米国では症状のない人が健康診断を受けるのはほとんど無意味

3月8日(水)7時0分 NEWSポストセブン

鎌田實氏が健康診断について語る

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 諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師によれば、2010年頃から、アメリカの50の学会が賛同、「Choosing Wisely」(賢明な検査や治療法を選ぼう)という運動が始まったのだという。意味のない検査やエビデンスの薄い不要な治療はしないこの運動は日本にも伝わり、Choosing Wisely Japanが立ち上がっている。この運動は、具体的にどんな活動をしているのか、鎌田医師が解説する。


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 アメリカのChoosing Wiselyは、週刊ポストの読者の関心が高そうな指摘もしている。「テストステロン値が正常な男性のED治療に、テストステロンを使用しても、性欲は上がるが勃起力は上がらない」


 テストステロンの投与が男性更年期治療として保険適用されているが、テストステロンという男性ホルモンが減少している時のみ治療の意味があるということだ。


 これはほんの一例にすぎず、日本にはまだまだ無意味な検査、的外れな治療が行なわれているのではないか。そんな疑問と、検査とのあるべき向き合い方を知ってほしくて、先月末『検査なんか嫌いだ』(集英社)を出した。


 過剰な検査は要らないという運動の一方で、遺伝子検査などで病気を見つけようという流れはますます進んでいく。これはゆっくり慎重にしたほうがいい。すい臓がんを早期発見するマイクロRNA検査の臨床研究が始まった。


 そうした最新の検査が、「エビデンスが高く」「コストが安く」「痛くない」という三拍子がそろうまでは、まだ時間がかかるだろうが、この流れは止められない。


 検査嫌いのぼくではあるが、「検査も使い方によっては有効」と思うこともある。


 たとえば、アメリカでは「症状のない人が健康診断を受けるのはほとんど無意味」としている。日本のメタボ健診の受診率は48.6%。4項目すべて健康な人は17%しかいない。ちょいメタボのBMI27くらいの人は本当は健康で長生きの人が多いというデータがあるのだが、この人たちも健診で引っかけてしまっている可能性がある。メタボ健診には、改善すべき点があるのだ。


 しかし、健康診断は「意味がない」とは言い切れない。健診のデータをもとに生活習慣の行動変容を起こさせることができるならば、健診は大事だ。検査はやっただけでは意味がない。そのデータを活用するかどうかが大事なのだ。アメリカの医師は長野県の健康づくり運動なんて知らないのだろう。


 検査は上手に生かせば役に立つ。だけど痛い検査はやっぱり嫌いだ。


●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。最新刊は『検査なんか嫌いだ』(集英社)。


※週刊ポスト2017年3月17日号

NEWSポストセブン

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