信濃町の地下に広がる昭和空間「味のプロムナード」で明太子スパゲッティに出会う

2025年3月4日(火)10時49分 食楽web


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 総武線・信濃町駅。駅を出てすぐの歩道橋は、新海誠監督の映画『君の名は。』で描かれた場所。今でも聖地巡りを楽しむ人の姿を見かけることがあります。

 著者も例外に漏れず「巡礼」に訪れたのですが、お目当ては、こちらの地下街。


地下に繋がる飲食街「味のプロムナード」

「味のプロムナード」という名の飲食街は、今も昔もその看板が独特の雰囲気を放っています。レトロなデザインをそのままに、地下へ続く薄暗い階段は興味こそそそられますが、妙な入りづらさがありました。

 大学時代の著者もこの階段の前で何度も立ち止まった思い出があります。その当時は、周囲で働くビジネスマンやご年配の方々が、次々と階段を降りていく。その姿を見て、「この先には、きっと知る人ぞ知る美味が待っているに違いない」と思いを馳せたものです。

 時は流れ。人並みに社会を経験し、大人の階段を上るうち、まぁたまには下るのも悪くなかろうと思うわけです。「よし、今日こそは」と意気込み、階段を一段ずつ下るたびに、人の声が響き、良い香りもどんどん強くなっていく。薄暗い地下空間とは裏腹に予想以上に活気に満ちた空間でした。

 しかしながら、当時は一部のカレーマニアに狂信的な人気を誇った『カレーの店JUNE』や、中華料理の『じゃじゃ丸亭』など隠れた名店が揃っていましたが今は閉店してしまった店も多く、かつての賑わいとは少し異なっていた印象を受けました。


本日の特別メニューと書いているので、もう二度と出会えないかもしれない?

 これも致し方なしと思えど、やはり一抹の寂しさはあります。さてどうしたものかと思っていると、手打ちそばの店『手打そば 酒処 さわや』の看板に、「明太子スパゲッティ」の張り紙を発見。

 蕎麦屋の明太子スパゲッティを衝撃的に思いながら、店の前で様子をうかがっていると、店員さんが申し訳なさそうに、「今日は、明太子スパゲッティしかできないのですが……」と。

 どうやら、手打ちそばを作るご店主が休みのためこの日は代替メニューだったとか。まさかここでパスタを食べることになるとは。やっぱり「味のプロムナード」、いい。さっきまでのセンチメンタルな気持ちなんかすぐに吹っ飛びました。


「さわや特製明太子パスタセット」1100円

 お茶を飲みながら、ほどなくして目の前に現れたのは、たっぷりの明太子が絡んだスパゲッティ。バターの甘みがしっかりと効いて、明太子の塩気が絶妙に絡みます。麺はもちもちで、どこか懐かしい家庭的な味わいです。


明太子とバターのソースをよーく絡ませて


温かいコンソメスープが沁みる〜

 そして面白いのが、そば猪口に注がれたコンソメスープ。こういう小粋な工夫がたまらないですね。店主が復活したらもう食べられないであろう奇跡の一皿、出会えたことに感謝です。(亀井亜衣子)

●SHOP INFO
手打そば 酒処 さわや
住:東京都新宿区信濃町34 トーシン信濃町駅前ビル B1F
TEL:03-5919-1176
営:11:30〜14:00、18:00〜22:30
休:日曜

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