたという。

そんなとき、打球練習のボールがYさんに向かってまっすぐ飛んできたという。

「あそこに○○選手がいる!向こうにいるのは××選手だ!」

それは今から50年ほど前の、私が小学生3〜4年生だったころの出来事です。

野球が大好きだった私は、父親に連れられて、東京の後楽園球場に野球観戦に来ていました。

後楽園球場は当時の私が大好きだった読売ジャイアンツのホームグラウンドです。

球場に到着すると、憧れの巨人の選手たちが試合前に練習をしていました。

私たちの観戦席はライトスタンドの上段でしたが、試合開始前だったので、私は一人でライトフェンスまで下りてフェンスの上に顔を出し、

「あそこに○○選手がいる!向こうにいるのは××選手だ!」

と、より近くから巨人の選手たちを眺めて興奮していました。

するとボールが物凄い速さでこちらに...

そんなときです。

打撃練習のボールが、右翼手の守備位置あたりでワンバウンドした後、物凄い速さで私に向かって飛んできたのです。

突然の出来事に私はすっかり動揺してしまい、体がすくんでしまいました。

「当たったら恥ずかしいな、痛いだろうな...」

そんなことを考えていた記憶があります。

ボールは私の顔をめがけてまっすぐ飛んできます。

「もうダメだ、ぶつかってしまう」

そう、観念したときでした。

見知らぬ男性が...

どこからか、男の人の大きな掌が私の顔の前に出てきて、飛んできたボールをしっかりと掴んだのです。

その大きな掌はボールを追いかけてきた巨人の選手に向かってボールを投げ返しました。

ボールが当たっていたら、私は大けがを負っていたことでしょう。私は危機一髪にところで助かりました。

この時、私は恐怖や恥ずかしさで動揺していて、助けてくれた男性にお礼も言わずに、その場を逃げ去るように自分の観覧席に帰ってしまいました。

子供の頃はそれほど気にならなかったのですが、年齢を重ね、父親となり子どもを持つ身となって、助けてもらったありがたさをひしひしと感じるようになりました。

見ず知らずの子供を助けてくれた恩人に対して、なぜあの時きちんとお礼が言えなかったのだろう。そんな思いが心に重くのしかかっています。

もう50年近くも前のことであり、ほんの一瞬の出来事でしたが、私を助けてくれたその男の人に対して、この場をお借りして、お礼を申し上げたいのです。

あの時は本当にありがとうございました。

お礼を述べることもせず、こそこそ逃げるようにあの場から立ち去ってしまい、申し訳ありませんでした。おかげさまで今も元気に生きております、と。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッターのダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度〜)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

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