【法律相談】離婚した妻が会社の経理 解雇できるのか?

3月12日(月)7時0分 NEWSポストセブン

離婚した元配偶者を解雇できるのか

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 会社を経営している人の中には、家族を従業員として雇っているケースも多いだろう。離婚した妻が会社の経理を担当している場合、「都合が悪い」という理由で解雇することはできるのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。


【相談】

 先月、10年間連れ添った妻と協議離婚。問題なのは元妻が私の経営する代理店の経理を担当していることです。離婚後も会社の内情を彼女に知られるのは嫌ですし、なにより別れたのに会社で顔を合わせるのは辛いものがあります。このような場合、社長の権限で強引に彼女を解雇してもよいでしょうか。


【回答】

 会社は従業員と雇用契約を締結しています。この雇用契約を会社から終了させるのが「解雇」ですが、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」です。


 そこであなたが元妻を辞めさせることができるかは、元妻との関係が「雇用契約」であるのか、「雇用契約」であるとした場合に、解雇に客観的な合理的理由があり、解雇が社会通念上相当と認められるかが問題になります。


 まず、元妻が雇用契約の労働者といえるかです。法律上の労働者とは使用者による指揮監督下において労務を提供し、当該労務提供の対価(賃金)を受ける者をいうと解されます。元妻が会社事務所に出勤し、社長である元夫の指示を受けて経理業務を行ない、月給をもらう関係だと雇用契約です。


 次に解雇の理由が問題になります。就業規則に解雇できる理由が特定されているはずですが、それらのいずれかに該当しなければ、そもそも解雇できません。ご質問にある辞めさせたい事情は、どれも通常規定されている解雇事由には当たりません。


 感情的対立が大きくなって社内の秩序を乱すようになった場合に、形式的には解雇事由に該当するかもしれません。しかし、私情によるものとして解雇の合理性は否定されると思います。もっとも元妻が会社の秘密を社外に漏らすような事情があれば別です。ただ、その証明が容易ではありません。


 そこで協議離婚により円満な解決をしていますし、従業員として雇い続けてみてはどうでしょう。それでも社業推進の妨げになるのなら労働者の権利として簡単に解雇できませんし、元妻のキャリアを活かせる職場を探し、場合によっては金銭補償も覚悟の上、退職を要請してみたら、いかがですか。


【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。


※週刊ポスト2018年3月23・30日号

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