被災地・気仙沼市から沖縄に流れ着いた杭が話題に 東日本大震災から9年かけて約2300キロ【#あれから10年】
2021年3月11日(木)17時29分 Jタウンネット
2021月3月9日、次のような写真が付けられたツイートが投稿され、大きな話題となっている。
すげぇ!!
— あず (@GTR35_TRED) March 9, 2021
写真には、1本の杭が立っている。その上には、こんな案内が......。
「東日本大震災から9年かけて西表島に流れ着いた杭です」
ツイッターユーザーの「あず」(@GTR35_TRED)さんが投稿したこのツイートには、6万3000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散している(3月11日午後5時現在)。
「西表島」は沖縄県の沖縄本島から南西約440キロにある島だ。そこから直線距離で約2300キロ離れた宮城県気仙沼市から流れ着いたということのようだ。気仙沼市は10年前の東日本大震災で、高いところで20メートルの津波の直撃を受けた。
ツイッターには、こんな声が寄せられている。
「なんだろう。なんて言っていいか分からないけど 涙が出てくる...」「誰かしらが9年間の長旅お疲れ様って言いそう」「気仙沼で失くなったと思って新たに立てたのなら、これはくいが残りますね...」「すごいな」「悔いのないように保存していただきたい」「北太平洋の海流は時計回りに流れているので、東北→北米西海岸→赤道付近に南下→西進→沖縄へと、北太平洋を一周して日本へ戻ってきたのでしょう。やはり漂流物も、故郷の日本へ帰ってきたかったのでしょうね」「太平洋一周か」
Jタウンネット記者はまず、投稿者の「あず」さんに話を聞いた。
マンタの浜、ガジュマルの木の前に
投稿者「あず」さんによると、撮影したのは2021年3月9日。場所は、西表島の東岸に隣接する由布島(ゆぶじま)だ。由布島は、周囲2キロの小島で、島全体が「亜熱帯植物楽園」と呼ばれる植物園になっている。
「由布島のどのあたりか、はっきりとは覚えていませんが、カフェの近くだったと思います」と、「あず」さん。
この杭はいったいどのような経緯で立てられたのか? Jタウンネット記者は、「亜熱帯植物楽園由布島」に電話取材した。
電話で答えたのは、代表の西表晋作さんだった。
「昨(2020)年の10月頃でしたか、当植物園スタッフが西表島に流れ着いた杭を持ってきて、園内に立てていいですかと聞くので、良いよと答えたら、あっという間に立ててしまいました。場所は、由布茶屋という飲食店の近くで、マンタの浜と呼ばれているところです」
「亜熱帯植物楽園由布島」は21年3月上旬まで休業していたが、ようやく2カ月ぶりに再開した。関西方面からの観光客が多く、西表島の周遊コースに入っているという。
気仙沼市の杭がどのようなルートで西表島に辿り着いたかは、謎のままだ。沖縄県八重山諸島の由布島で、東日本大震災の津波の威力を思い知る。そんな旅も興味深い。