ボートショーに居並ぶロールスロイスにマクラーレン

3月13日(水)6時0分 JBpress

ヤマハがジャパンインターナショナルボートショーで展示したプレジャーボート各種(筆者撮影、以下同)

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 あなたは「ボート」と聞いて何を想像するだろうか?

 自分の生活とは無縁な富裕層の遊び──。そんなふうに「ボート」をとらえる日本人が多いのではないだろうか。

 そのイメージはあながち間違っていない。筆者が訪れた国内最大級のボート展示会「ジャパンインターナショナルボートショー」(2019年3月7日〜10日、パシフィコ横浜)は、ボートがまさに富裕層向けの商品であること物語っていた。

 ヤマハ、スズキ、ホンダ、トヨタ、そして海外メーカーの大型クルーザーの出展に交じって、英国のマクラーレンやロールスロイス、イタリアのランボルギーニやアメリカのテスラなど高級車がズラリと並んでいる。

 マクラーレンの関係者は「ボートショーでは過去に(マクラーレンの)車が売れた実績があるので、今年も出展した」と話す。

 また、船舶用エンジンである船外機では、大排気量・大出力化の商品が目立った。

 スズキのブースではDF350A 「激(The Ultimate)」の周りに人だかりができていた。総排気量4390ccの6気筒エンジンで、最大出力は350馬力に達する。また、ヤマハブースでは、最大出力425馬力の「F425A」を展示した。

 両社関係者のよると、こうした大出力型の船外機はアメリカが主力市場である。売り先は、ボートの製造メーカーで、1回の発注数は200〜300基になることが多いという。大出力型船外機の価格は300〜400万円と高額であるため、1つの商談が数十億円規模に及ぶという。


「所有から共有へ」の流れを推進

 ここで筆者が「ボート」と記している乗り物、正確には「プレジャーボート」という。

 原油・LNG・自動車の輸送に専用設計された大型船、海外航路を優雅に旅する大型クルーズ船、漁船、軍艦、潜水艦など、世の中にはさまざまな船がある。それらは商用、軍事用の船だが、趣味や娯楽、つまり「プレジャー」用途に特化した民生品がプレジャーボートである。

 日本のプレジャーボート市場は縮小傾向にある。社団法人「日本舟艇工業会」によると、日本のプレジャーボートの保有船数は2011〜2012年の439万台をピークに年々減少し、2018年は339万台まで大きく落ち込んでいる。

 プレジャーボートには、水上オートバイ、モーターボート、ヨットの3種類がある。なかでもモーターボートの保有が減っている。 モーターボートの新艇価格は、小型で200万円程度で二階建ての豪華版になると数千万円級となる。また、マリーナでの維持管理費用も都心に近いと安くても年間50万円以上、地方都市でも20〜30万円はかかる。そうした海の遊びに興じることができるのは、一部の富裕層に限られる。

 そこでプレジャーボート関連企業は、今後の市場拡大の見込みが立たない国内市場より、レジャー大国であるアメリカを中心とした海外市場向けのビジネスを強化しようとしている。

 また、国内市場活性化の方策として、「所有から共有へ」という流れを推進しようとしている。プレジャーボート大手のヤマハ発動機が積極的にPRしているのが、会員制の船のレンタルサービス、「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」だ。

 2万1600円の入会金を払って会員になると、月々3240円の月会費で、全国約140カ所にあるボートやマリンジェットを利用できるというもの。サイズごとに決められている船の使用料を払う必要があるが、釣りに出かけるような小型船だと6時間で1万円程度とリーズナブルな価格設定となっている。会員数は現在2万人を超えた。

 ヤマハ関係者は「自動車業界でも最近、所有から共有への移行が話題になっている。日本国内ボート市場でもヤマハが中心となって、より広い年齢層の方々に船を共有して楽しんでもらいたい」と説明する。


陸上、空、水上の交通が連携する日

「ボートの共有」という視点から新たなビジネス領域の可能性を探る動きもある。それは公共交通としてのボート利用だ。いわゆる「ボートタクシー」という考え方である。

 今回のボートショーには、2015年設立のベンチャー企業、東京ウォータータクシーが出展し、季節限定のクルーズツアー「SAKURAクルーズ2019」(3月21日〜4月7日)を紹介した。

 プログラムを見ると、目黒川または月島川で、6人乗車の小型船舶を75分間チャーターすると2万4000円(1人あたり4000円)。乗り合いの「お花見シェアクルーズ」だと、75分間で1人3500円。

 そのほか、東京湾内でボートが定時運航するシャトルサービスがある。田町〜晴海〜天王洲〜田町を周回するルートで、1人1区間500円だ。

 今後、ボートは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド需要はもちろん、災害時の移動手段としてなど、東京の川と海における新たなる公共交通としての可能性が広がりそうだ。

 近年、自動車産業界では、「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス)という考え方に注目が集まっているが、水上交通との連携や、将来的には有人輸送の大型ドローンを含めた低空交通との連携も、真剣に議論するべきだと思う。

 筆者は普通自動車と自家用双発飛行機の免許を所持しているが、これまで船との接点が薄かった。MaaSという概念についてさらに深く考えるため、今回取材したボートショーの会場で、4月上旬に2級小型船舶操縦士の国家試験を受ける手続きをした。今後、船舶についても当事者意識を持って取材にあたりたいと思う。

筆者:桃田 健史

JBpress

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