東京で死ぬまでに一度は食べたい至極の「たい焼き」。人形町の老舗『柳屋』のあんこがスゴすぎるワケ

2023年3月5日(日)10時51分 食楽web


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●『浪花家総本店』(麻布十番)、 『わかば』(四谷)と並んで東京三大たい焼きのひとつと称されている『柳屋』のたい焼きの魅力をご紹介!

 人形町駅から歩いてすぐの「甘酒横丁」といえば、食べ歩きにぴったりのグルメストリートとして知られています。通りに入ると、ほのかに甘〜い匂いが……。もうそれだけワクワクしてきますが、ここをふらふらと歩いていくと見えてくるのが創業1916(大正5)年の老舗たいやき専門店『柳屋』さん。

『浪花家総本店』(麻布十番)、 『わかば』(四谷)と並んで東京三大たい焼きのひとつと称される名店中の名店であり、まさに一生に一度は食べておきたい名物がこちらのたい焼きなのです。

 店頭では職人さんがたい焼きを焼いており、そこへお客さんが吸い寄せられるようにどんどん入っていきます。店内に並ぶシステムで、平日・休日問わず行列を作っている大人気店です。


創業者であるおじいさんは長野の豪農出身。大名が泊まる本陣だったそうで「柳屋」はその屋号にちなんで名付けられたという

 ちなみに、たい焼きには俗に「養殖もの」と「天然もの」があるのをご存知でしょうか? 養殖ものは一度に複数個をまとめて焼くタイプで、天然ものは1つずつ金型で焼くタイプ。柳屋のたい焼きはもちろん天然もの。

 3代目・竹内彰一さんによると創業以来ずっとこのスタイルを守り続けてきたそうです。「金型は鉄製の特注品です。焼く時間は3分ちょっとかな。途中1回しかひっくり返しません。強い火力でパリッと焼き上げています」と竹内さん。

 聞けば、創業者にあたる3代目のおじいさんはもともと長野県の人で、兄弟が多かったこともあって1人で上京し、最初に製あん所に勤めたそうです。

「そこで『あんこを生かしたお菓子を作りたい』と考えた祖父が、このたい焼き屋を始めたんです。当時はこのあたりにも何軒もたい焼き屋があったと聞いています」(竹内さん)

“天然もの”のたい焼きは薄皮にたっぷりのあんこ。感動的な旨さ


薄皮の中に十勝産小豆のあんがぎっしり詰まった逸品

 淡いきつね色に焼き上がった、柳屋の「高級鯛焼」(180円)。いい顔してるじゃないですか! それでは実食です!

 皮はパリッパリの薄めタイプです。焼きたてを割るとホカホカの湯気がモワッ〜と立ち上り、中からどっさり入ったつぶあんがあふれてきます。


ぎっしりすぎるつぶあんがとろーり。幸せの瞬間!

「小豆は十勝産。その日の朝作ったばかりの熱いあんこを使っています」と竹内さん。アツアツをほおばると、皮はパリッとしながらもモッチリ感もあります。あんこは頭のてっぺんからしっぽの先までたっぷり。


本当にしっぽまであんこが入っているので、どこから食べてもおいしい!

 創業者が製あん所出身というだけあり、このあんこが本当に素晴らしい。甘すぎず小豆の風味がしっかりと感じられる洗練された味わい。

 この上品なあんこを薄皮がうまくアシストし、また逆に小豆の味わいが香ばしい皮を引き立ててもいます。もう両方主役と言ってよいほど最高の相性です! 1つで充分な食べごたえがありますが、あんこが甘すぎないせいか、どんどん食べたくなっちゃう。


こ、こんなに山盛りあんこを入れてる!

 1つから購入できますが、6個、10個、12個〜の場合、おみやげ用の箱入りにもしてもらえます(別途箱代が必要)。実際、おみやげ用とは別に、自分自身の食べ歩き用に1〜2個買っていくお客さんがたくさんいました。


「自慢の餡」「高級鯛焼」の看板に偽りなし! リピートせずにいられないあんこです

 ちなみに、店内の札には「高級鯛焼」と書いてあるのですが、これは砂糖が不足した戦時中に「たい焼きが砂糖をたっぷり使った高級お菓子」であることをアピールした名残りだそうです。

 たくさん買って食べきれない場合は、翌日まではそのまま冷蔵保存でも大丈夫ですが、それ以上保存する場合は1つずつラップでくるんで冷凍庫へ。いただく時は電子レンジで20秒ほど温めて、そのあとトースターで皮をパリッとさせるのがオススメだそうです。でも、もちろんやはり焼きたてに勝るものはありません! できるだけ早くいただきましょう。

アイス最中も小豆の風味がしっかり楽しめる逸品


たい焼きとアイス最中、どちらも別腹でいけちゃいます(笑)。ドライアイスはないのでご注意を

 忘れてはならない、柳屋のもう一つの名物は、アイス最中(180円)。3代目が子どもの頃から販売されているというロングセラー。バニラと小倉があり、季節を問わず1年中販売されています。

 もちろん小倉はたい焼きと同じ自家製あんこを使用。こちらもたい焼き同様、すぐにかぶりつきたいところですが、カチカチよりも少し柔らかくなってからのほうが小豆の風味を堪能できるので、冬場は急がずにじっくり待つことをおすすめします。

「目が届かなくなるから」と支店を持たず、味も変わり種は作らず小豆一筋の老舗・柳屋さん。かつては住み込みで働く職人さんが大勢いて、周辺の料亭や証券会社からの大口注文がたくさんあったそうです。

「いま、焼いている職人は5人。1日多くて1500個くらい出るかな。変わらないこの味を、これからも守り続けていきたいですね」(竹内さん)

 完璧なるたい焼き。この味、この文化、いつまでも守り続けていってほしいものです。そしてまだ未体験の方は、天然物のたい焼きのおいしさをぜひご賞味あれ。

(取材・文◎松みのり)

●SHOP INFO

店名:柳屋

住:東京都中央区日本橋人形町2-11-3
TEL:03-3666-9901
営:12:30〜18:30
休:日・月

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