『スプリット・フィクション』を先行プレイ、『It Takes Two』スタジオの協力プレイ最新作

2025年3月5日(水)1時0分 マイナビニュース


Hazelight Studiosが開発し、Electronic Artsが3月7日に発売を予定する『スプリット・フィクション』。同スタジオといえばThe Game Awards 2021において「Game of The Year」「Best Family」「Best Multiplayer」の3部門を受賞したことで著名な『It Takes Two』を開発したスタジオで、ようやく待望の次期タイトルが投入されることになります。
今回Electronic Artsから先行プレイへのアクセス権提供を受け、発売に先駆けてリリース前の最終バージョンを友人とプレイすることができました。そこでこの記事では、核心的なネタバレに大いに配慮してゲームの概要を紹介しつつ、『It Takes Two』もプレイした筆者のインプレッションについて簡単に触れようと思います。
忙しい方向けにまとめておくと、個人的には前作である『It Takes Two』の圧倒的な完成度が引き上げたハードルはあまりに高すぎたかな……とは感じさせられながらも、十分楽しめる作品にはしっかり仕上がっているように思いました。
○出版社に存在する謎の機械。主人公はSF / ファンタジー作家の2人
今作も画面を2つに分割した協力プレイ専用タイトルで、テレビの前で2人プレイを楽しむもよし、離れた友人とオンライン経由で楽しむもよし。Friends Pass機能を用いれば、ゲーム本体を1つだけ購入することでゲームを所有していない友人とも一緒にプレイできます。PlayStation、Xbox、PC(Steam)でのクロスプレイを完全にサポートしている点も特徴で、ハードやプラットフォームを問わず協力プレイに臨めるようになっています。
この画面分割システムこそ、『It Takes Two』や『スプリット・フィクション』に通底する協力プレイ要素のかなめ。道中プレイヤー2人で協力する必要のあるギミックが多数登場するため、進行には2人の息を合わせて取り組んでいく必要があります。ちなみにゲーム内に通話システムは備わらないので、Discordなど別途話しながらプレイできる環境があった方がスムーズです。
今作では前作の夫婦に代わって、アマチュアのSF作家であるミオと、同じくアマチュアのファンタジー作家であるゾーイが主人公を務めます。ある日、ミオとゾーイは大手出版社の招待を受けてとある大部屋に集められました。そこには大きな機械が据え付けられており、創作者からイマジネーションを読み取って思い通りの世界を仮想空間に投影できるとのこと。「この機械をテストするために、今回君たちを呼んだのだ」といきなり説明され、乗り込むようにけしかけられます。
しかし、出版契約のためだと言われてきたのに専用スーツを着せられた上、怪しげな機械に繋がれることになったミオは土壇場で拒否。乗れ、嫌だの揉み合いを繰り広げたところ、隣のゾーイのカプセルにミオも混入してしまいました。これによって2人がそれぞれ得意とするSFとファンタジーが仮想世界で混ざりあい、脱出を目指して協力していく───というイントロになっています。
○プレイしてみた筆者のだいぶ“ふわっとした”感想
今回の先行プレイにあたっては複数あるチャプターの内、限られた2マップのみへの言及が許可されているほか、具体的な内容や登場人物のバックグラウンド、シナリオについては紹介しないよう案内を受けています。しかもこの2マップで明らかにされる内容こそ物語の核心に迫っており、何を紹介すればいいのかはかなり言葉を選ぶ必要がありそう。
あまり関係なさそうなところから攻めるとすれば、最新Unreal Engineで制作されたゲームのグラフィックには目を見張るものがありました。SF編のステージでは金属の光沢感から摩天楼を行く臨場感、光源の表現まで前作からかなり進歩した印象を受け、臨場感を高めてくれます。
また、ファンタジー編のワールドもかなりのもの。土や植生、森の中の雰囲気がこれでもかと濃密に描写されていて、無機質なSF編とのコントラストが鮮烈。たびたび出てくる水の表現もさすが最新ゲームだと感じられるもので、筆者はPCでプレイしましたが、大型テレビなどでのプレイではさらに没入感を高めることができそうだと思いました。
肝心の協力プレイ要素も、『It Takes Two』をほぼ踏襲している印象でとても楽しめました。アクション要素は良く言えば一般的、悪く言えばやや没個性ですが、どれも操作に難しい固有の知識は必要なく、親子やカップルでのプレイもスムーズに行えそう。ギミックはあまり難しくなく、アクセシビリティ設定にある被ダメージ軽減機能も組み合わせることで、幅広いプレイヤーがサクサク進めていけるはず。疾走感との緩急もついており、ダレることなく楽しめました。前作にはあまりなかった戦闘をメインに据えたステージがたくさんあり、個人的には嬉しかったです。
ただしゲーム中、だいぶ不愉快な表現がいくつか見られた点が個人的にはかなり大きなマイナス評価。処刑器具で殺される人に似た動物、爬虫類の部位欠損による大量出血、集合体恐怖症、不衛生な環境、脚が多い節足動物が動く様子がプレイ中に存在しており、協力プレイを楽しむ間柄によっては不適切なシーンも含まれていたように思います。前作がやさしい作品だったことを受けて表現の幅を広げたい意図があったのかもしれませんが、正直なところ不愉快さの方が強く、あまり必要性を感じられませんでした。
シナリオ面、ストーリーテリングに関してネタバレを極力排して表現すると、細かいことを気にしなければ十分楽しめる出来だったと思います。SF・ファンタジーの対比によってわかりやすさが担保されており、クライマックスの振り切り方も個人的にはかなり好き。あそこで日和らず全力で風呂敷を広げ、そして力強く畳もうとした姿勢はだいぶ評価できます。
ただ、細かいことを気にすると主人公2人のバックグラウンドには何となく後付け感がありました。意識を読み取って構成したはずの仮想空間と2人のストーリーの間に関係性が希薄で、唐突に現実世界の話が持ち出されるシーンには多少違和感もあります。せっかく主人公2人以外にも機械につながれた参加者がいたので、何かの拍子に絡めてくれてもいいかなと思いました。
総評すると、前作『It Takes Two』が打ち立てた栄光はすこし偉大過ぎて、胸を借りるにはやや相手が悪かった、というところでしょうか。あのゲームオブザイヤーは伊達ではなく、今作は主にストーリーテリングの面では明らかに差があるように思います。やるならあえて『スプリット・フィクション』からプレイしなくても、いったんセール等で入手しやすい前作に触れてみてもいいかも。もちろん内容的にはなにも関係ないので、『スプリット・フィクション』からプレイしても全く問題ありません。
『スプリット・フィクション』は、PlayStation、Xbox、PC(Steam)で3月7日から発売予定。Steam Deckでの認証も受けており、快適なプレイを行えることが確認されています。

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