メタボ原因が多い脳梗塞、発症リスクを特定すれば予防は可能

3月14日(水)16時0分 NEWSポストセブン

脳梗塞を防ぐためのリスク低減法は?

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 脳梗塞は発症から4時間30分以内であればt-PA(血栓溶解療法)が、8時間以内なら血管内治療も可能なこともある。しかし、救急搬送された約9割の脳梗塞患者は時間の経過や脳細胞ダメージの範囲などで、これらの治療の対象にならない。また、命が助かっても手足の麻痺や言語の障害などの後遺症で社会復帰が困難なこともあり、発症予防が大切となっている。


 日本医科大学多摩永山病院脳神経内科の長尾毅彦部長に詳しい話を聞いた。


「40歳以上の働き盛りでの脳梗塞は、ほとんどメタボリックシンドロームが原因です。肥満を伴う高血圧や糖尿病、動脈硬化がベースにあり、過労やストレス、喫煙などが重なり、脳梗塞の原因となります。脳の血流が一時的に悪化し、片側の手足が動かない、呂律が回らないなどの症状が起こるものの24時間以内に消える一過性脳虚血発作(TIA)を起こすこともあります。これを放置せず、すぐに専門医を受診し、検査と治療を行なうことが肝心です」


 近年の臨床研究により、脳梗塞の予行演習ともいえるTIAを起こした人の10〜15%が3か月以内に脳梗塞となり、その半数が2日以内に発症していることがわかってきた。TIAと診断されたら、すぐに抗血小板薬などの血液さらさら治療だけでなく、高血圧や糖尿病に対する内科的治療、減量やメタボリック症候群対策も併せて発症予防を行なう。


 高齢者に多い心房細動による心原性脳塞栓症予防に対しては不整脈を見つけることが大きなポイントになる。発作性の不整脈は通常の数分間の心電図では発見されにくいこともあり、24時間のホルター心電図や年単位で心電図をモニタリングできる小型の埋め込み型心臓モニターが保険承認されている。高齢になるほど不整脈の自覚が乏しく、24時間不整脈が起こっているのに気づかないのも珍しくない。


 心房細動が見つかったら、不整脈の治療薬と同時にワルファリンなどの抗凝固剤の服用を開始する。これで脳梗塞の発症リスクが3分の1以下に減ることが確認されている。心房細動を根本から治療する高周波カテーテルアブレーション治療を行ない、不整脈そのものを改善する方法もある。


「脳梗塞の発症や再発予防のためには、まず原因を特定し、それに合わせた適切な治療方針を決めることが重要です。内科的治療でも検査データを確認しながら薬の選択や量を決めることで、長期間発症を抑えることが可能になります」(長尾部長)


 頸動脈の狭窄も脳梗塞発症リスクを高める。超音波検査などで70%以上の高度な頸動脈狭窄が発見された場合は治療の対象となる。多くは頸動脈内膜剥離術を実施して狭窄を解消するが、高齢や合併症などがある場合、カテーテルによる頸動脈ステント留置術で対応することもある。どちらにせよ、発症リスクの軽減が最善の治療だ。


●取材・構成/岩城レイ子


※週刊ポスト2018年3月23・30日号

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