鎌田實×荻原博子 健康だけでなくお金にも負担を与える<メタボ>。荻原「60代女性の場合で年間10万円以上の差」鎌田「糖尿病になれば年間480万円の医療費が…」

2025年3月4日(火)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省が公表する「令和3年度 医療保険に関する基礎資料」によると、1人が生涯にかかる総医療費は約2800万円(自己負担は最大3割)だったそうです。お金の不安がなく、健康なシニアライフを送るにはどうすればよいのでしょうか?今回は<健康のプロ>医師・鎌田實さんと<お金のプロ>経済ジャーナリスト・荻原博子さんによる共著『お金が貯まる健康習慣』から一部を、お二人の対談形式でお届けします。

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皮下脂肪よりタチが悪い内臓脂肪


荻原 太ると腰やひざに負担がかかるというのは実感しましたが、メタボリックシンドロームになる危険性も高まるんですよね。

鎌田 そうです。メタボリックシンドロームって「内臓脂肪症候群」ともいわれるんですよ。脂肪は脂肪でも、内臓につく内臓脂肪が悪さをするの。

荻原 指でつまめるのが皮下脂肪、内臓についておなかがパーンと盛り上がるのが内臓脂肪、ですよね。

鎌田 そのとおり。内臓脂肪は、皮下脂肪よりもはるかにタチが悪いんです。ぼくが80キロにまで体重が増えたときも、内臓脂肪がすごかった。当時の写真を見ると、おなかまわりがはち切れんばかり。あれはかなり危険だったと思います。

女性も更年期以降は内臓脂肪が……


荻原 いわゆる「リンゴ型肥満」ですよね、男性に多い肥満のタイプ。女性の場合は皮下脂肪が多い「洋ナシ型肥満」で、内臓脂肪はつきにくいと聞きますが……。

鎌田 女性も更年期以降は内臓脂肪がつきやすくなりますから、要注意です。


『お金が貯まる健康習慣』(著:鎌田實、荻原博子/主婦の友社)

荻原 そうですか! やっぱり太ってはいけませんね。

鎌田 内臓脂肪が増えると、体にいろんな悪さをするんです。血液中のコレステロールや中性脂肪が増えて血液がドロドロになる「脂質異常症」や、糖尿病の原因になる「高血糖」、そして「高血圧」です。そのせいで心筋梗塞や脳梗塞、大動脈瘤(りゅう)、腎機能の低下などが起こりやすくなります。脂肪肝にもなります。脂肪肝は肝臓がんの原因になるんです。

メタボになると医療費負担は3万円アップ


荻原 メタボにならないことは、お金の面でもとても重要ですよね。たとえば厚生労働省の調査では、メタボの人はそうでない人に比べて医療費が余計にかかることがわかっています。60代の女性の場合、年間10万円以上の差が出るそうです。

鎌田 医療費が10万円以上増えるということは、健康保険が3割負担だとして、1人あたり年間3万円以上負担が増える計算になりますね。

荻原 年間3万円は大きいですよ。しかも高血糖から糖尿病になってしまうと、さらにお金がかかります。個人的にショックだったのは、体重が増えれば増えるほど糖尿病の合併症を併発しやすくなるということです。失明したり、人工透析になったりすると聞いてゾッとしました。

鎌田 糖尿病の合併症は怖いですよ。三大合併症っていわれているのが、神経障害、網膜症、腎症。血行障害になると末梢まで血流が行き渡らなくなって、脚が壊疽(えそ)してしまうこともあるんです。

荻原 ひどい場合には切断することになるんですよね。

自分の体重に敏感になる


鎌田 網膜症になると視力低下、白内障などを引き起こします。さらに怖いのは、腎症です。むくみなどがひどくなり、進行すると人工透析や腎移植が必要になる。人工透析になると、週3回、1カ月で約12回透析をすることになります。医療費としては年間480万円もかかる。

もちろん医療保険や高額療養費制度がありますから、個人の負担は年間40万円程度になりますが、死ぬまで払い続けなくちゃいけない。特定疾病療養費制度などによる軽減も行われていますが……。

荻原 しかも週3回は病院に行って、半日くらいかけて透析を受けなくちゃいけないわけですよね。お金だけでなく時間もかかる、やりたいこともできない。「今日も透析に行かなくちゃ」という強迫観念みたいなものもストレスになりそうです。

鎌田 だからね、やっぱり自分の体重には敏感になったほうがいい。

荻原 BMIが30以上になると、糖尿病の医療費が標準(BMI23)の人の2.5倍になるそうです。まずは自分の体重をちゃんとコントロールしなくちゃいけませんね。

※本稿は、『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

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