厚労省が公表 「高齢者が注意すべき薬」が警告するリスク

3月9日(金)11時0分 NEWSポストセブン

あの薬にもリスクが…

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 厚生労働省の「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ」がまとめた指針案では、「高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点」と題して、注意を要する薬剤39種とその副作用などが示された。この情報をどのように活用すべきなのか。ワーキンググループ構成員の、たかせクリニック理事長の高瀬義昌氏が説明する。


「高齢者に広く使われている薬について、“この部分は注意しましょう”という見解をまとめました。これまで老年医学会が同様の試みをしたことがありますが、今回は厚労省主導で様々な学会を横断的に見て作成した。薬の評価は学会ごとに見解が異なるためとりまとめは難しいのですが、今回はそこに踏み込んだ内容になっています」


 高瀬氏は公表されたリストはあくまで薬剤についての留意点であり、「服用を中止すべき薬」ではないとする。


 ただ、高齢者ほど慎重に薬を服用すべきであることは間違いない。薬剤師の堀美智子氏は「今回のリストを参考にして、一人ひとりが薬の知識を高めることが肝心」としている。


◆認知機能の悪化・せん妄のリスク


 催眠鎮静薬・抗不安薬について、堀氏が解説する。


「ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬・抗不安薬には転倒や骨折のリスクが指摘されているのは筋弛緩作用があるからです。さらに認知機能の悪化などのリスクもあり、高齢者には非ベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬の方を優先して使った方がいいとされています。ただ、睡眠作用が転倒につながるリスクもあるので、服用した後の体の変化を医師に伝えるなど、その量については慎重な相談が必要です」


◆若い頃とは違う


 高血圧治療薬(降圧剤)で、堀氏が注意を促すのは、サイアザイド系利尿薬だ。


「尿を増やし体内の塩分を排出することで血圧を下げる。高齢の服用者が多いのですが、脱水が問題となります。長期間続けて服用する場合は尿と一緒にカルシウムを体外に排出して骨が弱くなるため、転倒リスクのある高齢者は慎重な判断が必要です」(堀氏)


 糖尿病治療薬についても、複数の種類の薬剤がリストに掲載されている。


「全てにおいて低血糖の注意が必要です。SGLT2阻害薬は比較的新しい薬ですが、糖分を尿と一緒に排出する際、尿量が増えすぎて脱水症状が起きることがある。体内の水分が減少すると、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなる」(同前)


 リストの薬剤には、すでに添付文書で高齢者への慎重な投与を求める記載があるものも多く、製薬会社側は「今回の発表を受けてのコメントは控える」(催眠鎮静薬「マイスリー」などの販売元であるアステラス製薬広報部)といった反応だが、患者に見えるかたちでリスト化された意味は小さくない。前出・高瀬氏はこう話す。


「高齢者は消化器をはじめ臓器の機能が少しずつ衰える中、若い頃とは違った薬の処方が必要になる。注意すべき点は一人ひとりの健康状態によって変わってくるので、年齢を重ねた人ほど医師と相談して、適切な服用を心がけてもらいたい」


※週刊ポスト2018年3月16日号

NEWSポストセブン

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