成年年齢18歳とする改正案、現行法との違いは?
2018年3月14日(水)19時15分 リセマム
改正されるのは、民法や児童福祉法、国籍法、公職選挙法など23の法律。法務省Webサイトに掲載された「民法の一部を改正する法律案新旧対照条文」によると、成年年齢を現行の20歳から18歳へと引き下げ、婚姻適齢についても男性18歳・女性16歳から男女ともに18歳へと改められる。これに伴い、「未成年者の婚姻についての父母の同意」と「婚姻による成年擬制」を削除。一方で、養親となる年齢については、「成年に達した者」から「20歳に達した者」となっているが、実質的な年齢の変更はない。
喫煙や飲酒、競馬などのギャンブルに関する法律についても、「20歳未満」の場合はそれらの行為ができないよう定められており、現行法と同様の内容となっている。小児慢性特定疾病児童等の定義に関しては、「都道府県知事が指定する医療機関(指定小児慢性特定疾病医療機関)に通い、又は入院する小児慢性特定疾病にかかつている児童」とともに、「指定小児慢性特定疾病医療機関に通い、又は入院する小児慢性特定疾病にかかつている児童以外の満二十歳に満たない者(政令で定めるものに限る)」と定められた。
そのほか、一般旅券(パスポート)については、18歳以上であれば有効期間10年で発行することができるようになる。
法務省による「諸外国の成年年齢等の調査結果」を見ると、イギリスやイタリア、フランス、オーストラリアなど、18歳を成年年齢および選挙権年齢としている国も多い。平成30年1月22日から6月20日まで開かれる第196回国会で改正法律案が成立すれば、平成34年4月1月から施行される予定。菅官房長官は平成30年3月13日午後に行われた記者会見において、「政府としては、国会において十分ご審議いただいたうえで、できるかぎり速やかに成立をお願いしたい」と発言している。
なお、日本弁護士連合会(日弁連)は、消費者被害が拡大する可能性から民法改正に懸念を示している。日弁連のWebサイトに掲載されたリーフレット「ちょっと待って!民法改正!知っていますか?成年年齢が20歳から18歳に?!」によると、20歳〜22歳のマルチ取引の相談は18歳〜19歳の約12.3倍。ローン・サラ金の相談も、20歳〜22歳は18歳〜19歳の約11.3倍だという。20歳になると貸金業者からお金を借りることができるため、借りすぎなどのトラブルが増加するようだ。
未成年者が親の同意なしに高価な買い物をした場合、「未成年者取消権」という制度により契約を取り消すことができるが、成年年齢引下げに伴い、18歳〜19歳の若者は契約の取消しができなくなる。日弁連は、高校3年生の多感な時期や進学・就職などで環境が変わる不安な時期に、深刻な消費者被害に遭う可能性について言及。「若者がよく利用する取引には特別の取消権を創設する」「若者が簡単に借入れできないようにする」「消費者教育を充実させる」といった対策を立てる必要性を指摘している。