ブラックホールは宇宙人のパソコンだった!? 先進的な地球外知的生命体を発見へ

2023年3月4日(土)11時30分 tocana

 我々よりはるかに進んだ文明を持つエイリアンはいったいどんなコンピュータを使っているのだろうか。最新の研究によるとエイリアンはブラックホールを量子コンピュータとして活用しているというのだ——。


人工ブラックホールは量子コンピュータ!?

 この広い宇宙の中で私たちは現実に存在しているが、兄弟ともいえる地球外生命体がいる気配が今のところいっさいないのはなぜなのか。


 文明のレベルが違い過ぎて私たちには地球外文明の痕跡を認識できないのだとする説もあるのだが、そうだとすれば考えられる得る限りの高度な先進技術を想定し、それを探してみればエイリアンの手がかりが見つかるのだろうか。


 たとえば先進文明なら「自己複製ドローン」や「ダイソン球」という文明の利器を活用しているとの説もあり、それらを探すことで地球外先進文明の痕跡である“テクノシグネチャ”が見つかるともいわれているが、今のところはまだ発見できていないようだ。


(自己複製ドローンについての過去記事)
・もうすぐ超高度な宇宙人が作った「自己複製宇宙機」を発見できる!? 中国の電波望遠鏡「FAST」に科学者が期待


(ダイソン球についての過去記事)
・宇宙人の巨大建造物「ダイソン球」かもしれない64の天体が存在する! 科学者「地球からも観測可能、すぐに調査を」


 最新の研究によれば先進文明のテクノシグネチャを探すには、そのような大掛かりな利器に着目するのではなく、彼らがどのようなコンピュータを使っているのかを検証してみるべきであるという。そして地球外先進文明のエイリアンはブラックホールを量子コンピュータとして活用しているはずであるというのだ。


 ドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学とトビリシ自由大学の研究チームが2023年1月に「arXiv」で発表した研究では、ブラックホールは量子情報の最も効率的なコンデンサであり、したがって十分に進歩したすべての文明は、ブラックホールを量子コンピュータとして活用していることが予期できると報告している。


 地球外生命の発見を目的として1985年に米カリフォルニア州マウンテンビューに設立された「SETI協会」だが、発足から40年近くが経とうというのにいまだに大きな成果はあげられていない。


(SETIについての過去記事)
・地球外知的生命体の発見は近い? 宇宙人探査プロジェクトSETIが従来の1000倍規模に!


 SETIプロジェクトの大部分は電波望遠鏡を駆使した宇宙空間でのテクノシグネチャを疑われる異常な電波を検出することに主眼が置かれているのだが、研究チームをはじめ多くの研究者にとって、この限定されたSETIの方法論がこれまでテクノシグネチャを見つけることができなかった主な理由の1つであると指摘している。もっと幅広い見地からテクノシグネチャを探索しなければならないというのだ。


 そこで研究チームが提案したのは、地球外先進文明が活用しているはずの量子コンピュータを探すことである。そしてその量子コンピュータは人工的なブラックホールであるというのだ。



「ホーキング放射」は検出可能

 今日の我々の文明の量子コンピューティングの進歩の速さを考えると、高度な文明がこの技術をより大きな規模で適応させていると考えるのは完全に論理的であると研究チームは説明する。そして量子情報を最も効率的に保存できるのはブラックホールであることが示されているという。


 したがって先進文明のエイリアンは量子コンピュータとして利用するために小型のブラックホールを作り上げているというのである。この小さなマイクロブラックホールは、自然に発生するものよりも高エネルギーになるということだ。


 ではどうやってエイリアンが量子コンピュータとして使っているブラックホールを見つければよいのだろうか。


 故スティーヴン・ホーキング博士が説明した「ホーキング放射」は、相対論的量子効果によりブラックホールの「事象の地平線」のすぐ外側で放出されていることが理論化されている。ホーキング放射はブラックホールの質量と回転エネルギーを減少させ、最終的にブラックホールは質量を失い蒸発すると考えられている。


 そして研究チームによればホーキング放射で放出されている粒子は、今の我々の技術水準で検出が可能であるという。南極にある「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」でテクノシグネチャとしてのホーキング放射を観測することが期待できるというのだ。


 地球外文明が存在する可能性は高いのに、そのような文明の手がかりが皆無であるという矛盾は「フェルミのパラドックス」として知られているが、SETIをはじめ我々はこれまで間違ったテクノシグネチャを探していたのかもしれず、探すべきは人工ブラックホールのホーキング放射によって生成された高エネルギーのニュートリノやその他の粒子であるということだ。


(フェルミのパラドックスについての過去記事)
・「宇宙人は宇宙の温度が下がるまで冬眠している」オックスフォード大が提唱! “フェルミのパラドックス理論”遂に解決か?


 量子コンピュータとして機能しているブラックホールを宇宙の中から見つけ出すのがどれくらい先の話になるのかわからないが、その傍らで実用的な量子コンピュータの開発を着々と進めていかねばならないのは言うまでもない。ひょっとすると量子コンピュータこそが、先進地球外文明とのコミュニケーションツールなのかもしれない。



参考:「Science Alert」ほか

tocana

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