心不全の疑いがある人への新対処法「人工呼吸はすべきか」等

3月4日(金)7時0分 NEWSポストセブン

心不全の疑いがある人への対処法とは

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 日本人の死因第2位である心疾患。その中で死亡者数トップが、年間約7万人が亡くなる「心不全」だ。仕事のストレスや日頃の不摂生にも耐えて休まず動き続ける心臓が悲鳴を上げた時、どう対処すればいいのか。最新の対処法を紹介しよう。


●声をかけて無反応なら迷わず心臓マッサージ


 救急車が到着するまでの間で最も大切なことが、呼びかけても反応がない時や息をしていない時の対応だ。目黒通りハートクリニック院長の安田洋氏が語る。


「両乳首の中間あたりを目安に胸骨の上に両手を添えて体重をかけて心臓を抑え込みます。心臓から血液を送り出すことが最優先です」


 この時、「肋骨が折れるくらいやらないと意味がない」(同前)。肋骨は折れても時間が経てば治るし、折れて死に至るケースは少ない。しかし心臓が止まってしまうと、脳が重大なダメージを受けてしまうほか、救命も絶望的となる。どちらを優先するかは明白だ。


 胸が5cm沈む程度の力で1秒間に2回程度、1分間に100〜120回押すのが目安。ポイントは「強く、早く」。相当ハードであるため、前述した協力者がいるかどうかは大きな差となる。リズムを数えてもらう、疲れたら交代するなど、協力して行なうことが大切だ。


●人工呼吸はしなくていい


 かつて自動車教習所などで「心臓マッサージは人工呼吸とセットだ」と習った人が多いだろう。だが最近は、やり方が変わってきている。国家公務員共済組合連合会立川病院の三田村秀雄院長の話。


「心理的抵抗感も大きいでしょうし、人工呼吸する際に心臓マッサージを中断するリスクの方が高い。窒息などの場合は別ですが、心筋梗塞で心停止に陥った場合、しばらくは全身の血液に酸素が残っている。それを体内に巡らせることが何より大事です」


●AEDを使用する


 AED(自動体外式除細動器)は、心停止の際に機械が自動的に解析を行ない、必要に応じて電気的なショック(除細動)を与える医療機器だ。


 急性心筋梗塞の初期症状は、心臓の筋肉が痙攣して血液を送れない「心室細動」が多い。AEDを使うと、機械が判断してこの心臓の細動を取り除く。その後は速やかに心臓マッサージ(必要に応じて人工呼吸)を行ない、心臓の拍動が戻るよう試みる。


 現在、AEDは学校や主要駅など全国で約53万台(2013年末時点)設置されている。2014年の統計によれば、心停止にAEDを使用したことで約4割の命が助かっている。


「電源を入れて音声ガイドに従うだけ。電極の貼り方は電極パッドなどに描かれたイラスト通りに貼る。電気ショックの必要性は心電図を読み取ったAEDが自動的に判断するので躊躇わず使用してほしい」(東京防災救急協会)


 ちなみに「電気ショックは不要です」とのアナウンスが流れても、「心室細動」がないだけで、「心臓が動いている」ということではないので要注意。その場合も同じく心臓マッサージをし、救急隊員の到着を待つ。


●意識があれば座らせて体を起こす


 患者に意識がある場合は、少し対処が異なる。心臓の機能が低下していると血液が肺に滞り苦しくなるので、患者の上半身をそっと起こして肺に溜まった血液を下方向へ向かわせる。そうすることで呼吸困難を和らげることができる。


※週刊ポスト2016年3月11日号

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