「キャッシュレス派vs現金派」節約方法の違いが明らかに - Visa1.1万人調査
2025年3月2日(日)10時33分 マイナビニュース
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは2月27日、「キャッシュレス利用実態に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年12月16日〜12月19日、全国の15〜79歳の男女11,538人を対象にインターネットで行われた。
○エリア別キャッシュレス派の比率
調査結果を全国で見たとき、キャッシュレス派と現金派の比率は71%だった。特にキャッシュレス派の比率が高いのは、関東や近畿という大都市圏だった。このことから、都市部ではキャッシュレス決済のインフラが整っているので利便性も向上していることが背景にある可能性が考えられる。
一方で他地域と比較し現金派が多いのは四国で、キャッシュレス派の比率は66%と全国平均に比べて最も低い結果だった。「一部の地方においてはまだキャッシュレス決済の普及の潜在力があると推察される」と同調査。
○年代別キャッシュレス派の割合
年代別にみてみると、30代以上で7割を超え、特に60代以上では75%程度に上っている。このことから、キャッシュレス決済の利用が高齢者層にも広がっていることがわかる。性別では男性の方がよりキャッシュレス派の比率が高いという結果が出た。
○キャッシュレス派と現金派の節約意識
物価高が続く昨今、節約意識の高まりについて尋ねたところ、キャッシュレス派は現金派に比べて節約意識が高いことがわかった。具体的には、「とても高まっている」および「どちらかといえば高まっている」と回答した割合の合計が、キャッシュレス派では74%に上り、これは現金派の69%よりも5ポイント高い数値だった。
節約方法においてもキャッシュレス派と現金派では違いが浮き彫りになった。普段取り組んでいる節約方法として、キャッシュレス派は「ポイント還元や割引のある決済手段を使う」が5割越えでトップ。次いで「特売品/セール品を積極的に選ぶ」(41%)、「チラシやクーポンなど、買い物前にチェックする」(40%)など、買い物はしつつも、"お得な買い物/お得なお金の使い方"を重視している。
一方で現金派においては、「外食を控える」「自炊をする」などが上位に挙がり、"お金を使わないようにする"ことで節約に取り組んでいる様子が窺える。このように、キャッシュレス派はお得な情報やサービスを活用する一方、現金派は支出を減らす手段を選ぶ傾向がある。この違いは消費行動の心理的背景にも関連している可能性がある。キャッシュレス派は、テクノロジーの利便性を活用しつつ、積極的に情報を収集し、効率的にお金を使うことに価値を見出していると言えそうだ。一方で現金派は、実際に手元にあるお金を直接管理することで、目に見える形での節約を実感しやすいという心理的な安心感を求めているのかもしれない。
○ATM利用頻度
ATMから現金を引き出す頻度は、キャッシュレス派と現金派の両方で減少しており、現金派が19%に対し、キャッシュレス派はより頻度が下がって34%だった。とりわけキャッシュレス派の女性若年層で顕著で、女性20代の「低下・計」は45%に上り、年代は低くなるにつれ「とても減った」は高くなる傾向にあった。このことから、特に女性若年層においては、現金を引き出す必要性が低下していることが示唆される。彼女たちはキャッシュレス決済を積極的に利用し、現金を持ち歩く必要が少なくなっているため、ATMの利用頻度が大幅に減少していると考えられる。
減った理由として、キャッシュレス派は「現金を使う機会が減ったから」が62%と最も高く、次いで「クレジットカード/デビッドカードの利用が増えたから」(47%)が挙がった。現金を使う機会が減り、その分クレジットカード/デビットカ
ードにシフトしているのがうかがえる。一方で現金派では「現金を使う機会が減ったから」(41%)が最も高い点はキャッシュレス派同様だが、その次に高いのは「現金を持ち歩くことが減ったから」が30%だった。また、現金派の理由で、「現金を持ち歩くのが怖くなったから」も16%とキャッシュレス派よりも高く、現金の利用機会の低下以外に、防犯面での心理的不安もあり、持ち歩かなくなっている点も垣間見えた。
自由回答でも現金を引き出す頻度が減った理由として「犯罪の被害にあわないように」「物騒なニュースをよく聞く」と
いったコメントが散見された。これは、防犯意識の向上がキャッシュレス化を後押ししていることを示唆している。
○時短に対する意識や行動
時短に関する意識や行動について、キャッシュレス派と現金派で大きく差がみられたのは、「金融機関は対面店舗ではなく、ネットを利用している」で、キャッシュレス派が54% なのに対し、現金派は29%だった。特に男性40〜50代で差が顕著であり、キャッシュレス派の男性40~50代が6 割以上なのに対し、現金派の男性40〜50代は3割以下と倍以上の差がみられた。これは、キャッシュレス派がより効率的に時間を使うことを重視していることが窺える。
○「お会計時」における意識や行動
キャッシュレス派と現金派で、主な「お会計時」における意識や行動に大きな差はみられなかった。両者ともに7割以上が「会計に並んでいるときに支払う現金やアプリ画面を準備するようにしている」「買い物に出かける前に買うものを決めて、できるだけ時間を節約したい」と回答している。一方でキャッシュレス派は「無人レジ(セルフレジ)好んで使うようにしている」意識も高く、特に女性若年層で顕著だった。これにより、キャッシュレス派が技術の進化を積極的に受け入れ、効率的な買い物を追求していることが示唆される。