バイトの「人手不足」の救世主!? スキマバイトの実態を調査結果から学ぶ

2025年3月12日(水)9時29分 マイナビニュース


大手企業が参入しないスキマ市場とかデットスペースを活用するスキマ収納とか、「スキマ」に注目すると新しい価値が見えてくるものだと感じていたが、最近はスキマ時間にアルバイトまでできてしまうという。
いわゆる「スキマバイト」に筆者も興味を持っているが、まだ経験がない。周りでも体験談を聞いたことがないので、スキマバイトの実態はどうなのだろう、課題などはないのだろうかと少しモヤモヤしていた。
そこで「データで読み解くスキマバイト」というテーマで勉強会が開催されると知り、参加してみた。
スキマバイト需要は右肩上がり
「スキマバイト」に関する勉強会を開いたのは、パーソルグループ。
パーソル総合研究所の研究員・小林祐児氏と中俣良太氏が「潜在人口1,431万人。新たなはたらき方のポテンシャルと複雑化するマネジメントの課題」について調査結果を分析しながら解説した。
まず今回の勉強会では「スキマバイト」とは、数時間もしくは一日単位の単発で働いて、直接雇用で収入を得る仕事と定義している。
中俣氏は「スキマバイトの需要は最近かなり伸びてきているという印象です」と、スキマバイトアプリの登録者が2019年末には330万人だったが、直近では2,800万人に増えており、右肩上がりの傾向が続いていることを示した。
ただし、一人が複数のスキマバイトアプリに登録している場合もあるため、正確な絶対数は把握できていないという。
それにしても、スキマバイトの登録者数が増えているのは確かなようだ。
スキマバイト市場が伸びている背景を中俣氏は「大きく4つの要因があると考えています。1つ目は、副業・兼業を解禁する企業の増加。2つ目は、2019年から労働条件の明示がメールもしくはSNSでも可能になったこと。3つ目は、コロナ禍以降に多様化し続けている働き方。さらに4つ目として慢性的かつ深刻化する労働力不足です」と説明する。
とくに4つ目の労働力不足については、今後も続いていくと予想されていることからスキマバイト需要が伸びる流れは続くと考えているそうだ。
スキマバイト経験は就活にも役立つ!?
実際には、どれくらいの人がスキマバイトを経験しているのだろう。
直近3年以内にスキマバイトを経験した人は15〜69歳全国男女のうち6.5%。
その8割以上は、直近1年以内に経験している。確かに、登録者数が伸びているという傾向とリンクしている。
さらに、どのような人がスキマバイトを経験しているのかについても調査している。
年代別には、男女ともに20代の経験率が高く、社会人より学生が多いことがわかる。
特に注目したいのは、学生のうち就職活動前後にスキマバイトを経験している人の割合が高いことだ。
「学生は、レギュラーバイトと掛け持ちでスキマバイトも行っている人が多いです。レギュラーで安定した収入を得つつ、すぐにお金が欲しいときはスキマバイトを行っているようです。好きな時間に効率良く働けるのがスキマバイトの魅力ですが、いろいろな仕事体験によって就職活動のアピール力が高まったと実感している学生も4割ほどいます」(中俣氏)
スキマバイトによってさまざまな仕事を経験したいという意向は、本業のある社会人や再就業希望者でも高まっている。
学生から社会人まで幅広い年代で、柔軟に働きながら仕事の経験値を上げたいという意向がスキマバイトの動機やモチベーションにつながっているようだ。
スキマバイト人材を使いこなすには?
手軽な働き方として今後さらに需要が高まると予想されているスキマバイトだが、現時点での課題はないのだろうか。
小林氏は「スキマバイトの困りごととして、バイト経験者からは従業員の仕事の教え方がわかりにくい、マニュアルがない、職場の従業員の態度が冷たいなどが挙げられています。また管理者側では、仕事を教えるのが大変、人物像やスキルが事前にわかりにくい、業務範囲が限定的、シフト調整が難しいなどが課題となっています」と明かす。
確かに管理者層からの調査結果でも、レギュラーバイト人材の方がスキマバイト人材より優秀だと捉える割合が多くなっている。
一方、人材の確保においてはスキマバイト人材の優位性を感じている管理者の割合が高くなっている。
「募集チラシをどれだけ出してもなかなかレギュラーバイトが集まらないのに、スキマバイト募集ならばすぐに埋まってしまう。現場を任されている管理者層にとっては非常にありがたいことなので、スキマバイト人材を使い続けるようになるというわけです」(小林氏)
スキマバイト人材をいかに使いこなしていくかは、まさに現場管理者のマネジメント力にかかっているようだ。
小林氏は「スキマバイト人材に気持ちよく働いてもらうには、明確な指示と仕事の割り振りが重要です。さらに、仕事ぶりを認めていくことで単発バイトにとどまらずレギュラーバイト人材の候補にもなっていくでしょう」と分析している。
次世代の働き方としてポテンシャルが高いとされるスキマバイト人口は、今後さらに増えていきそうだ。
労働力不足に悩む業界にとってスキマバイトが救世主となって定着していくのかどうか、注目していきたい。
清水奈緒子 札幌市在住、フリーランスのコピーライター。企業や自治体の広告制作、論文、コラム、エッセイなどを手がける。令和元年夏に保護したオス猫「ふぅ」と、まったり生活を満喫中 この著者の記事一覧はこちら

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